マツモトキヨシのマーケティング戦略を支えるデータ分析基盤--IBMによるアナリティクスPDCAの自動化

 マツモトキヨシホールディングスは、オムニチャネル化の推進による顧客ロイヤルティーの向上を目指し、データ分析基盤を更改した。複数システムに分散しているデータを高速データウェアハウス(DWH)で統合し、多様なデータを自社内で自由に組み合わせ、素早く分析する仕組みを構築したのだ。新しい仕組みは、すべてIBMソリューションで構成され、これまで以上に最適なカスタマー・エクスペリエンスの提供を目指している。

従来の分析システムで抱えていた課題

 「マツモトキヨシ」をはじめとするドラッグチェーンを全国展開するマツモトキヨシホールディングスは、2015年に新中期経営計画を策定。その重点戦略の一つとして「オムニチャネル化の推進」を掲げ、リアル店舗、オンラインストア、スマートフォン向け公式アプリなど複数チャネルを組み合わせた利便性の高いショッピング環境の提供と顧客ロイヤルティーの向上を目指している。このマーケティング戦略を実行する上で不可欠なのが、より柔軟なデータ分析力と、それに基づいた的確な販促施策である。

 着実に効果が上がる販促施策は、精度の高いデータ分析から立案されるが、試行錯誤による最適化が必要になってくる。仮説をもとに新たな切り口でデータを分析し、それに基づいた施策を打ち、結果を検証していく。その企業独自の競争力をつけていくには、こうしたPDCAサイクルの確立が欠かせない。これは、巨大ドラッグチェーンである同社においても例外ではない。特にオムニチャネル化を進めるうえで、それぞれのチャネルに最適な販促施策が求められる。精度の高い分析を柔軟に、素早く実行しなければ、最適なチャネルマーケティング戦略は実現不可能だ。

 同社では従来からデータ分析の重要性を強く認識しており、複数のシステムから各種データを入手し、分析を行っていたが、柔軟な分析をするには非効率な作業が発生していた。

マツモトキヨシホールディングス営業統括本部 営業企画部長 兼 オンラインビジネスユニット シニアユニットマネージャー松田 崇氏
マツモトキヨシホールディングス
営業統括本部 営業企画部長 兼 オンラインビジネスユニット シニアユニットマネージャー
松田 崇氏
マツモトキヨシホールディングス営業統括本部 営業企画部 販促企画課 主事の西山 天平氏
マツモトキヨシホールディングス
営業統括本部 営業企画部
販促企画課 主事
西山 天平氏

 例えば、「顧客属性」「位置情報」「行動履歴」「ライフログ」「商品DNA」など、データプールが個別のシステムに分かれているため、それぞれのデータを組み合わせて分析するには、各プールからデータを引き出し、それらを用途に応じてマーケティング担当者がExcelシートを用いて自分のPC上で、手作業で分析するしかなかった。そのため、「昨日のデータを用いて分析し2日後には新しい販促プランを実行する」といったことは困難だった。これは、仮説検証を行う場合でも同じで、同社 営業統括本部 営業企画部長 兼 オンラインビジネスユニット シニアユニットマネージャーの松田 崇氏は、担当者が分析業務に苦闘する様子を見て、複雑な分析テーマに取り組めるシステムの必要性を痛感した。

 「従来のデータ分析は購買時点に限られており、購買結果からニーズや嗜好を読み解くだけでした。コミュニケーションのデジタル化と拡大によって多様な顧客属性が分かるようになってきています。さらに、気象情報や地域のイベント情報などの外的要因も複合的に捉えながら、購買に至る前段階の興味・関心の推移、複数のチャネルをまたいだ行動をより深く読み解いていく必要があると考えました」(松田氏)

 同社で分析の実務を担当する営業統括本部 営業企画部 販促企画課 主事の西山 天平氏は、従来システムでの分析結果は、精度は高かったものの、チャネルをまたいだ顧客分析はできないという課題が残っていたと話す。

 「店頭購入の分析に気象データを活用するなど、分析ノウハウは貯まってきましたが、やりたいことが増えると手作業での分析は厳しいのが実情でした。分析したいシナリオや検証したい仮説があっても、十分な時間を割けないという課題がありました」(西山氏)

豊富な導入実績があるIBMソリューションを提案

 こうした現状では、オムニチャネルによる顧客ロイヤルティー向上は難しい――そう判断した松田氏は、データ分析基盤の更改を決断する。同社は新たなデータ分析基盤に求める要件をRFP(提案依頼書)にまとめ、複数のSIベンダーに提案を依頼した。その中からマツモトキヨシが採用を決めたのが、IBMソリューションを活用した日本情報通信(NI+C)の提案だった。

 これは、複数のコミュニケーションチャネルや既存システムからの一元的なデータ抽出・加工・ロード処理を担うETLツール「IBM InfoSphere Information Server(DataStage)」、大量データ処理に高速パフォーマンスを発揮するデータウェアハウス「IBM PureData System for Analytics」、さらに分析プラットフォーム「IBM SPSS Modeler」「IBM SPSS Collaboration and Deployment Services(CADS)」、キャンペーン管理の「IBM Campaign」などをシームレスに連携させた統合基盤だ。

 NI+C バリューインテグレーション本部 ソフトウェア・テクニカルセールス部 第3グループ 主査の二村 辰一氏は、この提案について次のように話す。

 「ETLツールのDataStageには、マルチベンダーの複数システムに散在するデータを効率的に収集・加工できるという特長があります。また、PureData Systemは非常に高速に動作するデータウェアハウスです。これらによって、複数種類のデータを簡単に『つなぐ』『ためる』ことが実現でき、さまざまなデータソースを活用するマツモトキヨシ様にとって最適なソリューションです。統計分析を行うSPSSによる『活用する』ことも含め、豊富な導入実績があったことから、当社が自信を持って提案しました」(二村氏)

分析結果に基づいた、顧客へのアクションの自動化も実現

 導入にあたっては、これまでの知見からプロジェクトのフェーズを2つに分けるプランを提案した。すなわち、第1フェーズでは分析環境を整えて複数のモデルを作成・検証するところまで、その検証済みモデルが完成してからの第2フェーズでは、第1フェーズで作成したモデルを活用したマーケティング自動化システムを稼働させるというものだ。

 また同時にNI+Cがマツモトキヨシの分析担当者向けに教育・研修を行う「NI+C伴走サポートサービス」を提供し、社内で使いこなせるようになるまでサポートするという提案も加えた。こうした分析を行おうとする際には、高度な専門知識を持つデータサイエンティストだけではなく、マーケティングの担当者が自ら存分にデータ分析を行い、結果をだしていくことが重要だからだ。

 松田氏は、この提案について「安心感の持てる提案だった」ことが採用の決め手になったと言う。西山氏も「研修プログラムが充実し、基礎から手厚くじっくり時間をかけてトレーニングを実施してくれるNI+Cとならば一緒にやれると感じた」と話す。

 こうして2016年1月にNI+CとIBMによる提案の採用が決定。6月から開始される全データを使った本格的な分析に向け、1~2月にシステム基盤構築と並行し「NI+C伴走サポート」の要件定義を実施、3~5月に、実データから取り出したサンプルを使っての分析処理構築のノウハウを習得いただいた。この第1フェーズにおよそ1年をかけ、9本の分析モデルが完成。これらのモデルは分析分野や対象を分けて作成し、ここからモデルを発展させたり似通った分析に流用したりできるようにした。その結果、80以上の分析モデルを試し、実際に使えるようになったものも多い。

 2017年4月には、分析自動化への取り組みを発展させる第2フェーズがスタート。7月までに「IBM Campaign」の導入を終え、分析の結果に基づき販促メールを顧客に送付するといったプロセスまでのマーケティング自動化を実現する環境が整った。現在は分析モデルを組み込んで顧客へのアクションを自動化する施策が次々と実用化されている。

図:マツモトキヨシホールディングスのシステムイメージ 図:マツモトキヨシホールディングスのシステムイメージ
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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2019年4月30日
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