テレワークでの「脱ハンコ出社」をきっかけにはじめる業務改善のすすめ抜本的な組織のデジタル化が進められるチャンスは「今」

コロナ禍の影響で、一気に社会的な関心が高まった「テレワーク」「業務のデジタル化」。多くの企業が「テレワークせざるを得ない」状況の中で、業務の中にあるアナログな「紙」や「捺印」をベースにしたプロセスが、リモートで仕事を進める上での障害になったケースも多かったのではないだろうか。この春、企業の業務プロセスをデジタル化し、改善していく基盤として多くのエンタープライズ企業で導入実績のある「intra-mart」を提供するNTTデータ イントラマートと、電子サインツールである「Adobe Sign」を提供するアドビは「Adobe Sign SI/連携ソリューションパートナー契約」を締結したと発表した。社内外を通じた承認や契約プロセス全体のデジタル化に有効なソリューションの提供で協業する両社の担当者に、日本企業がITツールを活用して業務を改善し、生産性を高めていくために必要な要素について聞いた。
出席者
アドビ株式会社
マーケティング本部 デジタルメディア ビジネスマーケティング 執行役員
北川 和彦 氏
アドビ株式会社
デジタルメディア事業統括本部 営業戦略本部
昇塚 淑子 氏
株式会社NTTデータ イントラマート
デジタルビジネス推進室 BIORA推進グループ
アライアンス担当ディレクター
七島 泰介 氏
株式会社NTTデータ イントラマート
デジタルビジネス推進室 エバンジェリスト
久木田 浩一 氏

2年以上の実績があるアドビとNTTデータ イントラマートの協業

-この春にアドビの電子サインツールである「Adobe Sign」のSI/連携ソリューションパートナーとして、intra-martを提供するNTTデータ イントラマートが新たに加わりました。はじめに、このパートナーシップが結ばれた経緯についてお聞かせ下さい。

北川氏

 われわれアドビと、NTTデータ イントラマート社の協業は、実は2年以上前からスタートしていました。Adobe Signは、使い勝手の良さとセキュリティ、信頼性の面から多くの企業様に利用していただける電子サインのソリューションですが、単体では企業における実際の業務フローに組み込む上で、どうしても足りない部分が出てきてしまいます。そこで、業務に根付いたワークフローシステムを長年にわたって提供されている、NTTデータ イントラマート社のような企業とのパートナーシップが重要になります。

久木田氏

 NTTデータ イントラマートとしては、Adobe Signの仕組みに強く注目しています。2018年の金融業界向けセミナーでは、金融機関がお客様の住所を変更するためのシステムを、Adobe Signとintra-martを連携したデモとして披露しました。スマホで行える登録処理から、住民票の写しイメージのアップロード、Adobe Signを使った本人のサイン後、社内でのワークフロー承認処理を経て、基幹システムへRPAが住所データを書き換え更新するという一連のプロセスをBPMがオーケストレーションしデジタルプロセスとして自動実行させるというデモだったのですが、当時はRPAが注目を集めていたこともあり、多くのお客様に関心を持って頂きました。

なぜ日本企業で「業務のデジタル化」が進まないのか

-今、コロナ禍の影響で、企業のテレワークや、それに付随した業務プロセスのデジタル化への関心が高まっています。また、コロナ禍以前から、そうしたことは「働き方改革」や「ITによる業務効率化」、あるいは「デジタルトランスフォーメーション」(DX)といったテーマの中で、繰り返し啓蒙されてきたにも関わらず、なかなか実現してこなかったという状況があります。多くの企業にツールとソリューションを提供されている両社の立場から、企業における「業務のデジタル化」を阻んでいる要因はどこにあると捉えておられますか。

北川氏

 コロナ禍以前からの傾向ですが、アドビにも、紙前提で行われていたさまざまな業務プロセスをデジタル化したいというお問い合わせが増えてきています。それ自体は良いことだと思うのですが、その際、自社の「業務プロセス」そのものの改善について、並行して考えておられる企業は、まだ多くないことを危惧しています。

 現状、社内で行われている業務のプロセスに本当に「ムダ」がないか。例えば、今はそういうものだと思っている「交通費精算する申請書類にハンコが必要」というのは合理的なのかとか、そういった部分をひとつひとつ見直して、改善する取り組みを行わずに、今のままのプロセスをそのままデジタル化しようとしても、難しいのではないかと感じます。

久木田氏

 「業務プロセスそのものの改善」に取り組めていない企業が多いことが、業務のデジタル化を難しくしているというのは同感ですね。当社では、intra-martを通じて、これまで多くのお客様に、業務プロセスの改善、改革、デジタル化といったソリューションを提供してきました。その中で、最初にやるべきこととして挙げているのが「業務の可視化」です。

 これは、日本企業特有の傾向でもあるのですが、部門単位、あるいは事業部単位での「業務一覧」も作っていない、あるいは業務一覧や業務マニュアルが機能していない企業が非常に多いのが実情です。組織の中でどんな業務が行われているかのリストがないというのは、会社として「自分たちの業務について詳細を把握できていない」ことになります。もちろん、そのプロセスについてもあいまいなまま、阿吽の呼吸で日々の業務を進めています。

 また、近年注目を集めている「DX」についての、思い違いも多くあるようです。経済産業省によるDXの定義では、単に「現在の業務を新しい技術を活用してデジタル化すること」ではなく、その前提として「顧客や市場の変化に追従しながら、製品やサービスだけではなく、企業のビジネスモデルやビジネスプロセス、企業風土を変えていくこと」とされています。その部分を飛ばしてしまって、正しい現状の可視化や、お客様の視座から見たあるべき姿の検討が十分にされていない業務をただデジタル化しようとしても、うまくいかないケースが多いです。

 われわれは、これまでにintra-martを通じて培ってきたノウハウと、共にチャレンジするお客様との活動を元に、企業や組織をデジタル化の恩恵を享受できる姿へ変革するためのフレームワークを完成させました。この中でも単なる「デジタル化」だけではなく、お客様のビジネスをお客様自身の手による業務プロセスの可視化と改善、そして、組織内でそれを推進し、PDCAサイクルを回していけるDX人材の育成といった研修サービスとデジタル化ソリューションを合わせて提供し、成功企業を次々に輩出しています。

 こうした前提がなければ、抜本的な「業務のデジタル化」は難しいのですが、既存の業務を可視化して、変えていくということに抵抗感がある組織というのは、まだ多いのが現状です。

七島氏

 今回、コロナ禍の影響によって、多くの企業で、半ば強制的にテレワークが実施され、これまで当たり前だと思ってきた業務プロセスが抱えている、さまざまな課題も見えてきたのではないかと思います。ITを活用した業務のデジタル化と、生産性の向上に対する意識が日本全体で高まっているこのタイミングを逸してしまうと、この先、そうした機会は失われてしまうのではないかと危惧しています。

業務のデジタル化を進める際の「ポイント」は?

-そうした「業務プロセスの可視化と改善」を前提として、企業がデジタル化を進めていく上でのポイントは何でしょうか。

北川氏

 アドビとしては、3つのポイントがあると思っています。1つは、今までのお話しにあった「業務プロセスそのものを効率化した上で、それをデジタル化すること」。2つ目は、今、社内にある情報を企業の「資産」と捉え、それを将来においてどう活用できるかという視点を持つこと。3つ目は、業務プロセスをデジタル化した際のユーザーの手間や負担を減らすことです。このいずれのポイントにおいても、Adobe SignとAdobe Acrobatを含むAdobe Document Cloud のデジタルドキュメントソリューションは活用できると考えています。

久木田氏

 業務プロセスを可視化する際には「作業方式」「ルール」「流れ」という3つの要素を明確にします。「作業方式」というのは、ある作業を誰がどのようにやるかということ。「ルール」というのは、各種フォーマットや、その作業を行う際に、どういう状況ならばどうするといった決まりごと。「流れ」は、作業がどこからどこへつながるかということ。これらを明文化して、仕事に関わるすべての人々に見えるようにしていくことが重要です。

 Adobe Acrobatは、情報の加工、流通、保存にあたって非常に優れた電子フォーマットです。社内で利用するデジタル文書のフォーマットをAdobe Acrobat、電子サインをAdobe Signに統一するという「ルール」があれば、可視化したプロセスをデジタル化していく際にもスムーズに進むのではないでしょうか。

 あと、業務プロセスの可視化と改善にあたって留意すべきことは、ある特定の業務や部署だけではなく「業務全体を俯瞰する」ということです。会社の業務というのは、個々の業務が複雑に連携し、影響し合いながら動いています。部分最適ではなく、全体最適で考えなければ、デジタル化によるメリットも限定的なものにとどまってしまいます。

 業務全体を通して見ると、多くの業務において、全体をデジタルプロセス化しストレートに業務が完結できるケースはそれほど多くないことに気付くと思います。社内外のオーダー処理は多種多様で、条件が変われば人手を介さなければならない部分も出てきます。可視化したうえで、まずは「案件でこの条件であればデジタルプロセスに流せる」と判断できるところから、段階的にデジタルプロセスに乗せ、人手が必要な例外ケースが出てきたら、アナログ処理のプロセスに分岐させ実施する。その対応を記録しておき、デジタル化を検討し実現していくという作業を繰り返していくのがポイントになります。どうしても避けられない「例外」を考慮せず、全部を一気にデジタル化しようとすると破綻しがちです。まずは「人が介在する案件」「デジタル化して自動化できる案件」を分けながら処理していき、徐々にデジタル化できる部分を増やしていくという進め方をお勧めしています。

Adobe Signとintra-mart は「業務のデジタル化」にどう貢献できるか

-それぞれにお話し頂いたポイントにそって、業務プロセスのデジタル化を進めていく上で、Adobe Acrobat、Adobe Sign、そしてintra-mart といったプロダクトは、どのように役立てることができますか。

昇塚氏

 まず、先ほど北川がポイントとして挙げた「デジタル化した際のユーザーの負荷を下げる」という点でも、アドビのソリューションには優位性があります。社内ユーザーのITリテラシーには大きな幅があり、業務のデジタル化を推進していくにあたっては、誰にとっても使いやすい仕組みを導入することが重要です。Adobe Acrobatは、アドビが最初にPDFフォーマットを作り上げた時から「紙と同じように使いやすい」ことを設計思想として開発が続けられており、今に引き継いでいます。

 電子サインツールであるAdobe Signにも、その思想は反映されています。Adobe Signを承認や契約のプロセスで利用すると、ユーザーには「サインを求められている書類がある」ことがメールで通知され、メールに記載されたリンクををクリックするとクラウド上にある書類がブラウザで開き、承認作業ができます。この仕組みを導入するために、これまでに使っていなかったハードやソフトを新たに導入したり、使い方を一から覚えたりといった意味でのハードルはありません。

 もちろん、バックエンドでは情報の暗号化や認証、アクセスログの記録など、細かい仕組みが動いているのですが、そうした部分はAdobe Document Cloud上で自動的に処理され、ユーザーからは見えません。ユーザーは、机の上で書類にハンコを押すのと同じ感覚で、ブラウザで書類を開きサインをすることができます。

 Adobe Sign単体でも、シンプルな回覧承認といった、ある程度のワークフローは実現できますが、ドキュメントそのものの作成プロセスや、事後処理といった「業務全体を通じたワークフロー」の構築にあたっては、intra-martのような、業務向けワークフローエンジンとの連携が効果的です。intra-martには、APIベースでAdobe Signと連携できるコネクタが提供されています。Adobe Signによる電子サインのプロセスは、アドビが30年以上かけて構築してきたセキュアなドキュメントプラットフォーム上で実現し、最終的に蓄積された情報を将来にわたって確実に閲覧でき、活用できることが保証されています。

 ビジネス上の承認プロセスに「電子サイン」を利用するにあたっては、法的な有効性、証拠性に不安を抱かれる企業も多いのですが、Adobe Signでは、紙の世界の「実印」にあたる認証局発行のデジタル署名に加えて、より手軽な「認印」的に利用できる電子サインを合わせて活用できることで、社外との契約や取引、社内での承認プロセスなどのデジタル化に幅広く対応できます。なお、Adobe Signの電子サインは、サービス提供事業者の証明書による「立会型」と呼ばれる仕組みになりますが、2020年7月には「電子署名法」の解釈として、この立会型電子サインを容認するという見解が政府から出ています。これによって、社外との取引、契約にも安心して利用してもらえるものとなっています。

七島氏

 intra-martでは、ここまでで話のあった「業務の見える化」や、それをベースに改善した業務プロセスを、独自のメソッドと組み合わせてシステム化していくトータルなソリューションを提供できます。業務のはじめから終わりまでの全体をデジタル化し、社員が「いつでもどこでも働ける」環境を作っていくことに貢献できるプラットフォームです。

 Adobe Signとの連携によるソリューションでは、intra-martによる自動化されたプロセスの中に、シームレスにAdobe Signを取り込むことができ、作業に応じて別のツールを使い分けるといった手間を大きく削減できます。

-最後に、アドビとNTTデータ イントラマートとの提携を通じて、今後、どのような展開が考えられるか、一言ずつ展望をいただけますでしょうか。

北川氏

 Adobe Sign SI/連携ソリューションパートナーにNTTデータ イントラマート様に加わっていただいたことで、今後、業務プロセス全体の業務効率を図っていきたいと考えておられる大規模企業へのアプローチを今まで以上に強化していけると期待しています。アドビだけでは難しかった業種、業界へ、幅広くAdobe Signのソリューションをご紹介できる機会が増えていくと考えています。

七島氏

 今回の発表は、たまたまコロナ禍によってテレワークへの関心が高まった時期と重なってしまったのですが、両社協業の取り組みは、2018年以来、時間をかけて取り組んできたもので、一朝一夕のソリューションではないという自負があります。intra-martとAdobe Signの組み合わせによって生まれる価値は、ほかにはないものです。

 既に実際の導入実績も多数あります。その中には、社内の承認プロセスだけではなく、「注文書」「注文請書」「検収書」「請求書」といった企業間の取引書類にAdobe Signによる電子サインを適用した事例もあります。業務プロセスの「可視化」「改善」「デジタル化」を通じて、業務効率を高めることを検討していらっしゃる企業様には、ぜひ、ご相談をいただければと思います。

-ありがとうございました。

提供:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2021年3月31日
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