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DXに積極的なニチガス松田氏に聞く、
価値を生む「データ活用の実現」~データ活用が進まないと悩む企業への処方箋~

日々の業務の中で、多種多様なシステムが生み出し続ける「データ」を、競争力強化やビジネスの拡大に活用しようとする取り組みが多くの企業で進む一方で、実際に「データ活用がうまくいっている」と胸を張れる企業は多くないようだ。ZDNet Japanとクラウド型BIプラットフォームである「Domo」が共同で実施した「企業のデータ活用に関するアンケート調査」では、回答者の「76%」が、自社での「データ活用」に不満を感じていることが分かった。不満を解消し、組織として「データから新たな価値を生みだせる」ように変わるためには何が必要なのだろうか。

今回、エネルギー業界向けにクラウドで提供されるデータプラットフォームサービスを開始するなど、DXに向けた取り組みを積極的に展開する日本瓦斯(ニチガス)、執行役員を務める松田祐毅氏に、同社の「データ活用」に向けた取り組みや、多くの企業が共通して抱える課題を解決していくためのヒントを聞いた。(※1)

日本瓦斯株式会社 執行役員 エネルギー営業本部
情報通信技術部 部長
松田 祐毅氏
1992年からIT業界へ入り大手外資系IT企業、スタートアップ企業を経て現職へ。CTO歴10年。銀行システム、官庁向けシステムやWebシステムからIoT、 AI、 BlockChainの実装、W3Cへの貢献などの経験を持つ。現職においては、レガシーシステムの開発及びリファクタリングからボット開発、AI開発、IoT開発やBlockChain開発への指揮やエストニアを始め欧州テクノロジー会社との連携リードを担う。プライベートでは現代アーティストのコラボレーションでメディアアートへの参画や、Python、C++でのホビープログラミングとシングルボードコンピュータでの電子工作にはまっている、OpenFrameworks大好きな一児のパパ。

競争が激化するエネルギー業界で「Uber越え」を目指すニチガス

-本日はよろしくお願い致します。最初に、松田さんのこれまでのキャリアと、ニチガスに入られたきっかけをお聞かせ下さい。

松田氏私は1990年代の前半からIT業界と関わり、これまで日本の金融系シンクタンクや外資系IT企業、AI/IoTを扱うベンチャー企業など、さまざまなジャンルと規模の会社で仕事をしてきました。ニチガスに入ったのは2017年のことです。入社前に面談をした社長の和田が「うちの会社はUberを越えたいんだよ」と言うのを聞いて「面白い」と思い、入社を決意しました。

-「Uberを越えたい」という言葉のどこに、面白さを感じたのでしょうか。

松田氏弊社の和田は優れたビジョナリーであり、その言葉に、自分が直近に手がけていたAI/IoTプラットフォームとの共通点を感じたのかもしれません。AI/IoTプラットフォームを最大限に生かすためには、さまざまなシステムから順次集まってくるデータの変化を検知し、それをトリガーとして発報するような仕組みを既存のソフトウェアの上に乗せる必要があります。

 私たちはそれを「コンテクストウェア」と呼んでいるのですが、実はこの仕組みは、既存の産業に対して、UberやGAFAと呼ばれる企業がやってきたことと似ています。企業が提供する商材やビジネスモデルの上に、UberやGAFAが「別の仕組み」を乗せて、そこでの送客やビジネストランザクションの対価を得るというやり方です。これは、既存のあらゆる産業、業界に適用できます。

 エネルギー産業も、決してこうした変化から逃れることはできない。Uberのような企業にビジネスのやり方を変えられてしまうより先に、自分たちの手で変えていきたい。そうした思いを「Uberを越えたい」という言葉から感じたように思います。

-ニチガスの「情報通信技術部」では、グループ全体のIT戦略を含む、情報システムのすべてに関わる業務を行っているそうですね。特にDXを視野に入れた「データ活用」の領域で、現在取り組まれていることをご紹介下さい。

松田氏ニチガスは、LPガス直売数で日本1位のシェアを占めています。LPガスはエネルギー業界の中でも自由化の開始が早かったため、弊社でも早くからITを生かした競争力強化に取り組んできました。

 近年の取り組みとしては、自社で開発し現在も利用している業務システム「雲の宇宙船」をクラウドサービスとしてエネルギー業界の他事業者向けに提供することや、ガスボンベやメーターのような機器から取得したデータをワイヤレスで集め、標準化した上で集約するデータプラットフォーム「ニチガス・ストリーム」、これらのサービスの個別機能をAPIとして切り出して提供する「データ・道の駅」などの展開があります。

 現在は、上記のサービスを提供しているプラットフォーム全体のアーキテクチャを、大きく3領域のマイクロサービスに分割する作業を進めています。3領域とは「資産管理」「ビジネスロジック」「フィールドワーク支援」で、特に「資産管理」は顧客の契約と設備とを結びつける仕組みとして、今後展開していきたいと考えており、新しい形でのデータ活用に大きく影響するものです。

 業界のトピックとして、2022年に実施されるガス導管事業者の法的分離が挙げられます。これにより、今まで以上に小売事業が活性化し、競争が激しくなることが予想されます。ニチガスは、このタイミングを見据えて、データビジネスのさらなる強化を図っています。


データは「集める」のではなく「集まる」ものだと考える

-先日実施した「企業のデータ活用に関するアンケート調査」(参考記事)では、回答者の「76%」が自社のデータ活用に不満を感じており、理由として「データの収集や整理」ができていなかったり、やっていたとしても大きな手間が掛かっていたりといったことが挙げられていました。この結果について、どう感じられますか。

松田氏「データの収集や整理」にまつわる課題は、ニチガスにもありましたし、現在でも完全になくなったわけではありません。常に解決への取り組みを続けています。これは、データ活用を進めたい企業にとって、避けては通れない課題ですよね。

 私は以前、AI/IoTプラットフォームを手がけるベンチャーにいました。AIのモデル作りには、とにかく大量のデータが必要になります。その当時、お客さんからよく聞いていた課題として「データをどうやって集めればいいのか分からない」というものがあったのですが、実はこの考え方自体がデータを活用する上での最初の壁なんですよね。

 データはこちらが能動的に動いて「集める」ものではなくて、向こうから勝手に「集まってくる」べきものだという発想の転換が必要です。では、さまざまなシステムからデータが自動的に集まり、使いやすい形に標準化された状態で蓄積されるためにはどうすればいいのか。我々の場合は、それを実現するために「ニチガス・ストリーム」というプラットフォームを作ったわけです。

 もちろん、現状で完全というわけではありません。例えば、よりリアルタイム性の高いデータを集めたい場合、現状のAPIベースだとオーバーヘッドが無視できないので、その場合は直接データベースを叩いてデータを取ってくるといったことも必要に応じてやっています。

 あと、組織や事業部ごとに分散して管理されているデータソースから、全社で統合されたデータプールをどう作るかというのも、難しい課題ですね。これは、どちらかというと組織的な課題で、組織の壁を壊して横串を通せるような力を持った人が主導して進めないとうまくいかないケースも多いでしょう。場合によっては、組織的な問題を「技術的」な腕力でバイパスするような力技が必要かもしれません。

データの「見せ方」を丁寧に考えて社内の理解を得る

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提供:ドーモ株式会社
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