日立製作所×ベリタステクノロジーズ
特別対談 前編
BCP対策に落とし穴!?
あなたの会社は真のBCP対策がとれていますか

 現在、テレワークをはじめとする場所を選ばない働き方を選ぶ企業が増加している。ただ働き方や働く場所、働くためのデジタル環境が変わっても、企業にとって重要であり一貫して変わらない本来の目的は、ビジネスを止めずに事業を継続・発展させていくということである。昨今の情勢を受けてフレキシブルな働き方が加速していくなか、IT業界のトップを走るベンダーのキーマンを招き、働き方改革と事業継続/BCPを両輪で進めていくための最適なIT投資とIT活用のあり方を前後半に分けて考えていく。
  • ベリタステクノロジーズ合同会社
    常務執行役員SE本部長 
    高井隆太氏
    テクノロジーセールス(プリセールスSE)部門の責任者。会社の戦略策定、プロモーション活動、パートナー・アライアンス活動に従事。
  • 株式会社日立製作所
    サービスプラットフォーム事業本部 アプリケーションクラウドサービス事業部 運用マネジメント本部 システム管理ソフト設計部 主任技師 
    松永勝巳氏
    JP1のバックアップを中心にストレージ部門でバックアップを担当。JP1/VERITAS NetBackupの技術纏め。
  • 株式会社日立製作所 
    サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部 プラットフォームソフトウェア本部 プラットフォームサービス部 企画員 
    広瀬希氏
    入社以来OSや仮想化ソフトなどプラットフォーム分野に携わる。HCIソリューション販促担当。

 グローバルCIOが抱えている「データの管理」という課題

 ―ベリタステクノロジーズでは日頃から世界の大手企業や政府機関の顧客から話を伺う機会が多いと思われますが、御社では現在企業のCIOが抱えている課題についてどのように把握されていますか。
ベリタステクノロジーズ合同会社 
常務執行役員SE本部長 高井隆太氏
ベリタステクノロジーズ合同会社
常務執行役員SE本部長
高井隆太氏

高井 BCP対策がテーマということで、それを踏まえてグローバル企業のCIOクラスが抱える現在のITに関する課題をお話しします。まず、現在エンタープライズITの世界にはデジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードがありますが、企業がDXを進めていくなかで、間違いなくデータの急増という問題に直面しています。まずこれをいかに保管・管理していけるかという前提があるなかで、必要性が判別できていない「ダークデータ」がどんどん蓄積され、管理に難しい対応が迫られます。また、DXを実現するに際して、新しいテクノロジーを活用するようになり、システムが複雑化しているなかで、データをどうやって管理していくかも考えなければなりません。

「もうひとつ、外的要因もあります。これまでビジネスの継続を脅かす事象としては、自然災害やハードウェア障害が想定されていましたが、昨今ではハイブリッドクラウドに移行したことでクラウドサービスの停止に伴うビジネスの停止や、サイバー攻撃、特にランサムウェア攻撃によるデータの喪失やビジネスが停止するリスクが高まっています。」

 昨今の情勢で急速に働き方の変革が求められていますが、IT環境にも変化が起きています。その顕著な例として、リモートワーク対応ということで、セキュリティの強化やVDI(仮想デスクトップ)の導入が目下必要とされていますが、もうひとつこの環境下では、ITをビジネスに影響させることなく使い続ける、サービスを提供し続けるという観点で、パブリッククラウドを活用したハイブリッドクラウドの形態は非常に効果があるとお客様は認識されていて、パブリッククラウド化は更に進むと感じております。

 変化する時代に継続性が危ぶまれる従来型のBCP

 ―そのような背景のなか、企業のCIOは先を見据えてBCPに対してどう取り組むべきか、どこに注目すべきでしょうか。

高井 変化の速いこの時代、BCPの実現はより困難になっていると言わざるを得ません。従来は、一度導入したシステムの変更が比較的変化のないなかで実現する必要がありました。IT-BCPも静的な仕組みのなかでマニュアルを用意し、復旧のテストも専任のスタッフの元で半年や数カ月に1度実施すればよかった。しかし現在、システムが動的に変化していて、新しいテクノロジーを取り入れ、データが増えていくなかでハイブリッドクラウド化している状況では、BCPの継続性、立てたプラン自体の継続性が危ぶまれているのです。

 それを受けて、現在における着目すべきBCPの観点を3点紹介します。 1つめは、「BCPを発動する際のリスクの変化」です。先ほども説明しましたが、自然災害、ハードウェア障害のためだけに必要という訳ではなくなっています。情報処理推進機構(IPA)によるセキュリティの意識調査によると、2019年度3位、2020年度5位に「ランサムウェアによる被害」が、継続的に上位に挙げられています。実際にグローバル企業のCIOクラスと話をしていると、ランサムウェアによる脅威は非常に高まっていて、対策をどうするかという相談をよく受けます。

 2つめは、「予期せぬIT基盤の障害に伴う業務停止」です。背景としては、パブリッククラウドに移行すれば止まらない、SLAもあるし業務停止は防げるのではないかという勘違いがあった中で、実際に大手のパブリッククラウドサービスのサービスが停止し、業務影響を受けたことで意識が高まっていると。パブリッククラウドの多くは、お客様のデータセキュリティ管理は自身の責任であるとうたっています。ハイブリッドクラウド時代の視点として、パブリッククラウド活用時にどうデータを保護し、復旧させるかがBCPの大きなテーマとなっています。

 またVDIのようにアーキテクチャが大きく変わるシステムもあります。その場合も、システム停止、データ損失が起きうるリスクを見直し、データ保護や復旧計画を整える必要があります。

 3つめは、「常にデータやシステムの状態を把握する仕組み」で、先ほど挙げた課題を抱える中、それは人手で管理するのは無理なので、可能な限り自動化しておくことが重要です。データはどこにあるのか、適正な範囲を超える急激な変更は発生していないか、バックアップ等も含めて常にシステムやデータの状態を認識・把握できる仕組みは必要であり、そのために自動化や可視性の向上というのはBCP上で必要な視点だと認識しています。

 新しい働き方で注目されるVDI導入時の留意点とは?

 ―BCPにおける多くの課題がある中で、お話にも出てきましたがBCP対策の一環として直近で注目されている新しいアーキテクチャにVDIがあります。その際にデータの保護やバックアップ、復旧計画も考えなければならないということですが、具体的にどんな対策を考えればよいでしょうか。

松永 バックアップというのは忘れがちなのですが、システム環境構築時に非常に重要になってきます。簡単に言うと、大量データ転送です。性能も気にしなければならないし、時間と共に大きくなる。データをどれくらい保存しておくのか、消していいのか一人では判断できるものではなく、後の運用にも気を遣わなければならないものです。

 その上で、VDIのバックアップで考えるべきポイントは、4つあります。1つめが「細かなリストア」です。ストレージには多くの従業員が使う業務ファイルが大量に保存され、それぞれが頻繁に新たなファイルの作成、変更や更新をかけます。その状況下で個々の要求に応じて、さらにセキュリティを気にしつつ保護やリカバリー・バックアップができないといけません。

 2つめは、「設定の簡素化」。利用者の増減に伴う仮想デスクトップの追加や削除が多く発生しますが、その都度バックアップ設定の変更をするのは面倒です。3つめは、「拡張への柔軟性」。昨今VDIを始めとする仮想化インフラ基盤として、拡張性の高いHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)が注目されていますが、同様にバックアップ構成も簡単に拡張できるようにすべきです。

 最後はVDIとしての留意点になりますが、「データ肥大化への対応」。バックアップは生き物で、どんどん増えていきます。そのため、未来を考えて構築しなければなりません。

 ベリタスと日立が築き上げてきたバックアップソリューション

 ―これまで出てきた問題を解決できるソリューションとして、両社のパートナーシップのもとで、バックアップ管理ソリューション「JP1/ VERITAS NetBackup」を提供していますが、両社の関係性を踏まえつつ製品の特長についてお話ください。

松永 ベリタス社とは、バックアップ分野でOEM契約が20年続いています。技術エンジニアのやり取り、サポートサービスに対して特別ルートを作り、お客様満足度を上げるために相互協力してスキルアップに臨んでいます。

高井  日立製作所とは会社として強固な関係を続けていますが、最も長いのがバックアップ分野です。特に日本においては、JP1/VERITASという相互ブランドで製品を提供し、両社の強力なブランドを前面に出して事業を展開しています

松永 バックアップ製品は、旧来の流れでハードウェアに紐づいた組織形態をとっているベンダーが多いですが、日立はずっとJP1という運用管理製品マターでNetBackupを扱っています。そのため、お客様側が要求されることを、利用視点で反映できるのです。

 そういうバックボーンがあるので、現在VDIは大規模スポーツイベント対応などで急速に需要が高まってきた状況ですが、先ほど課題として挙げたVDI環境でのデータ保護やバックアップなどに、お客様の運用管理視点ですぐに対応できます。また、NetBackupはJP1/VERITASとして他のJP1製品とGUIで統合可能で、VDIバックアップ時、JP1画面上での操作面についても特別な負荷はありません。これらが日立のJP1/VERITASの強みです。

HCIパッケージを活用してVDIを大規模導入

 ―バックアップ以外における日立のVDI領域のソリューションを紹介してください。
株式会社日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部 プラットフォームソフトウェア本部 プラットフォームサービス部 企画員 広瀬希氏
株式会社日立製作所 
サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部
プラットフォームソフトウェア本部
プラットフォームサービス部
企画員 
広瀬希氏

広瀬 設定の簡素化という部分でHCIというキーワード出ましたが、当社では導入から運用までをワンストップで支援する「日立HCIソリューション」を提供し、これをVDI基盤として推奨しています。

 仮想化ソフトやJP1をあらかじめインストール・設定し、「使える環境」を提供することで短時間導入を可能にします。また、VDI基盤の管理者が日々の運用で使用する機能やオペレーション、たとえばOS設定まで含めた仮想デスクトップの追加や基盤の拡張などを自動化した「HCI Content Pack」を提供することで、手間と時間をかけない運用を実現しています。

 その他、HCIから仮想デスクトップまでシステム全体の構成情報を可視化できるので、障害の予兆を検知し、障害の影響範囲を把握することも可能です。

 JP1/VERITAS NetBackupもまた、HCI環境と連携するようにあらかじめ設計してオプション提供しています。忘れられがちなバックアップですが、重要だからこそ、HCI環境と同じように俊敏に導入できることが重要であると考えています。もちろん、HCIに標準搭載しているJP1を使って、バックアップ部分も運用自動化や構成把握ができますので、仮想デスクトップやHCI環境の拡張に伴ってバックアップ運用も容易に柔軟に対応可能です。

 これらによって、VDIが基盤に求める拡張性を最適な形で実現し、お客さまに安心して使っていただける盤石な環境を提供しています。

 この日立HCIソリューションを活用したVDIの大規模導入事例もあります。損害保険ジャパン日本興亜様が、ヴイエムウェアの「VMware Horizon」と「日立HCIソリューション for VMware vSAN」を採用し、2万3000ユーザーを対象とした仮想デスクトップ環境を整備されました。

図:日立製作所が用意するHCIソリューション基本メニュー
図:日立製作所が用意するHCIソリューション基本メニュー
 ―最後に両社の連携に関する今後の展望についてお聞かせください。

高井 ハイブリッドクラウド時代を迎え、ベリタスでは、どこにデータやシステムがあっても「継続稼働」「保護して回復する」「データを把握する」データ管理の実現を目指しています。JP1はインフラがどうあっても統合管理できるので、Net Backupと非常に相性が良いです。2025年の壁をともに超えるのはもちろん、将来にわたりお客様のデータの保護と管理、確実にビジネスを継続できるBCPの仕組みを両社で提供していきたいですね。 

図:ベリタステクノロジーズのバックアップソリューション概要
図:ベリタステクノロジーズのバックアップソリューション概要

広瀬 あらゆるワークロードをどんな基盤であっても統合管理するのが日立の方針です。ベリタスの考え方と親和性が高いので、お互いを高め合ってより良いソリューションを提供できればと考えています。

日立製作所の製品詳細についてはこちら

Intelligent Automation バックアップ管理
JP1/VERITAS NetBackup
提供:株式会社日立製作所
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2020年12月31日
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