クラウド活用の“今”をエグゼクティブに聞く  コニカミノルタ  データと自社技術を生かし、サービス提供者への道を切り拓く

2017年より「SHINKA 2019」と呼ばれる新たな中期経営計画をスタートさせたコニカミノルタ。ITを活用したビジネス変革の必要性を認識し、課題提起型デジタルカンパニーの実現に向けたさまざまな取り組みを推進している。「クラウド活用の“今”をエグゼクティブに聞く」の第2回目となる今回は、ITを攻めと守りの両面で統括するコニカミノルタ株式会社 常務執行役 デジタルワークプレイス事業、DXブランド推進、IT担当の仲川幾夫氏に話を聞いた。

カメラとフィルムから撤退し、課題解決型デジタルカンパニーへと変革

--まずは、ここ数年の注力分野についてお聞かせください。

 2003年にコニカとミノルタの統合により誕生したコニカミノルタは、2006年に創業からの事業であったカメラとフィルムの事業から撤退しました。その後、複合機(MFP)やオフィスソリューションを中核ビジネスとし、近年は経営資源をデジタルワークプレイスと呼んでいるITサービスの分野やプレシジョンメディスンをはじめとした新規事業に集中しています。

 特に、ITサービス事業の分野では、2010年末より欧米のITサービス企業への積極的投資を行い、現在、それら40数社の事業基盤を活用したビジネスを進めています。さらに、光学、画像処理、化学などのコア技術を活用するとともに、約200万社の情報機器分野を中心とした顧客基盤を生かし、IoT時代の新しい顧客価値の提供を目指しています。

 また、当社では、グループの経営を支える共通基盤としてのITと、基幹ビジネスを成長させるデジタルトランスフォーメーションの両面を一体的に取り組む「グローバルIT」を推進しています。


コニカミノルタ
常務執行役 デジタルワークプレイス事業、DXブランド推進、IT担当
仲川幾夫氏

--ここ数年、IT活用でビジネスを変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が注目されていますが、DXという言葉が登場する以前から経営戦略の一環としてDXに取り組んできたということでしょうか。

 そうですね。私は2001年から2011年まで米国に赴任し、次の3年間は中国、さらにその後4年間は欧州全体を担当し、2018年3月に日本に帰ってきました。その間、現場においてITサービス企業の買収を通じて課題解決型デジタルカンパニーにシフトしていくための取り組みを推進してきました。

--DXの取り組みでは、クラウドがキーワードになっています。日本のエンタープライズ領域でクラウドが注目されるようになって10年以上経ちますが、クラウドの活用についてお聞かせください。

 既存のデータセンターの仮想化を進め、プライベートクラウドを構築して、基幹システムを運用していました。また、経費精算やメールなどの周辺システムに関しては、パブリッククラウドを利用しています。新しい事業を立ち上げるときの検証環境としても、パブリッククラウドを使っています。必要なときに、すぐに立ち上げられて、迅速にサービスを提供できるプラットフォームとしてパブリッククラウドは有効です。

 基幹システムは、アジア太平洋地域で同じERPシステムを利用していますが、2019年には、これをクラウドに移行する計画です。これにより、柔軟なインフラを実現しようとしています。

 事業におけるクラウド活用の例としては、複合機にサーバを搭載した統合プラットフォーム「Workplace Hub」が挙げられます。Workplace Hubでは、アプリケーションをダウンロードするためのマーケットプレイス機能に外資系のパブリッククラウドを採用しています。外資系を採用したのは、マーケットプレイスが70カ国に展開されているサービスであり、グローバルのサポートが必要だったことが最大の理由でした。

適材適所でオンプレミス環境とクラウドを使い分ける

--サービスを迅速に立ち上げ、必要に応じて拡張できるアジリティを評価して、パブリッククラウドを採用されたようですが、それ以外にどのようなメリットを感じていますか。

 コスト削減に関しては、メールをクラウドに移行したときに、かなりの効果がありました。今回、ERPシステムをクラウドに移行するのも、コストの最適化が大きな理由の1つです。

 一方、デジタルマニュファクチャリングを推進している生産工場では、大量のデータをクラウドでリアルタイムに管理するのはコストがかかり過ぎます。また大量のデータを、クラウドからダウンロードしなければならないので、画像処理がリアルタイムにできません。そこで、オンプレミスとエッジコンピューティングの組み合わせを活用しています。

--適材適所でオンプレミス環境とクラウドを使い分けるということですね。

 そのとおりです。Workplace Hubに関しても、基本はオンプレミスとエッジコンピューティングですが、ワークプレイスでクラウドとシームレスに連携しているので「ハイブリッドIT」と呼んでいます。お客様が、ローカルでデータを処理したい場合、データのダウンロードにコストがかかるのでコスト削減のためにオンプレミスとエッジコンピューティングを利用しているのです。

 また欧州では、「EU一般データ保護規則(GDPR)」により、お客様のデータを保護しなければならない場合、オンプレミスで管理したいという要望もあります。こうした背景から、複合機にサーバを内蔵したWorkplace Hubを提供しています。

--ガートナーでは、従来の拡張性と効率、安全性、精度を重視する「モード1」と、アジリティとスピードを重視する「モード2」の2つを定義する「バイモーダルIT」を提唱しています。企業のクラウド活用において、既存のサービスを新しいサービスに移行していく取り組みについてはどのようにお考えですか。

 今後は、モード1、モード2という考え方自体が変化していくと思っています。モード2に関しては、すでに事業の中で取り組んでいますが、お客様や事業部門のニーズに応えてアジャイルに取り組んでいくことが必要です。そこでクラウドを活用して、アジリティとスピードを重視しています。

 一方、欧米では、ERPシステムの基盤をインメモリーデータベースに移行しようと思っています。この開発は、拡張性と効率、安全性、精度を重視するモード1でありながら、モード2に近いアジャイル開発の要素も必要です。そのため、モード1、モード2という概念が変わっていくと思っているのです。

DXに向けて人材のトランスフォーメーションも推進

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
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