HCI導入事例モランボン、パブリッククラウド環境をハイブリッドクラウドに移行へ。
~パブリッククラウドブームの中で決断をしたその理由は?~

食品メーカーのモランボンは、パブリッククラウド環境に構築していた業務システムをNutanixのハイパーコンバージドインフラ(HCI)に移行した。システムのクラウドシフトを進めたものの、システムの性能低下がしばしば発生することに不安を抱き、クラウド上のシステムをそのまま移行できるNutanixを導入した。

パブリッククラウド利用時は、業務に支障をきたす問題が発生

 モランボン(東京都府中市)は、1972年に設立された食品メーカー。「韓国・朝鮮の食文化を日本の人々に伝えたい」という想いを原点に、テレビコマーシャルでお馴染みの「ジャン 焼肉の生だれ」、韓国・朝鮮食文化の魅力を提案する「韓の食菜」、本場韓国の味を伝える「韓キムチ」、手作りによるだんらんを生む「中華皮」など、多様化する食ニーズ・食シーンをとらえた数多くの商品を製造・販売している。

モランボン株式会社 経営企画室 室長
姜 永福氏
モランボン株式会社
経営企画室 室長
姜 永福氏

 2019年2月には、基幹商品である「ジャン 焼肉の生だれ」が発売40周年目を迎えたのを機に新しいコーポレートスローガン「素材、きわだつ。」を策定。また4月には、3カ年の中期経営計画「モランボン変革2021」をスタートさせ、全社員が変革に取り組み、お客様、消費者にさらなる「価値」を提供することを掲げた。その一環として情報システム課を経営企画室へ組み入れ、情報システムの側面から経営を支援する体制を整備している。

 そんなモランボンの情報システムを長年にわたって担当してきたのが、現・経営企画室 室長の姜永福(カン・ヨンボ)氏だ。姜氏は、2012年にメインフレーム上で稼働していた業務システムをWindows Serverへリプレース。2016年にはオンプレミス環境の業務システムをパブリッククラウド環境へ移行するなど、同社の情報システム改革を主導してきた。

 「当社では2016年、売掛請求、受発注、販売管理、ワークフローシステムなど業務システムの大部分をパブリッククラウド環境へシフトしました。ところが運用を開始してしばらくすると、システムのレスポンスが悪くなる事態が発生したり、夜間に実施していたバックアップが遅れたりするなど、業務に支障をきたすことが時折、発生するようになりました」と、姜氏は振り返る。

性能を比較検証した結果、Nutanixへの移行を決断

 モランボンがパブリッククラウド環境に構築した業務システムは合計10。ここには、売掛請求、受発注、生産管理などの基幹系システムだけでなく、ワークフロー、グループウェア、メールなどの情報系システムも含まれている。受発注システムは平日13~15時頃に取引先から入ってくる1日約4万件の注文の大半が集中し、グループウェアは特に月曜日朝に多くの社員が利用するなど、システムの利用負荷にばらつきがあり、そうしたシステムへのアクセスが多い時間帯に遅延が目立つようになった。

 会社のさらなる発展・成長を目指した経営戦略を推進しようとする中、情報システムが不安定な状況は決して許されない。しかし、現行のパブリッククラウド環境では、一つのシステムの負荷によって他のシステムが悪影響を受ける可能性を排除しきれない。そんなパブリッククラウド環境の利用に限界を感じた姜氏は、問題の解決に向けた対策を講じることにした。

 「当社は、コアネットインタナショナル(CNI)が提供するホスティングサービスとパブリッククラウドサービスを利用しており、CNIに、レスポンス向上の課題解決を依頼しました。そこでパブリッククラウド環境に代わるシステム基盤として紹介されたのが、NutanixのHCIでした」(姜氏)

株式会社さくらトータルサービス
システム開発事業部 ソフトハウスビジネス 主任 青木 聖史氏
株式会社さくらトータルサービス
システム開発事業部
ソフトハウスビジネス
主任 青木 聖史氏

 コアネットインタナショナルからNutanixの導入提案を受けたモランボンでは、システムとネットワークの構築・運用管理を担当するさくらトータルサービスに検証を依頼した。

 「CNIにNutanixの検証環境を用意してもらい、ホスティングサービスとパブリッククラウド環境上で稼働する合計10の業務システムのうち、受発注システム、販売管理システム、データベースサーバーをNutanixで実際に稼働させてパブリッククラウド環境とのパフォーマンス比較を行いました。2019年2~3月に約1カ月かけて検証を行ったところ、ストレージI/Oをはじめとする処理スピードを明らかに高速化することができるという結果が得られました」(さくらトータルサービス システム開発事業部 ソフトハウスビジネス 主任 青木聖史氏)

 この検証結果によりモランボンは、業務システムをNutanixへ移行することを決断する。

 「CNIでは医療系システムにNutanixを導入した実績もあり、性能向上だけでなく安定稼働という面でも安心感がありました。これが決め手となり、Nutanixを導入することにしました」(姜氏)

Nutanixの導入により処理時間が半分以下に

 モランボンがNutanixの導入を決めたことを受け、CNIは自社データセンターにNutanixの「NX1000」シリーズを3ノード設置。モランボンとさくらトータルサービスが共同でおよそ2週間をかけてNutanix上にプライベートクラウド環境を構築して、オンプレ環境とパブリック環境を繋ぎ、同一データセンター内でハイブリッドクラウド環境を完成させることができました。

 「パブリッククラウド環境の業務システムは、大きな改変を必要とせずにNutanixのプライベートクラウド環境へ移行することが可能です。ただし、業務システムを利用する業務時間内を避け、夜間にテストを実施しながら作業を行ったため、移行には1カ月半ほど費やしました。パブリッククラウド環境のストレージ性能が悪く、転送に時間がかかるという苦労もありましたが、それでも約2カ月という短いスケジュールで合計10システムを完全移行できました」(青木氏)

 Nutanixの本番運用を開始したのは、2019年5月のこと。稼働開始後にすぐ効果を実感できたと話す。

 「受発注システムで感じていたレスポンスの悪さは、Nutanixを導入してから感じることがなくなり、快適に業務ができるようになりました。システムの処理時間は、全体的に見て30~50%程度に短縮できています。発注の多い取引先の処理が10分から5分に短縮できるだけでも、業務がスムーズに流れるようになったと実感しています。また、グループウェアやメールなど、社員が1日に何回もアクセスするシステムは、処理時間が数秒短縮しただけでもトータルするとかなりの業務効率化になります。以前のようにレスポンス低下による処理遅延が発生しなくなり、安心して業務に取り組めることも、生産性向上につながっていると考えています」(姜氏)

 また、業務システムの運用管理を担当するさくらトータルサービスの青木氏は、バックアップ処理やシステム復旧の時間短縮に効果を感じている。

 「Nutanixのスナップショット機能を利用することで、例えば業務システムのアプリケーションをバージョンアップする際のバックアップが素早く行えるので、システムのRPO(目標復旧時点)とRTO(目標復旧時間)も格段に短縮しています」(青木氏)

今後はDR対策などさらなる利用範囲の拡大を検討

 このようにNutanixへ業務システムを完全に移行したモランボンだが、今後はさらにNutanixの利用範囲を広げていく方針だ。

 「当社にはEDI連携システムなどNutanixを利用していないシステムもあり、現在Nutanixを利用した再構築を検討しています。また、Nutanixの性能を最大限引き出しながら、業務システムのさまざまなデータを利活用するための分析基盤も整備しようと考えています。さらにハイブリッドクラウドをシームレスに実現できるNutanixの特長を活かし、クラウドを利用したディザスタリカバリ対策の環境を構築し、可用性の向上を図っていくことも検討しています」(姜氏)

 世の中では今、オンプレミス環境のクラウドシフトが積極的に進められている。しかし、モランボンの事例のようにクラウドシフトが必ずしも正解にならない場合もある。そんな企業にとって、モランボンが選択したパブリッククラウド環境からNutanixのハイブリッドクラウド環境への移行という取り組みは、大いに参考になるに違いない。

集合写真

右から
株式会社さくらトータルサービス:青木 聖史氏
モランボン株式会社:姜 永福氏
コアネットインタナショナル株式会社:秋田 和男氏、西本 美菜子氏
提供:SB C&S株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2020年3月31日
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