インターネット分離を実現しつつ利便性の高いサービスを開発した北大阪商工会議所

地域企業に寄り添うITサービスが強み

北大阪商工会議所 情報センター 部長 端山 雅樹氏
北大阪商工会議所 情報センター 部長
端山 雅樹氏

 北大阪商工会議所は、大阪府枚方市・寝屋川市・交野市を管内とした地域総合経済団体で、商工会議所法に基づく特別認可法人である。1948年、地元商工業者の有志によって枚方商工会議所として発足し、のちに法改正等を受けて合併・改称によって現在の形となった。

 この3市からなる当地域は、大阪北東部に位置し、京都と大阪の中間で鉄道交通が発達したエリアで、域内人口約71万人、事業所数は約2万社、6つの大学と工業専門学校が存在する多機能都市として成長してきた。北大阪商工会議所は、政策提言活動など、地元企業と自治体・政府の橋渡し役として機能している。また共済や福利厚生、労働保険組合の運営のほか、会員企業どうしの交流会やセミナー、講習会などの開催、専門家への相談会、各種検定試験の運営、融資の案内などのサービスを通じて、幅広く地域の経済活動を支援している。

 北大阪商工会議所の特徴の1つとして、情報センターの存在があげられる。いわゆるシステムインテグレーター事業として、IT化のIT活用の相談からシステムの構築・運用まで手がける、全国の商工会議所の中でも希少な例だ。

 「一般的な商工会議所は、他のベンダーへの橋渡し役でとどまることが大半ですが、北大阪商工会議所は自前でサービスやインテグレーションを提供することができます。システム構築や運用はもちろん、ホームページの作成も手がけています。また共通のITサービスとして、商工会議所遠隔地データバックアップサービス(CCIBackup)なども提供しています」と、北大阪商工会議所 情報センター 部長の端山 雅樹氏は述べる。

 端山氏によれば、小規模な企業はまだまだIT化が進んでいないことも多く、比較的安価に、会員企業のビジネスに寄り添ったサービスを提供できる点が評価されているという。

安全性と利便性の二律背反に悩む企業

 情報漏えい対策の課題は、長年にわたって企業を悩ませてきた。それは、北大阪商工会議所の会員企業も同様だ。センシティブな個人情報・機密情報を取り扱う事業者も多く、インターネットを介した攻撃への対処が重要な問題となっている。

 解決策として昨今注目されているのは、“インターネット分離”だ。多くの事故・事件の原因となっているネットワーク接続を遮断してしまえば、情報漏えいは起きないという考え方であるが、一方でネットワークの利便性を損ねる手法でもある。例えば消費者からのリクエストに対して、いちいち手作業でデータベースと照合し、適切なサービスを提供しなければならないためだ。利便性を優先したいのであれば、割り切ってネットワークを接続したままにするか、擬似的に切断したように見せる技術しかなかった。

 「特に重要で多数の個人データを保有する会員企業などから、完全なインターネット分離を果たしつつ、利便性を損ねない手法がないかと相談を受けていました。どうしてもTCP/IPから離れる手法が見つからず、途方に暮れていたところ、NTTテクノクロスが提供するCrossway/データブリッジに出会ったのです」(端山氏)

 当初のCrossway/データブリッジは、アプライアンスを介してTCP/IPと異なる仕組みを用いて、2つの異なるネットワーク間を接続し、“ファイルの受け渡し”を可能とするシステムだった。端山氏は、インターネットから完全に遮断した状態で、システム間のデータを連携できるという点に注目した。

 しかし、端山氏が会員企業から求められていたのはリアルタイム連携だったため、機能拡張を実現してほしいとNTTテクノクロスへ相談した。強い要望を受けたNTTテクノクロスは、市場ニーズの高まりもあり、Web API連携を実現する「Crossway/データブリッジ Enterprise」を開発したのだ。

インターネット分離を実現しながらWeb API連携が可能に

北大阪商工会議所 情報センター 課長 岩世 和則氏
北大阪商工会議所 情報センター 課長
岩世 和則氏

 新しいCrossway/データブリッジ Enterpriseは、受付サーバーおよびブリッジサーバー(アプライアンス)を介して2つの異なるネットワークを接続するもので、外部インタフェースにはWeb APIを使用している。TCP/IP通信が行われないため、ネットワークを介したマルウェアの感染やデータの持ち出しなどの危険が非常に小さい。

 北大阪商工会議所では、Crossway/データブリッジ Enterpriseを“セキュアゲートウェイ”として中核に据え、会員データベースとポータルサイトをセットにした「会員マイページサービス」を新たに開発した。データベースは同所内のインターネットから分離された領域に設置し、ポータルサイトを含めたシステムを会員企業へ提供する仕組みだ。

 消費者向けサービスを提供する会員企業は、顧客情報を安全な環境で管理しつつ、サービスへの加入や変更などをWebでリアルタイムに受け付けられるようになる。

図:サービス構成図
図:サービス構成図

 「あるユーザー企業では、従来、電話やFAXで各種申込手続きを受け付けていた為、個別に手作業で対応する必要があり、大変手間がかかっていました。この仕組みだと高度なセキュリティを維持した上で、大幅な業務効率化を実現できると高く評価してくれました。安全なデータ連携の仕組みができたため、将来的には顧客データを活用した新しいサービスの展開も検討しているとのことです」と、情報センター 課長の岩世 和則氏は述べる。

 岩世氏は、これまで会員企業に提案できなかった安全なシステムを新たに提供できることになったのが、北大阪商工会議所にとっての効果だと評する。会員企業のビジネスを強化することになり、ひいては地域活性化へつながるという意味で、Crossway/データブリッジ Enterpriseへの評価は高い。

 「NTTテクノクロスは、私たちや会員企業が抱える課題に対して、積極的に支援してくれました。サービス化に向けてさまざまな相談ごとがありましたが、高度な技術力・開発力でスピーディに応えてくれたため、短期間で実現することができたと実感しています」(岩世氏)

Crossway/データブリッジを中核に全国の地域企業を支えたい

 Crossway/データブリッジ Enterpriseの利点は、会員マイページサービスに限らず、インターネットを介しながらも、インターネットと完全に分離した仕組みで、安全に内部の機密データへアクセスできるという点にある。

 すでに北大阪商工会議所では、この利点を生かした新しいサービスの開発を計画している。例えば営業担当者向けに、外出先から社内業務システムへ安全に接続するサービスなどは、より幅広い会員企業に受け入れられるだろう。働き方改革の推進が重視される昨今では、多くの企業がニーズを感じているに違いない。

 またこのサービスのメリットは、インターネット環境さえあれば利用できるという点にある。

 「将来的には、共通サービスのラインアップを拡充しつつ、当所の管轄外の企業にもサービスとして提供したいと考えています。Crossway/データブリッジ Enterpriseを中核とした商工会議所セキュアゲートウェイサービスを、全国区にしたいですね」(端山氏)

 情報漏えいとデータ連携の狭間で悩む企業は、全国各地にいる。特に大がかりなシステムを保有できない中小企業にとって魅力に感じることだろう。今後NTTテクノクロスのCrossway/データブリッジ Enterpriseが、北大阪商工会議所のサービスを介して全国の企業を支援し、地域発展に貢献していくことになりそうだ。

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