サーバー管理者を襲う、昼夜を問わない呼び出し

 サーバーの管理上、どうしても現地でなれば対応できない作業は発生するものだ。トラブルが発生したメモリやハードディスクの交換など、物理的な作業を遠隔操作に置き換えることはできない。一方、サーバー管理にまつわるコストの削減・最適化を図るという観点からすると、あらゆるトラブルに一律、管理担当者が現地で対応している---というのは見直す余地があるかもしれない。

 例えば、「サーバーがハングアップしているようだ」とユーザーから報告を受けたとする。もちろん、すぐさま現地へ行って状況確認・対応することもできる。だが、その状況を管理者の自席から(リモートから)確認し、かつ対応までできるとしたらどうだろう。リモート管理を活用することで、これまで「現地対応ありき」できた管理者であればあるほど、1日のスケジュールが劇的に変わるかもしれない。ひいては人件費を含めたトータルの管理コストの圧縮につながる可能性があるのだ。

 日本HPの「HP ProLiantサーバー」は、リモート管理の専用プロセッサーを搭載し、高度なリモート管理が実現可能なサーバー製品群だ。「HP Integrated Lights-Out(通称iLO)」と呼ばれるリモート管理専用プロセッサーを搭載し、OSが停止状態に陥ってもサーバーにアクセスすることが可能で、設置現場に向かわずとも、システムを容易に再起動することができる。それだけではなく、ネットワーク越しにマウントした仮想メディアからOSを再インストールすることも可能なのだ。

 しかも先頃、発表された最新世代の「HP ProLiantサーバー Generation7(G7)」に搭載された「HP Integrated Lights-Out 3(以下iLO 3)」ではレスポンスや仮想メディアのパフォーマンスを大幅に向上させており、より低コストなサーバー管理の可能性を提案している。そこで本稿では、およそ200 台のサーバーを管理するHPの検証センターでの実例を交え、その詳細をお伝えしていく。

HP検証拠点でも活躍するリモート管理テクノロジーOSが起動しなくてもリモートアクセスが可能ローカルドライブに迫る仮想メディアのパフォーマンス消費電力などシステム全体を管理するiLO 3G6から継承される、コスト削減のためのテクノロジー

HP検証拠点でも活躍するリモート管理テクノロジー

岡野家和氏 日本ヒューレット・パッカード株式会社 エンタープライズ ストレージ・サーバー・ネットワーク統括本部
インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部
製品企画部 岡野家和氏

 「ITインフラの導入において、実際は導入コストよりも運用にかかるコストの方が明らかに大きいと言われて久しいですが、この第三世代となる最新のiLO 3は前世代のiLO 2からパフォーマンスが大きく向上しており、これまで現地で行わざるを得なかった作業の多くをリモートから行うことを可能にしました」

 日本HPの岡野家和氏はこのように解説する。最大のポイントは、より軽快な操作を実現した「リモートコンソール」、OSや ファイルを遠隔地からインストールする「仮想メディア」の大幅な高速化だという。

 「同じ人数ならより多くのサーバーを管理でき、より多くのことをリモートで済ませられます。私たちは、iLO 3の “ハイパフォーマンス・リモート管理”による運用コスト削減を提案します。それほど今回のパフォーマンス向上には目覚ましいものがあります」。

相澤恵奏氏 日本ヒューレット・パッカード株式会社 ESSプリセールス統括本部
シェアードサービス本部 ソリューションセンター ITスペシャリスト 相澤恵奏氏

 また日本HPの「HP市ヶ谷ソリューションセンター」でベンチマークを担当する相澤恵奏氏も指摘する。「今回のパフォーマンス向上はインパクトがありました。iLO 3を使える環境が標準になれば、私の1日のスケジュールも変わるかもしれません」

 このセンターは、世界3カ所に集約された検証拠点の1つだ。アジア圏最大の規模を誇り、100台以上のHP ProLiantサーバーをはじめ、50台を超えるHP Integrityサーバー、ストレージやネットワーク製品まで広範な実機を配備。国内やアジアの顧客企業20以上が、24時間体制でセンターを利用して検証を実施している。

 「1カ月あたりのOSのインストール作業だけでも300台以上。ベンチマーク中のパフォーマンスチューニングや、検証作業中に確認された事象の原因究明などに十分な時間を費やすためには、セットアップにかかる作業を可能な限り効率化したいところです。iLOを使えば、自分の席にいながらにして、サーバーに対する様々な操作、OSやパッチのインストールを行え、何度もセンターとの間を行き来する必要がありません」

 現在のような環境がなかった数年前は、お客様から『サーバーが起動しなくなった』との連絡を受けて現地に急行してみると、CD-ROMがドライブに入れっぱなしだった、ということもあったのだそうだ。CD-ROMを取りだすためだけにわざわざ現地に駆けつけているようでは、コスト削減など夢のまた夢である。

OSが起動しなくてもリモートアクセスが可能

 では、改めてiLOの詳細な機能について詳細を見ていく。

 最大の特徴は、iLOがサーバーに独立して組み込まれた「リモート管理専用プロセッサー」であることだ。クライアントOS上で動くWindowsリモートデスクトップやLinuxのSSH(Secure Shell)とは根本的に仕組みが異なるため、電源が入っていないサーバーにiLO経由でアクセスし、起動させることが可能だ。OSに依存していないため、OSがハングアップしてブルースクリーン状態であっても、サーバーに電力が供給されていればリモートで再起動させることができる。その際のコンソール画面も、サーバーの電源投入直後からリモート接続したマシンで確認可能だ。BIOSの設定に至るまで、その場にいるかのように自席のPCから操作を行える。

 もう一つの大きな特長は、ネットワーク越しにマウントできる「仮想メディア」だ。手元のDVD-ROMドライブやUSBメモリなどを、ネットワーク経由でサーバーのローカルデバイスとして認識させることができる。自席から自由に、サーバーOSの入れ替えやパッチ適用、ファームウェアのインストールなどが行えるようになる。

ローカルドライブに迫る仮想メディアのパフォーマンス

 通常、ネットワーク越しのリモート接続では、画面のレスポンスや仮想メディアへのアクセス速度がローカルでのアクセスに比べて大幅に劣る場合がほとんどである。そこでこのボトルネックを大きく解消したのが、HP ProLiantサーバー G7から新たに採用された第三世代の「iLO 3」だ。

 あらたに250MHzで動作するプロセッサーを採用し、従来の66MHzから基本性能が格段に向上。メモリ容量も8MBから128MBへと拡張された。その結果、前世代に比べリモートコンソールの反応速度が8倍、仮想メディアも3倍に向上した。特にこの仮想メディアの速度は、ローカルのDVDドライブに迫るレベルを達成したという。また、日本HPのラボで実際の作業を想定して実施した検証結果によると、前モデルのiLO 2との比較で、OSインストールが58%、ファイルコピーに至っては77%の時間短縮を達成した。こうした高速化も、これまでローカルで行わざるを得なかった作業の多くをリモートで可能とする背景だ。

 最近ではiLOに似たリモート管理機能を拡張カードの形で実装するサーバー製品も多いが、使い勝手では差が開きやすい。iLO 3は障害発生時のコンソールの録画や、複数サーバー管理者によるコラボレーションなども可能で、サーバー管理の現場ニーズにあった機能を用意している。

消費電力などシステム全体を管理するiLO 3

 iLO 3はリモート管理の面だけでなく、サーバーの消費電力管理など、システム全体を最適にコントロールする役割を担う基幹コンポーネントとしても力を発揮する。このiLO 3を標準搭載するサーバー製品としては、メインストリームモデルの「HP ProLiant DL380 G7」、「HP ProLiant DL360 G7」を筆頭に、複数のモデルが提供されている。この2製品はサーバー向けとして初の32nmプロセス製造であるインテル(R) Xeon(R) プロセッサー5600番台を採用しており、電力消費の面でも有利だ。

※サーバーの詳細については、別途資料でご確認下さい

 「最大のポイントは、やはりiLO 3でしょう。自社開発なのでHP ProLiant独自の省電力機能とも、管理ソフトウェア『HP Insight Control』とも密接に連携できています」(岡野氏)

G6から継承される、コスト削減のためのテクノロジー

 ここまで説明してきたように運用管理の効率化がTCO削減に効果的である一方、サーバー運用には電気代や冷却のためのコストも大きな割合を占めていることは言うまでもない。プロセッサーを始めサーバーを構成する多くのパーツが消費電力や発熱量の削減を進めているものの、それを生かすサーバー全体としての設計思想がなくては、電力コストの総量は効果的に削減できない。岡野氏が指摘するHP独自の省電力機能とは、前世代のGeneration6(G6)までに培われたきめ細かいノウハウの集大成だ。

 例えばサーバーの筐体内には「Sea of Sensor(センサーの海)」と呼ばれ、最大32個もの温度センサーが配置されており、発熱している「場所」をピンポイントに把握、その状況に応じて各箇所の冷却ファンの回転を制御するテクノロジーにより、ファンの消費電力を大幅に減らすことができる。

 また電源にも繊細な注意が払われている。まず、交流から直流に変換する際のロス、つまり無駄な発熱が少ない電源ユニットを採用した。これらの電源ユニットは最大変換効率が92%の高水準にあることを示す「80 PLUS GOLD」を取得しているという。さらには運用段階で実際に使用する電力の上限を事前に設定することができる(動的消費電力上限:Dynamic Power Capping)と呼ばれる機能を有し、「全てのサーバーがフル稼働した場合の最大消費電力」ではなく「事前に測定しておいた実際のピーク電力量」を元に設定できるのだ。つまり、管理者は与えられた電力キャパシティ内でより多くのサーバーを稼働させることが可能となる。

 運用管理の最適化はもちろん、サーバーに関わる電力コストや冷却コストをも最適化する「HP ProLiantサーバー G7」。限られたIT予算の中でより高い「投資対効果」を実現したいなら、有力な選択肢となりそうだ。

http://japan.zdnet.com/extra/hp_proliant_201010/story/0,3800109239,20420845,00.htm
進化したリモート管理と省電力性能でさらなるコスト削減を可能にするHP ProLiant サーバーG7の実力とは

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