富士通とCohesityのキーマンが明かす、
DXを加速させるデータ管理プラットフォームの作り方

 企業が持続的に成長していくためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが必須になりつつある。ただ、その取り組みは決して簡単ではない。「何から始めればよいか」「どのように進めればよいか」など、変革の取り組みだからこそ困難も多い。そんな中でヒントになるのが、DXへ全社的に舵を切った富士通と、多くのDXをデータマネジメントの観点で支えてきたコヒシティ(以下、Cohesity)の協業だ。両社は2020年7月、グローバルパートナーシップを結び、富士通サーバー「PRIMERGY(プライマジー)」でCohesityのデータプラットフォームを稼働させ、DX推進に取り組む企業を支援する体制を整えた。今回、富士通 新規ストレージビジネス推進リーダーの谷口逸人氏と、Cohesity JapanシニアSEマネージャー笹岳二氏に話を聞いた。

データの散在と非効率な運用管理が企業のDXを妨げている

──DXの必要性が叫ばれる中、「2025年の崖」に象徴されるレガシーシステムへの対処も課題になっています。企業を取り巻くいまの状況をどう見ていらっしゃいますか。

富士通株式会社 インフラストラクチャシステム事業本部 
統合商品事業部 ビジネス推進部
新規ストレージビジネス推進リーダー
谷口 逸人氏
富士通株式会社
インフラストラクチャシステム事業本部
統合商品事業部 ビジネス推進部
新規ストレージビジネス推進リーダー
谷口 逸人氏

富士通 谷口逸人氏(以下、谷口氏) レガシーシステムに起因して発生するシステムトラブルは年間約4兆円の経済損失を引き起こしています。このままレガシーシステムを使い続けると、現状抱えているシステムの老朽化・肥大化・複雑化・ブラックボックス化という課題を解決できず、2025年以降には年間で約12兆円という現在の3倍にもなる経済損失につながる可能性があると言われています。最新のデジタル技術を導入・活用してビジネスに変革をもたらし、企業としての成長、競争力強化をしていかなければ、そういった状況を回避できなくなってしまう恐れがあるため、DXの実現が必要不可欠です。

Cohesity Japan株式会社
営業本部  セールスエンジニアリング部
シニアSEマネージャー
笹 岳二 氏
Cohesity Japan株式会社
営業本部 セールスエンジニアリング部
シニアSEマネージャー
笹 岳二 氏

Cohesity Japan 笹岳二氏(以下、笹氏) Cohesityでは、DXをデータドリブンによる新しいビジネス機会の創出と捉えています。データの中には、これまでほとんど再利用されることがなかったバックアップやアーカイブされたデータがあります。これらは「セカンダリデータ」とも呼ばれますが、こうしたデータを活用することで、新しいビジネスチャンスを見つけ出したり、ビジネスプロセスの改善につなげたりしていくことができると考えています。

──国内企業の多くは、DXの必要性を認識していても、実際に踏み出せていない企業が少なくないようです。DXが進まない理由は何でしょうか。

谷口氏 大きく2つの理由があると考えています。1つは、データやシステムが企業内に散在しており、全社横断的なデータの可視化ができていないということです。どこに、どういったデータが保管されているのか分からず活用しようにもできない。企業内の膨大なデータの中にある必要なデータを見つけ出せないということが挙げられます。もう1つは、効率的な運用管理ができていないことです。組織やシステム毎に設定・運用をしていることやマルチベンダー環境となっていることが原因で、統一した運用管理が行えず、非効率な状態になっている。DXに向けて既存の運用を効率化し、新たな取り組みをするための工数を作り出していくことが必要ですが、それができないことで、踏み出せずにいるのではないかと考えています。

笹氏 ご指摘の通りだと思います。システムのサイロ化やマルチベンダー化が、データの断片化を引き起こしています。サーバー環境は仮想化で統合されましたが、データ管理の分野は、まだ個別のソリューションが使われていて、統合が進んでいません。特にデータのバックアップやアーカイブは、次の利用を意識することなく設計されているので、いざDXで活用したいと思ってもすぐには対応できないのです。

データの活用を前提にしたシステムアーキテクチャーにしていけばよい

──では、そうしたDXの課題を解決するためには、どのような取り組みをすればよいとお考えですか。

谷口氏 まず、データを活用するための準備を整えることです。散在しているデータを1つのプラットフォームに集約することで、企業内のデータ全体を可視化することができます。また、1つのプラットフォームにすることで、統一した運用管理ができるだけでなく、管理するハードウェア点数も削減できるため、運用管理の効率化が見込めます。

笹氏 まずは、これまで休眠させていたデータをいつでも使える状態にすることです。そのためには、シンプルなプラットフォームを構築することが重要です。データ管理には、データを格納する機能だけでなく、バックアップ&リストア、アクセス管理、ウイルススキャンなどさまざまな機能が必要です。それらを個別のソリューションで実装していくことが、複雑さに拍車をかけます。

──まずは、データを活用するための基盤を作るということですね。ただ、DXでは、データの活用(再活用)を行なってビジネスに貢献することも重要とされます。多くの企業ではそれができていないようです。

谷口氏 私もそのように感じています。多くの方が、企業内にあるデータをどのように活用したら良いのかイメージできていないことが原因と考えます。例えば、データ活用に向けて環境は整えたけれども、どのようにデータを活用し、ビジネスにつなげたら良いのか、漠然としたイメージしか持っていないとします。その場合、どういったアクションを取ったら良いのか分からず、結果何も動き出せていないという状態になってしまうかもしれません。漠然としたイメージを具体化することが必要です。

笹氏 ほんの数年前までは「バックアップはバックアップ以上でも以下でもない」という考え方が一般的でしたし、データの活用を意識したシステム設計をすることはほとんどなかったと思います。そのため、具体的な設計イメージが持てなかったこともやむを得ないと考えています。ただ、これからは設計方針としてバックアップデータの活用を意識したものにしていくことが重要であり、データの利活用を前提にしたシステムアーキテクチャーにしていけばよいのです。

トップシェアの国産PCサーバー × 次世代データ管理プラットフォーム

──両社は先頃、企業のデータ活用を促進するソリューション「PRIMERGY × Cohesity」の提供を開始されましたね。どうすればセカンダリデータを活用し、DXを推進できるようになるとお考えでしょうか。

谷口氏 散在している膨大な企業データを集約し、そこから必要なデータを抽出して、分析するというのがデータ活用の大きな流れとなります。「PRIMERGY×Cohesity」はその流れを全て網羅したソリューションです。具体的には、(1)全社横断的なデータ活用に向けてバックアップ、アーカイブなどの企業データを1つの基盤を統合、(2) あらゆるデータへ共通の管理画面からアクセス、(3) データを統合した基盤上でアプリケーションを実行、(4) データ量が増えた場合も柔軟に対応といったことが可能になります。

笹氏 ポイントはこれらをオンプレミスやクラウドという場所を問わず実施できることですね。クラウドに構築することで、機械学習やAI(人工知能)といった技術も活用しやすくなります。必要に応じてオンプレミスに構築することで柔軟な対応も可能にします。DXの取り組みが推進することで、オンプレ、クラウドの特徴を引き出しやすくなります。

図版:企業のデータ活用を促進するソリューション「PRIMERGY × Cohesity」
図版:企業のデータ活用を促進するソリューション「PRIMERGY × Cohesity」

──改めて協業の狙いを教えてください。

笹氏 Cohesityは、次世代のデータ管理プラットフォームとしてさまざまな業界、お客さまでの採用が広がっています。また、ソフトウェアデファインドのアーキテクチャーを持っていますので、物理サーバー、仮想環境、クラウド環境で利用することができます。その全ての環境においてデータ管理ソリューションを展開できるパートナーが富士通だと考えています。

 国産のサーバー上で利用できるということは、日本のお客さまにとって大きなメリットになります。また、富士通はクラウドサービスも提供しているので、ニーズに合わせてハイブリッドなシステムの提供ができる国内唯一のパートナーでもあります。

谷口氏 PRIMERGYは、国内市場でトップシェアを誇る日本製のPCサーバーです。ハードウェアの品質に関しては自信があり、開発段階における部品の選定から高い品質を追求しています。さらに、量産に向けても、耐久試験、負荷試験、ランニング試験など、数多くの試験を繰り返す形で品質管理を一貫して徹底しています。システムの基盤として重要になるハードウェアにおいて高品質を追求することで、「PRIMERGY × Cohesity」という信頼性の高いソリューションが展開できるようになります。

企業内に眠っているデータはDXに向けた情報の宝庫

──今回のソリューションがユーザーにどんなメリットをもたらすか、機能や特徴を教えていただけますか。

谷口氏 DXを推進する過程では、企業のデータがどのくらい増えていくか見通しが立たない場合があります。また、データの増加に伴い管理性も課題になります。今回Cohesity認証サーバーとして提供するのは、高性能、拡張性に優れている2U2wayのラック型サーバーRX2540 M5です。無限にスケールアウトができる点が特徴で、どれだけデータが増加しても対応可能です。さらに、インフラ環境を止めずにスケールアウトやメンテナンスができるため、業務に影響を与えずに、容量の拡張、機器の交換、ソフトウェアのアップデートを実施できます。

笹氏 Cohesityには、一定期間利用されていないコールドデータをクラウド上にアーカイブするといった機能も備わっているため、オンプレ環境の容量を圧迫せずにデータの長期保管をすることもできます。NFS/SMB/S3といったプロトコルに対応しており、ファイル、オブジェクトの各ストレージアクセスを標準でサポートできます。バックアップ&リストアのほか、ウイルススキャン、アクセス管理機能なども標準で備わっており、さまざまな環境でデータを統合し最適化することができます。

──最後に、企業に向けてアドバイスやメッセージをいただけますか。

谷口氏 富士通では、富士通自身がIT企業からDX企業になることで、環境・社会・ビジネスのDXを生み出していくことを目指しています。お客さまが安心してDXに取り組めるように、「DX企業になるためには何が必要なのか」我々自身が取り組むからこそわかる気づきやポイントを把握しておくことが非常に重要です。このような実体験から、お客さまが抱えている課題の本質を見極め、DXに向けた最適なサービスが提供できると考えています。企業内に眠っているデータはDXに向けた情報の宝庫です。そのデータの活用していくことで、お客さまと共にDXを加速していきます。

笹氏 DX推進の取り組みの第一歩はデータの収集と集約です。まずは、その準備から始めることが重要です。Cohesityのデータ管理ソリューションは、データの収集と集約を行い、必要になった時にすぐに取り出せるアーキテクチャーを備えることで、データの利活用を可能にし、お客さまのDX推進を支えていきます。

提供:Cohesity Japan株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2021年5月31日
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