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世界の企業はなぜ今ワークプレース改善を課題としているのか?
アバナードに聞く

従業員体験の改善に取り組む企業が世界的に増えている。「ワークプレースを考えていない企業に将来はない」というのは、世界中で企業のITコンサルティングを手がけるアバナードでグローバル・モダン・ワークプレースを率いるFlorin Rotar氏だ。なぜいまEX(従業員体験)なのか、どんなメリットが得られるのか、日本以外ではどうなのかなどRotar氏に聞いた。
まずアバナードとは、どのような企業なのか、またミッションを教えてください。

Rotar氏 アバナードはマイクロソフトとアクセンチュアの共同出資で設立された、グローバルで展開するコンサルティング企業です。ミッションは、ポジティブなヒューマンインパクトを与えること--従業員、お客様、そして顧客の顧客まで、良いインパクトを与えたいと思っており、主にマイクロソフトの技術を使って実現します。

 これまで多くのユーザは、単に新しい技術があるという理由で技術を使っていました。これはあるべき姿ではありません。技術は良いことに使われるべきで、仕事を含めて人々の生活をより良いものにするために使うことを支援します。

アバナードの初代CTIOを勤められていたとお聞きしました。
CTIOとは、あまり聞き慣れない役職ですが、どのような職務なのか教えていただけますか?

Rotar氏 CTIOはChief Technology Innovation Officerの略で、アバナードが6年前に設けた役職です。企業はどこも最新の技術を使って成功したいと思っていますが、これを戦略的に考えるのを支援することです。当時、“イノベーション”という言葉があちこちで使われていましたが、イノベーションを現実に起こして企業のビジネスにインパクトを与えるという部分では企業は苦労していました。そこを支援するのが狙いです。

どのように支援したのですか?
そこで見えてきた共通課題や学びはありますか?

Rotar氏 業務改善を顧客と二人三脚で進めるのがアバナードのアプローチです。その業界についての理解においては顧客の方が深いですが、我々は他の顧客、他の業界の体験から、新しいアイディアを提示することができます。例えばIoTにおいて先行している日本の事例やアプローチを、米国やドイツの企業に伝えることができます。また英国は顧客体験の分野で先行していますが、個別最適化をどうするか、その影響をどう測定するかなどを日本に伝えることができます。

 顧客を支援する中で学んだことを2つ挙げるとすると、まずイノベーションは業務の現場で起こるということです。最高のイノベーションは研究開発センターや本社で起こるのではなく、顧客の近くにいる社員のアイディアから起こっています。小売業なら、店先で働いている店長や店員などです。

 2つ目として、イノベーションのための資金は少ない方がいいということです。これまで企業は大きな予算を持って長期的にイノベーションプロジェクトを進めていました。これでは、うまくいくかどうかわかるまで1年以上かかります。さらに間違った方向に行ってしまうことも多い。ですが、プロジェクトを小さくスタートし、2週間、3週間でアイディアをテストし、調整、修正、改善して、うまくいきそうなら進める。ソフトウェアで起こっているアジャイルソフトウェア開発の発想をイノベーションに用いることで変革は劇的に高速化します。これが“フルーガル・イノベーション(フルーガルは“倹約”の意味)”といわれる手法です。早く失敗して、学ぶことが大事なのです。

事例を教えてください。

Rotar氏 米国の大手医療サービス機関Ascension Wisconsinでは、ガンの症例について話し合う症例検討会をデジタル化しました。多忙な医師や専門家が同じ時間、場所に集まることが難しいことから、Office 365、Teams、OneNoteなどの技術を使って、いつでもどこからでも参加できるようにしたのです。

 通常なら9ヶ月を要するようなプロジェクトですが、アジャイルに進めることで、わずか2週間で最初のプロトタイプを稼働させ、その後フィードバックによって改善を繰り返し、短期間で成果をあげることができました。これにより検討・診断できる患者の数は約4倍になり、多くの人の命を救うことにつながる素晴らしい事例となりました。

経営者など幹部の理解はどうでしょうか?

Rotar氏 デジタル変革には新たな文化(デジタルカルチャー)が必要だということへの理解は進んでいます。変化の速度が加速しており、思いもよらないところから競合が現れる時代です。どの組織でも、トップ層はどうやって企業文化を変えていけば良いか考えています。

 アバナードは、イノベーションのための第一歩を、顧客のオフィスではなく工場や店舗などの現場から始めます。さらにイノベーションが現場で起こることを理解してもらうため、早期段階で経営幹部層に一緒に現場に来てもらっています。デザイン主導の考え方を用いて、何ができるのか可能なことをまず考え、次に優先順位を決めます。我々はこれをプロセスとして持っており、実践するためのデジタルイノベーションスタジオを世界中に構えています。

CTIOから現職のグローバル・モダン・ワークプレースのリードに就任しました。
なぜワークプレースなのでしょうか?

Rotar氏 それまでEXとしてCTIOの下で展開していた部隊を、2018年9月にモダンワークプレースとして独立させました。ここのリードに就任した理由は2つあります。

 1つ目として、一個人として働き方や人々にポジティブなインパクトを与えることに興味を持っていたからです。我々は多くの時間を職場で過ごしています。技術を使って職場で過ごす時間をハッピーにすれば、生活をハッピーにすることにつながると考えたのです。

 2つ目は、ワークプレースはイノベーションの次の企業命題だと考えるからです。ここ10年ほどの間、デジタルマーケティング、カスタマーエクスペリエンスなどにフォーカスが当たっていました。この分野は以前から開発が続いており、今後も継続して進展するでしょう。それと平行して、働き方、ワークプレースは次の重要な変化が起こる場所となります。ここで変化を起こすことで、アバナードの顧客は実質的な競争優位性や差別化を得ることができます。

現在ワークプレースはどのような取り組みを進めているのですか?

Rotar氏 顧客の職場環境改善の取り組みを支援しています。職場環境と聞くと、社内ポータル、デスクトップ、モバイルなどの技術にフォーカスした取り組みがよく挙げられますが、もっと深いところの文化やプロセスについて考えることが重要です。つまり、単なる職場環境の改善ではなく、自分の仕事の効率ややり方を改善、将来の仕事を支援してくれるかなど多岐にわたって考える必要があります。ワークプレースは企業の将来を左右するぐらい重要です。ワークプレースを考えていない企業に将来はないといっても過言ではないかもしれません。

 EXの重要性は数字としても現れています。マサチューセッツ工科大学の情報システム研究センター(MIT CISR)と共同でリサーチを行なったところ、従業員体験にフォーカスする企業は顧客満足度が2倍高く、そして競合他社に比べて収益性が25%高いことがわかりました。EXを改善することは、生産性、意思疎通以上のビジネス価値があるのです。

一口にワークプレースといっても、国によって文化、社会、法律など異なります。
共通点はありますか?

Rotar氏 確かに国や業界により違いはあります。しかし世界中でEXが重要だという理解は進んでいます。しかもCX(顧客体験)とリンクしているという理解が広がっています。

 欧州のあるメーカー企業ではIoTを使ってサービス企業への転身を図っています。これまでとは違う戦略を進めるに当たり、課題の1つが人材獲得でした。GAFAのような企業で働きたいという人を、創業200年の会社で働いてもらい、引き止めるにはどうすればよいか?

アバナード Florin Rotar氏
アバナード Florin Rotar氏

 そこで新しく入社する従業員にとって重要なタイミングを逃さない施策を考えだしました。つまり、面接の前、面接の後、ジョブオファー、最初の出社日などにデジタル上でコミュケーションする仕組みを作りました。

 まず面接前に候補者にモバイルアプリを紹介してインストールしてもらいます。面接日時を、このアプリを通じて知らせます。面接当日には、“緊張しているなら、コーヒーを飲んでリラックスして”といったメッセージをコーヒーのデジタルバウチャーとともに送ります。面接終了後には、面接でよかった点や改善点などフィードバックを送ります。採用が決定したら1時間以内に、やはりデジタルでジョブオファーを出します。ここまで面倒な紙の作業はなく、デジタルだけ署名までできます。

 これは優秀な社員の獲得につながっただけでなく、採用決定したのに実際の出社日に現れないという“ゴースティング”問題の解決にもつながりました。例えば、入社前に参考情報を共有したり、パーティなど社内イベントへの参加を呼びかけたり、上司や同僚となる人を紹介するなど、関係構築を図ります。勤務がスタートする前から会社と関わることで、スムーズに入社日を迎えられます。最初の出社日にも、ランチタイムに先輩が社食を案内したり、他部門の社員がデスクにやってきて入社を祝ってくれたり、などもアプリ内で設定されるような仕組みになっています。

 その後も、最初の一週間、誕生日、業務レビュー、研修など、重要なタイミングごとに、アプリが先導して機会を逃さないようにしてくれます。実は、これはCXで顧客に対して行ってきた事と同じです。この取り組みにより人材の獲得と維持が劇的に改善しました。

 業界ごとに焦点は異なります。例えば小売業ではCXの改善が重要で、そこにEXを結びつけて考えています。エネルギー業界では安全性に焦点が置かれ、どのようにして事故のリスクを低くするか、作業現場を安全な場所にするかに関心が向けられています。金融業界では、AIなどインテリジェントな方法で、投資アドバイスや意志決定を支援することが多いです。

日本の働き方改革は残業抑制に関心が行きがちです。
一方で、残業抑制だけで良いのか疑問視する向きもあります。
日本の取り組みをどのようにみていますか。

Rotar氏 日本は高度な技術の受け入れが早い一方で、人口構造が急速に変化しており、ユニークな状況にあります。多くの企業は少子高齢化による人手不足に対応しつつ残業削減を進めなければならない、と課題を抱えています。

 その解決のために必要な変化は何かを行動分析を使って理解しようとする取り組みを進めています。どのように仕事しているのかデータを収集し、生産性、営業の成約率、工場での欠陥製品の削減など、効果につながる行動は何かを識別するのです。例えば、成功する営業マンに共通する行動は何か、などの分析ができます。

最後に
アバナードはどのように進んで行こうとしているのでしょうか?

Rotar氏 20年前の創業時は、マイクロソフト製品をどうやって売るかが大きな目標でした。10年前、製品から顧客にフォーカスをシフトしました。そして今年9月1日、新しいCEO(Pamela Maynard氏)が就任しましたが、その所信表明では従業員を最優先とする、と明言しました。これは顧客をケアしないという意味ではなく、従業員がハッピーであれば顧客体験もよくなるという意味です。

 我々は、ワークプレース体験改善には「企業文化と従業員体験の新しいビジョン」「オペレーション最適化」「プラットフォームの最新化」の3つのポイントが必要だと考えています。技術だけではなく、ビジネスプロセス、文化とEXの捉え直しも支援できます。マイクロソフトの技術、アクセンチュアのビジネスプロセスの両方があるからです。アバナードは、この3つのポイントを組み合わせることができる唯一のビジネスパートナーだと覚えていただければ幸いです。

ワークプレース・エクスペリエンス
企業全体に継続的な価値をもたらす新しいアプローチ
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提供:アバナード株式会社
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