きめ細かな現状分析と最新ノウハウによる構築でレガシーシステムのモダン化を実現

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
稲吉 英宗 氏
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
稲吉 英宗 氏

 経産省が2018年に発表したDXレポートでは、レガシーシステムを使い続けることによって大きな経済損失が発生する「2025年の崖」が指摘された。2021年になった現在でもそこから脱却できていない企業は多い。一方、ヴイエムウェアでは、マルチクラウド対応やKubernetesをはじめとしたコンテナ技術にも投資をし、企業のデジタル基盤の刷新をサポートするポートフォリオを整えてきた。その協業パートナーである伊藤忠テクノソリューションズは、「VMware Tanzu」などを活用し、レガシーシステムをマイクロサービス化するソリューションを提供している。同社で製造業やサービス業のシステムを支援する稲吉 英宗氏に、アプリケーションモダン化の実情を聞いた。

デジタル変革の側面・段階に応じたソリューションを提供

 伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)のエンタープライズ向け事業では、DXを強く推進しており、情報システムの刷新を行うDIGIITAL SHIFT(業務改革型DX)と、コア事業のデジタル化を推進するMODEL SHIFT(事業変革型DX)の2つのDXを提唱している。このうち、コロナ環境におけるデジタル活用やニューノーマルを見据えたIT戦略を主眼としたDIGIITAL SHIFTでは、ワークスタイルの改革である「WORK SHIFT」、変化に強いシステムの構築の「CLOUD SHIFT」、データに基づく意思決定を実現する「DATA SHIFT」の3種の側面を持つ。

 さらにDIGIITAL SHIFTに向けての3ステップとして、変革に対応可能な環境構築やニューノーマルに向けたIT戦略の見直しを行う「With CORONA」、ニューノーマルに向けたIT環境の具現化、オペレーションの自動化/デジタル化による効率向上とコスト削減、DXを通常にする企業カルチャーをつくるシステムと制度の整備を行う「Beyond CORONA」、そして災害や社会変化、技術革新に対応力のあるワークスタイル、社内外の業務に必要なサービスを迅速に展開できる環境を実現する「DX NORMAL」を定義し、さまざまなテクノロジーを提供する。コンテナによるアプリケーションのモダン化は、下図中央の、CLOUD SHIFT×Beyond CORONAに位置している。

DIGIITAL SHIFT(業務改革型DX)のマトリックス
DIGIITAL SHIFT(業務改革型DX)のマトリックス

レガシーシステムのモダン化を困難にする問題とは?

 2020年度の動きについて稲吉氏は、「上半期は最初の緊急事態宣言などもあり、IT投資が停滞している印象もありましたが、下半期は DX を推進したいと考えるお客様の意思が感じられるようになりました。コンテナについては情報収集をし始めたばかりのようですが、みなさん『やっていかなければ』という強い意志を感じます。VMware Tanzuも含めたアプリケーションのモダナイズについては、事例を紹介しながら提案しています」と状況を語る。DXレポートで指摘されたレガシーシステムの問題をなんとかしたいものの、その刷新には相当な時間がかかると尻込みしていた企業が、パンデミックによって重い腰を上げた形だ。

 レガシーシステムの刷新は、万能なパッケージソフトを入れ替えたら済むという問題ではなく、非常に根深い問題をはらんでいる。その理由には、従来システムの設計にある。稲吉氏によると、どの業界でも特に販売に関わるようなシステムでは1つシステムをつくるとそのソースコードをコピーし、一部変更して別のシステムをつくるという方法がとられるという。1つの機能をサービスと見立てて、各サービスが連携するシステムを目指すSOA(Service-Oriented Architecture。サービス思考アーキテクチャ)を採り入れられないまま現在に至ってしまったのだ。中にはメインフレーム時代のデータモデルをそのまま利用しているケースもある。

 稲吉氏は、「Javaで書いているものの、構造化プログラミングされてないなど、けっこう古い設計思想のまま構築されたシステムが多いです。また、システムをどんどんコピーして作られることで、同じようで違うシステムが複数存在しているのでメンテナンス性が悪く、ドキュメントがない場合もあります。上層部がレガシーシステムを排除してDXを推進したいと思っていても、実際に使っているシステムが非常に古すぎてすぐに対処するのが困難です。理想と現実のギャップが大きく、それを埋める大変さを感じています」と述べた。

顧客に寄り添い、一つ一つのシステムをきめ細かくモダン化していく

 そこで同社では、まずコンサルティングをし、その後顧客のシステムのソースコードを解析し、共通化できる部分は統合するなどして、更新頻度の高い機能はマイクロサービス化していくというアプローチをとっている。変更後はコード数が激減し、中には半分になったケースもあるという。メンテナンス性も高まり、改編までの時間も短縮できるという効果もある。

 「これまでは、販売系や取引先別の購買など、1つの業務を拡張するようなシステムの事例が多いです。既存資産を一つ一つ見させていただいて、中身を判断しながら進めなければなりませんので、範囲を絞って、期間を決めて少しずつ進めていっているのが実情です」(稲吉氏)

レガシーシステムの統合・マイクロサービス化事例
レガシーシステムの統合・マイクロサービス化事例

 従来システムのマイクロサービス化にあたり、Kubernetes環境におけるモダンアプリケーションのビルド、実行、管理のためのプラットフォームとして活用できるのが、ヴイエムウェアが提供するVMware Tanzuだ。その役割について稲吉氏は「VMware vSphere環境をお使いのお客様は非常に多いです。その中でコンテナ化・マイクロサービス化を進めるわけですが、VMware Tanzuをプラットフォームとして使う場合、既存インフラを大きく変えなくていいというメリットがあります。ネットワーク系の、VMware NSX Data Centerなどのモジュールもそろっていますので、Tanzuに限らず既存の資産を活かせるという大きな強みを持っています。特にSoRにおいて、基幹系とつながる部分が本丸と考えていて、そこを変えていくのに有用なのがVMware製品なのだと思います」と評価した。

 CTCでは、早くからアジャイル開発を取り入れ、アプリケーションのモダン化にも取り組んでおり、そのノウハウを強みとしている。2021年1月には、DXに向けたプロダクト開発を支援する「build service」の提供も開始した。これは、顧客と共創しながら、アプリケーション開発の内製化を支援する取り組みだ。アジャイル開発への対応や、アプリケーションのモダン化支援の取り組みについて稲吉氏は次のように話す。

 「CTCは、どちらかというとフロント系のシステムを多く手掛けてきており、メインフレームなどのレガシーなシステム関連のしがらみが多くありません。米国子会社を通じて、最新のノウハウをいち早く提供できるのも我々の強みだと思います。アジャイル開発も、ウォーターフォールと併用する形式のものや、大型のアジャイルの実績もありますので、ぜひご相談いただきたいです」

提供:ヴイエムウェア株式会社
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