クラウドバックアップお悩み相談室

クラウドの利用が進むなか、バックアップや災害対策(DR)においてもクラウドを活用したいという企業が増えています。特に遠隔地へのバックアップは自然災害やサイバー攻撃が続くなか、データセンターが大きな被害を受けたときに事業を継続する対策として大きな関心を集めています。しかし、遠隔バックアップはデータセンター設備の構築や運用など時間とコストがかかります。また、クラウドは従量課金制であるため転送量も懸念されますし、パブリッククラウドを利用する際のセキュリティも不安材料です。ではクラウドバックアップはどのように活用するのが最適なのでしょうか。バックアップ専業ベンダーのArcserveが開設した「クラウドバックアップお悩み相談室」で、バックアップこの道20年の技術者に聞いてみました。

Arcserve Japan ソリューション統括部 プリンシパルコンサルタント 福田康幸氏
Arcserve Japan ソリューション統括部 プリンシパルコンサルタント 福田康幸氏

期待が高まるクラウドバックアップ、しかしリスクも……

質問その1 クラウドバックアップに興味があって調べています。業務データをクラウドに保存できれば、手元のデータが壊れても簡単にリストアできるので便利です。そもそもクラウドバックアップにはどのようなメリットがありますか。

福田氏  弊社がお客様に行ったアンケートが参考になります。「バックアップでクラウドを利用するメリットは何だと考えますか」と聞いたところ、特に多かったのは「自社で物理的な機器やスペースを用意する必要がない」「インフラの構築や管理をする必要がない」の2つでした。IT部門は日々の業務で忙しく、バックアップ設備の構築作業も大きな負担になっています。機器の調達や構築が不要なクラウドは大きなメリットです。

 次いで回答が多かったのは「サーバやリソースの拡張が簡単にできる」「インフラや運用アプリケーションの保守・維持が必要ない」といった運用面でのメリットです。そのほか「初期費用を安く抑えることができる」といったコスト面でのメリットを期待する声も多くありました。まとめると、構築が簡単で、運用も手軽、コストも低いことがメリットと言えます。


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質問その2 ただそれらはクラウドの一般的なメリットでもあります。クラウドは従量課金であるため、使い方次第で思わぬコスト増を招くことがあります。またセキュリティ事故やサービス停止も気になります。同じようなことはクラウドバックアップでも起こりそうですが、注意すべき点は何でしょうか。

福田氏  それについてもアンケート結果が参考になります。「クラウドの活用を検討する場合、何が重要だとお考えでしょうか」と質問したところ、特に多かったのは「セキュリティや安全性が高い」でした。次いで「ベンダーの信頼性・支援体制がしっかりしている」「回線やインフラの障害時にもすぐに復旧できる」となります。セキュリティや可用性、障害時の対応は、バックアップでも強く求められているのですね。

 さらに「コストの見積もりが簡単で明確になっている」というコスト面や、「リソースの増減を柔軟に変更できる」という運用面での条件を重視していることもわかりました。ただ、こうした注意点を理解しつつも、「バックアップをクラウドに保管するのは良いとお考えですか」という質問には、約7割の担当者が「良い」と回答しています。クラウドバックアップへの関心はとても高く、リスクを踏まえつつ、できるだけ利用したいと考えているユーザーが多いことがうかがえます。


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クラウドバックアップの課題を解消する新しいアプローチ

質問その3 では、クラウドバックアップのデメリットやリスクは何でしょうか。

福田氏  実際にクラウドバックアップを導入した方を中心に「導入に際して、懸念や課題はありましたか」と聞いてみたのですが、その結果は非常に参考になるものでした。最も多かったのは「インターネット経由でのバックアップに想定より時間がかかった」です。さらに「想定よりコストがかかった」「回線品質の問題でバックアップが不安定だった」「セキュリティ上の懸念があった」「料金体系がわかりづらくてコストの算出が難しかった」と続きます。このことからは、クラウドバックアップを注意深く利用していても、やはり時間、コスト、品質、セキュリティはリスクになっているということです。


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質問その4 近年は、災害対策(DR)として遠隔バックアップへのニーズが強くあります。経営サイドからも自然災害などで本社が被災した際に、遠隔地にバックアップしたデータを使ってすばやく事業を継続できるよう指示されています。ただ、本社と同じシステムを2つ持つことは現実的ではありません。その点で、クラウドを活用できると思っているのですが、どうでしょうか。

福田氏  確かに事業継続のための遠隔バックアップのニーズは近年特に強まっています。ただ、仰るようにそこで課題になるのが機器のコストや管理の手間です。アンケートでも「遠隔地バックアップを行っている」との回答は過半数ですが、その方法としては「ネットワークを介したデータの複製(レプリケート)」が約7割、「テープや外付けハードディスクを遠隔地に運んでいる」が約3割でした(複数回答)。「クラウドで提供される遠隔バックアップサービス」の利用は4社に1社にとどまっているのが現状です。また、遠隔バックアップを行っていない理由には「費用がかかる」「データを保管する適切な場所がない」「技術をもった人材が不足している」があります。

 クラウドを遠隔バックアップに活用したいと考えていても、費用やスキルの問題があり、前に進めないという事情が伺えます。


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質問その5 バックアップやDRの課題を解消するためにどのような方法が考えられますか。

福田氏  Arcserveでは、導入・運用コスト(時間)、ネットワークの効率的な利用、セキュリティの3つについて新しいアプローチを採用することが重要だと考えています。

 まず、導入・運用コストについては、面倒な作業なしに速やかにシステムを構築し運用が開始できること、転送量に対する課金がなく従量課金ではなく定額制であること、メンテナンスを任せられることがポイントです。また、ネットワーク利用については、バックアップのために帯域を効率的に利用でき、エラー後もバックアップデータを安定的に転送できることが求められます。さらに、セキュリティについても、通信を暗号化して保護することはもろちん、バックアップデータを適切に保護することが求められます。

 こうしたサービスとしてArcserveが展開しているのがデータ保護のクラウドサービス「Arcserve Business Continuity Cloud」です。


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バックアップのクラウド利用の課題を解消するBaaSとDRaaS

質問その6 従量課金ではコスト見積もりが難しいですが、定額制になることでそれが解消されるということですか。

福田氏  はい。転送量に対する課金がなく、ストレージ課金も年契約で固定です。このためコスト見積もりが容易になります。また、契約期間中でも容量増加の追加契約ができるので、契約時の容量が不足しても運用を止める心配がありません。

質問その7 簡単に試算していただけますか。

福田氏  Arcserve Business Continuity Cloudは現在「Arcserve UDP Cloud Hybrid(以下、Cloud Hybrid)」と「Arcserve UDP Cloud Direct(以下、Cloud Direct)」の2つのサービスで構成されています。Cloud HybridとCloud Directの違いは、オンプレミスで「Arcserve UDP」でバックアップ環境が構築済みかいなかです。

 まず、Cloud Hybridの場合のコストは、クラウド上のストレージ1TBを東日本リージョンで年契約した場合月額1万6000円、西日本リージョンの場合月額1万7000円となります。容量の範囲内なら、転送量やアクセス頻度にかかわらず固定です。容量が不足したら1TB単位で拡張していくことができます。

 一方、Cloud Directは現状では北米西海岸リージョンを利用することもあり、ストレージ1TBの年契約を月額換算すると月3万円です。同じように1TB単位で拡張していくことができます。

質問その8 構築や運用が大変そうですが、その辺りは問題ないのですか。

福田氏  Cloud HybridとCloud Directそれぞれで、バックアップを提供するBaaSと、DRを提供するDRaaSを提供していますが、いずれも簡単にはじめることができます。

 例えば、Cloud HybridのBaaSは、サーバ見積もりや構築作業が不要なため発注から7日から利用が開始できます。Cloud Directの場合は2営業日しかかかりません。

 BaaSと違ってDRの場合は、クラウド側にサーバインスタンス(仮想サーバ)を立てる必要がありますが、その場合も、1CPUメモリ4GBのComputeを必要に応じて追加していくだけです。


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ネットワークやセキュリティの懸念にも対応

質問その9 拠点のなかにはインターネット回線が細いところもあります。バックアップデータを転送することでネットワーク帯域が消費され、業務に支障がでることはありませんか。

福田氏  重複排除や増分バックアップという技術を使って、バックアップデータの転送量を少なくしています。複数のOSのイメージバックアップも短い時間でバックアップ、リストアすることが可能です。帯域制御機能で、曜日と時間帯毎に転送速度を指定することもできます。また、災害対策として、クラウド上でそのままシステムを起動する仕組みを利用すれば、災害時には、ローカルにバックアップデータを戻して復旧する必要もなく、すばやく事業継続が可能です。


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質問その10 クラウドにデータを送る際に、インターネット上で盗まれたり、書き換えられたりする心配はないですか。

福田氏  通信の暗号化と保管データの暗号化を実施しています。インターネット回線を利用していても、安全なデータ保管が可能です。また、ネットワーク障害の際にも、転送失敗時に自動リトライしたり、回線復帰後に未送信分の転送を再開するといった機能も備えます。サービスの運用保守事態も、Arcserveが担いますから、これまでのバックアップソフトの提供で培ってきた知見やノウハウを信頼性の高いサービス提供につなげています。

 クラウドバックアップや遠隔バックアップには、データセンター設備の構築や運用などコスト面が課題になってきました。また、クラウドの特徴である従量課金やインターネット回線の利用によるセキュリティも懸念材料でした。そうしたなかでArcserveが提供するソリューションは、クラウド利用の懸念点を解消し、災害対策を簡単に利用できるようにしたものです。Arcserveのサイトには詳しい資料やサービスカタログ、環境構築のガイドやFAQも紹介されています。今回のお悩み相談室で扱いきれなかった回答も、Arcserveのサイトで得られるはずです。クラウドバックアップの活用に向けて参考にしてください。

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