情報目利き力の時代

吉田健一(Kenichi Yoshida) 2008-12-23 20:26:29

 情報を知っていることに価値がある時代は終わった。情報はどこにでも大量に存在し、誰でもGoogleで瞬時に手に入れることができるからだ。これからのナレッジ・ワーカーに求められるのは、膨大な情報の中で本当に価値のある情報だけをピックアップする「情報目利き力」である。

■優れたナレッジ・ワーカーとは

 社内外を問わず仕事にまつわる情報は大量に流通する時代となった。情報流通量が少ないころは、一つ一つの情報をきちんと確認していたのが常であったが、昨今のような情報洪水の時代では、大量の情報を全て確認するのはナンセンスである。逆に、量が多すぎてほとんど情報は活用しないという「お手上げ」状態になっているのが現実である。

 こうした状況において、ナレッジ・ワーカーはどのように振舞うべきなのか。

 業績の優れたナレッジ・ワーカーの活動を深く分析してみると、特定の種類の情報に関しては、優れたナレッジ・ワーカーの方が普通のナレッジ・ワーカーに比べて圧倒的に情報を活用していることが多い。これはすなわち、優れたナレッジ・ワーカーは、膨大な情報の中から本当に必要な情報だけをピックアップする「情報目利き」力が高いといえる。

■2つの情報目利き力

 情報目利き力とはどのようなものなのか。

 仕事に関わる情報は2つの種類がある。1つは、業務上必ず使用せねばならない「必須情報」である。もう一つは、必ずしも使わなくても良いがうまく活用することで価値が高まる「付加価値情報」である。情報目利き力はこの2種類の情報それぞれに対して効果を発揮する。

 1つ目の「必須情報」に関しては、使って当然の情報であり、いかに早く正確な情報にたどり着けるか、ということが業務効率に関わってくる。情報目利き力の高いナレッジ・
ワーカーは、情報洪水の中から正確な情報にスピーディにたどり着くことができることで業務効率が高いといえる。情報目利き力=Google力とでも言える。

 2つ目の「付加価値情報」に関しては、単に早く正確に見つけるということではなく、真に価値のある情報を探し出しうまく活用することで業務の効果、例えば新しいビジネスや顧客価値の創造を実現する。ナレッジ・ワーカーは、膨大な情報の中に埋もれている付加価値情報を発掘し、組み合わせることで新しい価値を生み出すことができるのだ。

 この2つの目利き力を高めることは、ナレッジ・ワーカーに業務の効率化と新しい価値の創造をもたらす。つまり、情報目利き力は優れたナレッジ・ワーカーに求められる要件ということができるだろう。

 

 

■情報目利き力を高めるために

 こうした目利き力はどのようにして高めることができるのだろうか。

 1つは個人個人のスキルとして目利き力を高めるというアプローチだ。必須情報については、検索などのITツールを使いこなすことである程度解決できる。しかしITで解決できる部分はごくわずかであり、必要な情報ソースを常に押さえておくこと、ITをきちんと使いこなせることが重要となる。更に付加価値情報に関する目利き力は、経験に基づいて深く考え抜く力や、仮説を作り検証する力、本質を見抜く力が必要となる。

 2つ目は企業組織全体として目利き力を底上げさせていくというアプローチだ。そもそも質の低い情報を抜本的に排除したり情報流通のルールを定めてPDCAをまわすことで質の高い情報だけを流通させ、情報洪水を解消してしまうことは目利き力の底上げにつながる。またナレッジ・センターという組織をつくり、組織として「目利き力」を代行するというアプローチもある。ナレッジ・センターが「目利き」役として「付加価値情報」をピックアップし社内に展開することで、容易に「付加価値情報」を社員が活用できる。その際にAmazon.comのように「優れたナレッジ・ワーカーが活用している付加価値情報はこちらです」と、利用ログをもとにお勧めをするというアプローチもあるだろう。

 Google力だけでは優れたナレッジ・ワーカーとはいえない。

 如何にして情報目利き力を個人そして組織として高めていくか。今後の企業にとっての大きなテーマになるに違いない。

 

吉田健一@リアルコム

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