事例:ストレージに対するI/O要求が厳しいDaaS基盤に求められるインフラとは

 横浜市に本社を置くアイネットは、中堅中小企業向けに様々なIT関連アウトソーシングサービスを展開している。業種ごとに特化したサービスを得意としており、中でもガソリンスタンド向けのITアウトソーシングにおいては全国のクレジットカード処理の約半分を手掛けるなど、業界内で大きなシェアを誇っている。

 同社では近年、最先端のクラウドデータセンター基盤を構築し、企業向けに各種クラウドサービスも提供している。

 「企業向けクラウドサービスを開始したのは10年ほど前のことで、その中核となるのが『EASY Cloud』です」と語るのは、同社クラウドサービス事業部 プロダクトマーケティング部 兼 クラウドシステム部 部長の高橋信久氏だ。


アイネット
クラウドサービス事業部
プロダクトマーケティング部 兼 クラウドシステム部
部長
高橋信久氏

 「当社では、中堅中小企業のユーザーに使いやすいサービスにこだわっており、例えばEASY Cloudでは『マネージドクラウド』というキーワードで、パブリッククラウドでありながらプライベートクラウド的な、いわば両方の良さを合わせ持つサービスを提供してきました。また、IaaSでは当初から仮想サーバのインスタンス貸しでなくリソースプールを割り当てる形で提供するようにしており、ユーザーが思う通り柔軟に活用できるようにしている点もポイントです」

 アイネットのクラウドサービスにおけるもう一つのこだわりは、「アーリーアダプタであること」だ。2015年には、VMwareが提唱するSoftware-Defined Data Center(SDDC)アーキテクチャを全面的に採用してEASY Cloudの基盤を「Next Generation EASY Cloud」(NGEC)へと全面的に刷新した。今ではこのNGECのテクノロジーが、仮想サーバなどのIaaSはもちろんPaaSやSaaSも含むクラウドサービス群全体の基盤にも全面的に利用することで、サービス基盤の管理性やコスト効率、俊敏性、信頼性など様々な面で、従来のEASY Cloudより格段に優れたサービスを実現している。

図: アイネットの先進クラウド基盤「Next Generation EASY Cloud」
図:アイネットの先進クラウド基盤「Next Generation EASY Cloud」

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 ちなみに、このNGECの基盤となるハードウェアには、全面的にDell EMC PowerEdgeサーバやDell EMC Networking製品が採用されている。

 「Dell EMCは、ハードウェアのみならずVMware NSXやVMware vSANを含めた内容の提案をしてくれました。Dell EMCは、VMwareのナレッジも豊富に有している上に、VMwareの検証施設もDell EMCのハードウェアを利用しています。当社のサービス基盤に最新のSDDCアーキテクチャを採用するアーリーアダプタとしては、こうした安心感も重要な要素だと判断しました」と、高橋氏は選定の背景を語っている。

ストレージに対するI/O要求が厳しいDaaSに、最新のオールフラッシュストレージを採用

 このNGEC基盤では、当初の構成そのままではなく、様々な最新テクノロジーの導入が段階的に進められている。その一例が、この2~3年の間にテクノロジーが格段に進歩するなどしてコスト効率が大幅に高まってきたオールフラッシュストレージだ。IOPSやレイテンシなどといったI/O性能要件が求められる場合などで採用が広がっている。

 ストレージに対するI/O要求が厳しく求められる用途の代表例として挙げられるのが、仮想デスクトップ(VDI)環境を提供するクラウドサービス、いわゆるDaaSだ。アイネットではDaaS系サービスとして「VIDAAS」を以前から提供しているが、2016年2月には新たに「VIDAAS by Horizon View」「VIDAAS by Horizon DaaS」という2つのサービスをVIDAASのラインアップに追加すると発表し、最近その提供を開始した。

 名称が示すように、いずれもVMware Horizonをベースとしたサービスである。VIDAAS by Horizon ViewではVMware NSXによるネットワークのマイクロセグメンテーションを活用してユーザー組織ごとに独立した環境を提供、VIDAAS by Horizon DaaSはマルチテナントのパブリック環境を提供するサービスだ。

 DaaSは一般的に、働き方改革や災害対策などに有効な手段として期待される反面、そもそもデータセンターからエンドユーザー環境までの物理的な距離に由来するレイテンシがあり、加えてオンプレミスのVDI環境と同じくアクセス集中に伴うパフォーマンス劣化などが懸念されがちなだ。レイテンシに関しては、共有ストレージや業務システム環境などを同じデータセンターで提供されるアイネットのサービスから選ぶことで影響を軽減することができるが、パフォーマンス劣化に対しては基盤そのものの工夫が必要だ。

 「DaaSのパフォーマンスについては、性能を劣化させない、ユーザー体験を悪化させないことがポイントだと考えています。よく言われるブートストームやログインストーム、あるいはプチフリーズと呼ばれるような現象は、エンドユーザーに敬遠される要因となってしまうため、そういった悪い評価にならぬよう配慮しなければなりません」(高橋氏)

 新たな2種類のサービスのうち、VIDAAS by Horizon DaaSはマルチテナント環境のため迅速に利用を開始できる反面、ユーザーが基盤に対するカスタマイズを行うことができない。そこで、このサービスのためのストレージには、標準でオールフラッシュを使うこととし、新たにベンダー各社の製品を比較検討することとした。主な条件としては「容量とパフォーマンスの両方をリニアに増やせるスケールアウト型であること」や「実容量の数倍の論理容量を実現し高い収益性を実現できる重複排除機能」だったが、他にも留意したポイントがあったという。

 「NGECの基盤でもvSANでハイブリッドストレージを構成しているほか、一部のサービスには専用のオールフラッシュも使っています。しかし、今回のDaaSに使うストレージでは特にパフォーマンスを重視し、多くのオールフラッシュで発生するガベージコレクション処理などにも気をつけて選定しました」(高橋氏)

 そして、このガベージコレクションによる影響がない唯一の製品である点が決め手となり、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載した「Dell EMC XtremIO ストレージアレイ」が採用された。本製品は常にDRAM上でデータを大幅に削減した上でSSDに書き込む強力なインライン重複排除・圧縮機能や書き込み処理の工夫などにより、フラッシュメモリの寿命を最大化すると同時にシステムレベルでのガベージコレクションを不要にしている。その結果、性能を劣化させることなく安定した高IOPS・低レイテンシを実現したのだ。

図:安定して高パフォーマンスを実現するXremIO 図:安定して高パフォーマンスを実現するXremIO
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