企業内部に眠っている価値あるデータ
NTTデータ グローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)は、これまで数多くのSAPソリューションの導入から運用保守、拡張開発支援など、多岐にわたるサービスをワンストップで手掛けてきた。そうした中で、運用が開始されたもののプロセスの一部に課題が残されているケースや、蓄積されたデータが活用されないままになっていることを目の当たりにしてきたという。
「SAPソリューションを導入してデータが蓄積されているのに、活用されず放置されていたり、解決すべき対処方法が見つけられないというケースが散見されていました。我々からすると、活用できるデータが豊富にあり、課題解決の切り口もあるのにもったいないと感じるのですが、お客さま自身が蓄積しているデータの価値に気づいていないということも多くあります」と話すのは、同社のアウトソーシング事業部 ソリューション統括部 DXチームの坂井 進一郎氏だ。
そこでNTTデータGSLでは、身近なところからDXやデータ活用をしたいという企業を支援するDXチームを組織した。DXチームの主な目的は、NTTデータGSLのAIソリューション「aidoneo®」(アイドネオ)などを活用して「DXによる働き方改革」と「蓄積データの活用(Data Utilization)」を支援することだ。
ワークショップから始める「DXによる働き方改革支援」
DX支援を行っていく上で大きな特徴が、「デザインシンキングワークショップ」を実施することだ。「デザインシンキング」とは、ユーザー体験を起点に課題解決をしていく手法である。
「事前に中心となるメンバーの意見をヒアリングした上で、デザインシンキングワークショップを開催します。その場で、自社の『課題』と『未来』をメンバー間で共有するとともに、自社が持っているデータの価値を気づいていただきます。その後、アプリケーションのプロトタイプによるPoCを実施し、ビジネスプランやサービス化の検討を行います」(坂井氏)
実は、自分たちだけでは価値に気づいていないデータが、社内に眠っていることも多いという。NTTデータGSLという第三者が加わったワークショップをきっかけとして、自社が宝の山となるデータを保有していたことに気づくことになる。
また、新しいアプリケーションを開発する上でPoCは欠かせないと思いがちだが、坂井氏はPoCを行わない場合もあると話す。
「PoCをやったあげく、結局、実現には至らなかったというケースをよく耳にします。実現しようとするソリューションの規模にもよりますが、PoCを行わず、実践を進めながら改善していくほうが近道になる場合もあります。検討期間を長くとるよりも、シンプルな体制でクイックにまず始めてみることも大切だと思います」(坂井氏)
ここで、NTTデータGSL のDX支援の例として、社員の経費精算業務を効率化し、業務効率と社員満足度を向上させた大手企業のケースを紹介しておこう。