ハイブリッドワークに進む現場業務のデジタル化 前編すぐに“試す・使う”ができる
JBSの「アプリポケット with Microsoft Power Platform」

日本ビジネスシステムズ(JBS) モダンワークプレイス本部クラウド開発部 マネージャー 江口慧氏
日本ビジネスシステムズ(JBS)
モダンワークプレイス本部
クラウド開発部
マネージャー 江口 慧(さとる)氏

 コロナ禍による社会や生活様式の大きな変化は、ビジネスにも大きな変化を促している。中でも、働き方改革はビジネスを成長させるための最優先課題だ。しかし、リモートワークを導入した企業では、在宅勤務状況の把握や、管理書類の提出のためだけの出社など、働き方が変わった影響によって発生した新たな課題と対応が大きな負担になっている。この現状を打開して本当にビジネスの価値を最大化するための取り組みとして注目されるのが、現場主導の業務のデジタル化である。

 この具体的な例として、ローコードアプリ開発プラットフォーム「Microsoft Power Platform」を利用したアプリケーションの導入を模索する企業が増えていることが挙げられる。

 企業が提供するアプリケーションの利用対象者がデスクワーカーにとどまらず、現場ユーザーへと広がる中、JBSが持つシステムインテグレーションのノウハウを交えて、現場業務のデジタル化を進めるための施策を2回に分けて詳しく解説する。

 クラウドインテグレーターとして実績を伸ばす日本ビジネスシステムズ(JBS)でPower Platformの取り組みをリードするモダンワークプレイス本部クラウド開発部マネージャーの江口 慧氏が紹介してくれた。

デジタル化を阻害するユーザーの悩み事

 メディアや調査会社が実施したさまざまな調査を見ると、ほぼ全てのビジネスリーダーが、フロントラインワーカーが従事する現場業務のデジタル化が企業の差別化、競争優位につながると考えていることが分かる。一方で、デジタル化を実施できているのは25%程度にとどまり、デジタル化に関する理想と現実のギャップが存在しているようだ。

 また、コロナ禍以前は、リモートワークを導入している企業が少なかっただけでなく、利用するメンバーも限られていた。だが、2020年4月の1回目の緊急事態宣言では、60%以上の企業がリモートワークに対応したと言われており、リモートワークの利用者も全社規模に広がっている。このような急激な業務環境の変化は、デジタル化を推進したいビジネスリーダーと、現場のユーザーの間にデジタル化に対する意識のギャップを生じさせ、変化を嫌う現場がデジタル化の阻害要因となってしまう場合も浮き彫りになった。

 現場業務のデジタル化が進まない原因を突き止め、解消するために必要なことは何だろうか――江口氏は、

 「Microsoft 365などの統合ツールを利用し、最新のデジタル環境に慣れることが一つの近道になります」と紹介する。個別開発は要件定義から開発、テストにかかる時間を考慮すると、あらかじめ統合された外部のクラウドサービスを活用する発想が必要という。

 Microsoft 365ではチャット、メール、ファイル共有の機能を統合したMicrosoft Teamsが提供されている。基本機能のほかに、Teams対応のアプリケーションを組み込むことでさまざまな業務ロジックを追加できるのが特徴だ。「Teamsのような統合ツールを迅速に導入し、最新のデジタル環境に触れることで、デジタル活用のハードルを下げる」(江口氏)ことがポイントになる。

 その上で、現場のユーザーが求めるアプリケーションを適切なタイミングで提供していく。提供した後もアプリケーションの使用感などを都度評価し、改善を繰り返すのが、現代におけるアプリケーションの開発手法だ。

 例えば、自社ポータルに掲載された情報やチーム全体宛に受信したメールをTeams上の1つのチャネルに情報を集約すべく、Power Platformを使って自社ポータルに掲載された情報を自動投稿するように設定したとしよう。最初は使い勝手が良いと感じたが、使っていくにつれ、あらゆる情報が表示されるようになってしまい、結果として情報過多となり業務に支障が出ることが分かったとする。

 「こうした課題が見つかり次第、引き返す、やめるといった選択ができることが大事です」と江口氏。まずは単機能で使えるかどうかを調べるといったように、開発は小さく始めて結果を確認し、問題なければ継続、拡張するという手法である。それが、現場メンバーの柔軟なアイデアを生かす環境づくりにつながる。たとえ「業務のやり方を変えたくない」「時間がないので対応できない」という現場の声があったとしても、「メリットを理解してもらえれば、やがて乗り越えていける」と江口氏はアドバイスする。

 江口氏の経験から、デジタル化を企業に浸透させるためには大切なポイントは次の3つだ。

取り入れ方、活用方法に気づくこと
業務のどこに利用すると効果的か気づく仕組みを提供する。ローコードでアプリケーションが簡単に実装できることの価値やイメージを実感してもらうことで、自主学習を促せる。

実際に試して体験できること
自己学習を通して発想した内容をローコードで開発したアプリケーションをすぐに体験してもらう。実際に触れ体験することでより発想が広がり、アイデアが柔軟に生れていく。

欲しいと思ったものが作れること
体験したことで生まれた発想をすぐに形にできると気持ちが高まる。チャレンジ精神を育み、現場が能動的に魅力のある発想を提示するようになる。

 従来は、情報システム部門を介してユーザーの要望をベンダーに伝え実装していく形が一般的だった。最近ではベンダーが試験環境や成功事例に関する情報、サンプル、ナレッジを用意し、ユーザーと共有するようになってきた。それを利用して現場業務の推進役となる社員をデジタル化の取り組みに巻き込み、企業内にコミュニティーを形成して活動する企業も出てきている。「特に、1回目の緊急事態宣言後に、そうした企業がかなり増えた印象があります」(江口氏)

JBSモダンワークプレイス本部が提供する付加価値

 JBSは、社員の7~8割を技術者が占め、上流コンサルティングからシステム構築、運用・保守まで、ITサービスのあらゆる領域を手掛けている。中でも江口氏の所属するモダンワークプレイス本部は2020年10月に発足したばかりだ。モダンワークプレイス本部は、マイクロソフトの製品ごとに分かれていた組織が再編され、Teamsを含むMicrosoft 365など新たな働き方を支援する「モダンワーク」を軸に集約した組織である。

 江口氏は、2008年からSharePointを一貫して担当し、企業の情報共有ポータルの構築プロジェクトを数多く手掛けてきた。その豊富なノウハウを生かし、2020年からPower Platformの普及推進に取り組んでいるそうだ。江口氏によれば、同社にとって最も関係の深いパートナーが日本マイクロソフトであり、「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー」を9年連続で受賞しているという。

課題解決に活かすPower Platform

 リモートワークの普及で高まる現場を巻き込んだ業務のデジタル化は、実際にどう進めれば良いのだろうか。JBSは、ローコードアプリ開発プラットフォームであるPower Platformを利用したアプリケーション導入を支援する「アプリポケット with Microsoft Power Platform」を提供している。

 Power Platformで構築されたアプリケーションの使用感を確認でき、業務の改善効果を検証できることが特長だ。トライアル用に用意したMicrosoft 365環境上で、JBSが提供するアプリケーションの一覧からユーザー企業がデジタル化、効率化で使いたいアプリケーションを試し、選べるサービスである。

アプリ一覧にないお客さまの要望に沿ったアプリの試用にも対応しています。ご相談ください。
アプリ一覧にないお客さまの要望に沿ったアプリの試用にも対応しています。ご相談ください。

参考:アプリポケット with Microsoft Power Platform

 アプリポケット with Microsoft Power Platformを提供する狙いを、江口氏は次のように説明してくれた。

 「アプリポケットは、Power Platformによるローコード開発のアプリケーションを活用したくても、知識や経験に不安がある企業の利用を想定しています。JBSはこれまで多数の開発を手掛けてきたアプリケーションをメニュー化しており、お客さまはその中からデジタル化をしてみたい業務に合ったアプリケーションを選んで試すことができます。そこで効果を確認することができれば、そのまま本番環境で利用することができます。自社の環境に展開したい、カスタマイズをしてみたいといったご希望にも応じてデジタル化をご支援します」

 江口氏によれば、本来はPower Platformで構築されたアプリケーションに慣れてもらうことが目的だったが、顧客の要望はそこから次第に広がり、既存メニューにある定型のアプリケーションではなく、顧客が自分たちで発案したアプリケーションも扱えるようにしてほしいという要望が増えている。

セミオーダーの新サービス「アプリメーカー」

 そこでJBSは、セミオーダーメイド型で顧客が要望する仕様や機能をPower Platformを使ってアプリケーションに実装し、本番導入まで支援する新しいサービス「アプリメーカー」の提供を始めるという。

 顧客が欲しいアプリケーションのイメージをJBS独自設計のフレームワークに沿って回答し、まずプロトタイプを提供する。ここからプロトタイプの検証を複数回行いながらスピーディーにアプリケーションを開発し、本番導入までをサポートする。

 Power Platformを使ったアプリケーションは、ユーザー自身でも手軽に構築できる。しかし、Microsoft 365のさまざまなアプリケーションと連携させるといったような、より本格的な活用を考えた場合には、「連携する先のアプリケーションの仕様や最低限のウェブアプリケーションの開発手法などを理解しておく必要があります」(江口氏)という難点があった。

 アプリメーカーは、それが障害となって導入に踏み切れないという企業の相談にJBSが応じ、悩みを解消する。ローコードによる実装期間の短縮メリットを活かして、イメージしている機能を即座に実装し触れて確認することで、本当に必要な機能に絞った実装を可能としている。また、Microsoft 365のアプリケーションとの連携も考慮したより使いやすい機能を検討するといったことが可能だ。

参考:アプリメーカー with Microsoft Power Platform

 開発するアプリケーションは、Power PlatformのPower AppsとPower Automateを組み合わせて実装する形が基本となる。Power Appsを利用してユーザーが操作する画面を構成し、その画面を通して入力したデータの処理プロセスをPower Automateで自動化する。 規模や複雑さにもよるが、2か月ほどで作成し、試用を経て評価するのが一般的だ。より複雑なアプリケーションの場合は3か月ほどで作成し、本番環境に展開するまでに4か月ほどかかる。

 例えば、ベネッセコーポレーションではアプリポケットの試験導入から全社導入までを4カ月で実現している。Power Platformによる導入は、スモールスタートし、機能の改善や廃止などをスピーディーに回すサイクルが大切だ。「そのスピード感を重視して、アジャイルに対応していきます」と江口氏は強調している。

 後編では、ベネッセコーポレーションの導入事例を詳しく紹介する。

後編はこちら

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