プロフェッショナルが語る、これからのストレージ③
見落としがちなコンテナ環境でのストレージの重要性

クラウド環境におけるアプリケーション運用基盤としてコンテナに注目が集まっている。だが、コンテナ環境を構築していくうえで、ストレージの重要性については意外と知られていない。コンテナ環境におけるストレージのスペシャリストである日本IBMの田中 裕之氏に、その重要性について話を聞く。
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 
ハイブリッドクラウド & AIシステムズセンター
ITスペシャリスト
田中 裕之 氏

 コンテナ環境の構築というと、まずアプリケーション周りの話が先立つだろう。しかしアプリケーションが稼働するということは、さまざまなデータが発生することを意味しており、データなくしてアプリケーション運用は継続できないことを考えれば、コンテナ環境の運用には、その運用方法や規模に最適となるストレージ環境を考えてなくてはならないということになる。

 日本IBMの田中 裕之氏は次のように話す。

 「コンテナ環境に障害が起きて、あるアプリケーションを搭載したコンテナを停止させたとしても、次に立ち上がってくる新しいコンテナでは、従来のデータが引き継がれなければ、エンタープライズ利用では用をなしません。また、ストレージの選択を間違うとデータのやり取りに手間取り、ボトルネックになりかねないのです」

 まずコンテナ環境について、簡単におさらいしておこう。コンテナ環境では、一般の仮想環境のような業務レベルでの可用性は配慮されていない。クラウドネイティブの思想が根底にあり、障害が発生した場合でも基本的にサービス全体が止まらなければOKとする仕組みとなっている。コンテナを動かしていたホストが落ちた場合、そのコンテナを別のホストで立ち上げることは可能だが、IPアドレスが異なり、何もしなければデータも引き継がれない。以前のことはまったく関知せず、新たにコンテナが立ち上がることになる。

 では新しいコンテナが立ち上がったら、蓄積したデータと連動する仕組みはどのように機能するのか。

 「そこで用意されているのが永続ストレージと呼ばれる仕組みで、コンテナの外に別建てのストレージを置くことでアプリケーションのデータを保護することが可能となります。このようにコンテナ環境とストレージは、切っても切り離せない不可分の関係にあるのです。したがって新たにコンテナ環境を構築する際には、アプリケーションの動作を確認するだけでなく、その後の運用まで見据えて、あらかじめストレージも含めたインフラ構成で検証を行っておくことが肝要です」(田中氏)

 コンテナ環境に最適なストレージはどのように考え、検討していけばいいのだろう。もちろん構築していくコンテナ環境によって、ストレージの種類はかわってくる。インフラを担当する側としては、アプリケーションを開発する側に対して、どのようなイメージになるのかを聞き取りする必要がある。

 しかし田中氏は、ここで問題が発生しやすいと指摘する。それは開発するアプリケーションやサービスによって、どれが最も適したストレージなのか、正直なところまだわからない、というケースが多いという現状があるからだ。

 「どういうアプリケーション環境になるのかなんてまだわからない、というケースがいまのところ多いはずです。クラウド環境で運用しているアプリケーションがあって、データもクラウド側で持っているという場合、時間の経過によって、コスト面からデータストレージはオンプレミスに持ってきた方が合理的だという発想が出てきてもおかしくありません。コンテナ環境そのものは、クラウドでもオンプレミスどちらでも構築できますが、運用面では複数のアプリケーションコンテナを運用しながら、データの管理も低コストで実施していかなくてはならない、という局面も発生します。そのあたりのことをあまり意識しないで拡大させていくと、後から大変なことになって、運用にも支障がでてくる可能性もあります」

 つまり不確定な要素が山積みで、なかなか戦略的にコンテナ環境に利用するストレージ基盤を調達するのは難しいということになる。そこでもとめられるのは、環境の変更に応じて、迅速かつ可能な限り低コストで、最適なストレージ環境を調達できることだ。さらにいえばどのような環境変化にも対応できる包括的なストレージサービスを利用することが不可欠になる。

 IBMではあらゆるコンテナ化アプリケーションの要件に対応するストレージとして、Red Hat OpenShiftに対応したストレージ・ソフトウェアのバンドル製品である「IBM Storage Suite for IBM Cloud Paks」を用意している。田中氏は、「IBM Storage Suite for IBM Cloud Paks」について次のように話す。

 「IBMとRed Hatのストレージソリューションを同時に利用できるところが一番の特長です。具体的にはIBM Spectrum Scale、IBM Cloud Object Storage、IBM Spectrum Discover、IBM Spectrum Virtualize for Public Cloud、Red Hat Ceph Storage、Red Hat Container StorageといったIBMとRed Hatの計6種類のストレージ・ソフトウェアを、自由に組み合わせて利用することができます。ブロックストレージ、オブジェクトストレージ、ファイルストレージのいずれのタイプのストレージも提供しています。また、クラウドにインストールするもの、オンプレミスにインストールするもの、さらにその両方の環境で動かせるものもあり、この6つのソフトウェア・ストレージの組み合わせで、ほとんどのアプリケーションの要件に応えることができます」

 リモートワークなど新しい働き方を導入しながら、DXを進めていくには、一部の担当者だけが開発環境として利用するのではなく、本番環境でのコンテナ活用が進んでいくことは明白だ、と田中氏は話す。

 そうした時代を目前にして日本IBMでは、コンテナ環境とストレージとの関係について詳細に解説し、「IBM Storage Suite for IBM Cloud Paks」の利用方法、導入メリットなどについて紹介しているウェビナーを提供している。コンテナ環境の拡大を準備しているシステム担当者には、避けて通れない課題を分かりやすく説明しているので、大いに参考になるはずだ。

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2021年6月30日
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