21世紀型組織を作る「場」

吉田健一(Kenichi Yoshida) 2006-12-08 01:34:50

 さて、今日は集合知の話の続きである。前回、企業内でBlog、SNS、Wikiなどを成功させるポイントは、

 1)今の業務がラクになること

 2)柔軟に場が切り分けられること

 3)無理せず知識がたまっていくこと

の3つであると述べた。今回は2番目の「2)柔軟に場が切り分けられること」について述べたい。

■21世紀の組織

 ここでいきなりだが組織の話になる。まず次の絵を見て欲しい。

21st.gif

 何だか分かりますか?

 これは21世紀の組織である。2002年、MITのトーマス・マローン教授らが世界中の200以上のグローバル企業に対して調査を行い、21世紀の企業組織はどのようになるかを描いた。その結果の組織がこれである。マローン教授いわく、

 

21世紀の組織は、一人一人が相互に結びつきながら、絶えず形を変えていく不定形なものとなる。20世紀の中央集権型ピラミッド組織に見られたような単純な階層構造とはまったく異なり、自分たちの意思決定をするために必要な情報に何でもアクセスし、自分の属している組織の他の部署にいる人々や、まったく違った組織の人々との結びつきがあり、そうした多くの異なった関係や情報をうまく活用していくようになるだろう。

 

 とのこと。

 皆さんも、ピラミッド型組織に従った仕事だけでなく、組織横断プロジェクト、社外企業連携、非公式コミュニティ...と様々なネットワークを駆使しながら、目的に合わせて「場」を使い分ける21世紀型組織を体感しつつあるに違いない。遅かれ早かれ、このような組織の時代がやってくる。

 ここで大事なのは、単に「小さな丸」すなわち個人が他の個人とネットワークでつながるだけでなく、そこかしこに「大きな丸=目的に合わせた場」が作られていることにある。Webの世界では、あくまで個人と個人がネットワークでつながるだけだが、Enterpriseはそう単純ではない。業務の目的に合わせて、様々な「場」が必要となってくる。

 例えば、企業内でBlogを書く時に、全社員公開するとあまり投稿が進まない。自部門の人に見せたい内容、プロジェクトメンバーに見せたい内容、同期の友人に見せたい内容、社長に見せたい内容が、それぞれ異なるからである。また、そもそも全社員向けに何を書けばいいのかわからない、という問題もある。また、セキュリティの観点からも、特定のメンバーにしかいえない話は沢山ある。

 目的と対象が明確な「場」が提供されることで、ユーザーも気軽にBlogやWikiを投稿する。相手の顔が見えれば何を書きたいのかも明確になる。企業内でBlog、SNS、Wikiを活用する場合、目的毎に幾つかの場を切り分けることが成功のために欠かせないのである。

■第一、第二、第三の組織

 それでは企業内ではどのような「場」がありえるのか。私は、企業内では3種類の場が必要だと考えている。

yoshida7.gif

 「第一の組織」とは事業部・部・課といったピラミッド型組織の組織である。これに加え、タスクフォースやワーキンググループなど、「第一の組織」横断のプロジェクトが「第二の組織」だ。「第三の組織」は、コミュニティやインフォーマルな勉強会など、知識を共有・流通させ個人の専門能力を高めるための組織横断型組織を指す。

 21世紀の組織ではこの3つの組織を縦横無尽に使いながら、業務を進めていく。企業内でBlog、SNS、Wikiを活用する際も、この第一、第二、第三の3つの組織毎の場を柔軟に使い分けられることがポイントになってくる。つまり、「○○部Blog」「○○プロジェクトBlog」「○○コミュニティBlog」の3種類が必要となるということだ。

■大きい場と小さい場の使い分け

 もう一つ、場を作る時の指針として「大きい場」と「小さい場」を使い分ける、というポイントがある。次のグラフは「場の大きさ」と「一人当たりのコンテンツの投稿」の相関を取ったグラフである。

chart.gif

 これを見てわかるように、「大きい場」では投稿数が少なく、「小さい場」では投稿数が多い。特定の目的で集まっている顔が見える相手に対しては、発信したいコンテンツが明確なのだ。

 かといって「小さい場」だけでいいかというとそうでもない。「小さい場」だらけになると、今度はタコツボ状態になり何がどこにあるか分からなくなり、情報を共有するという本来の目的から反してしまう。

 そこで「大きい場」と「小さい場」を並存・使い分けをするのが企業内でBlog、SNS、Wikiを成功させ、情報を流通させる上で重要となってくるのである。

■企業内の場の切り方

 以上のポイントを踏まえると、企業内で場を切り分けるイメージはこんな感じになる。この絵はあるお客様企業が、全社レベルでBlog/Wikiコンテンツを公開する場を作った時の、場の切り分け方だ。

yoshida09.gif

 

 この企業では4種類の場を社内に作り、使い分けている。1つは「全社員向けの場」、2つ目は「本部・部・支店といった組織レベルの場」、3つ目が「組織横断の場」、そして4つ目が「グループ企業を含めた場」である。ユーザーはこの4つの場を効果的に使い分けることで、スムーズかつセキュアにBlogコンテンツを投稿することができるのである。

 このように柔軟な場を設計することができるかどうか。

 これが、企業内でBlog、Wiki、SNSを成功させるために欠かせないポイントだ。

 組織の話もついつい熱くなってしまう...

 興味のあるかたは組織に関するホワイトペーパー「自己変革組織の実現による現場力強化」をご覧になっていただきたい。

 なかなか集合知の話が終わらないが、続きは次回に...

吉田健一@リアルコム

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