ZDNet Japn Summit 2019 講演レポート

Cohesity Japan
「レガシーからの脱却」は、データ管理の革新から

 10月17日にZDNetが開催したイベント「ZDNet Japan Summit 2019」に登壇したCohesity Japan 代表取締役 江尾 浩昌氏は、これからの日本企業はリスク覚悟での革新的技術の導入を迫られており、新興ベンダーが提供する最新技術を享受しなければ「2025年の崖」を乗り切れないと語る。30年以上のハイテク市場での経験を持つ江尾氏による「レガシーからの脱却シナリオ」を紹介する。

Cohesity Japan 代表取締役 江尾 浩昌氏
Cohesity Japan 代表取締役 江尾 浩昌氏

DXの推進を阻害するレガシーシステムの問題点

 Cohesityの江尾 浩昌氏は、Cohesity入社前はScality社、Fusion-io 社(現San Disk)、Isilon(現Dell EMC)、NetAppでも要職を歴任したデータ保護・管理分野でのスペシャリストだ。データこそがビジネスの進化を加速させる重要な要素であることを、身をもって知る人物といえるだろう。

 同氏は講演の冒頭で、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」について言及。同レポートには副題として『ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』と記されており、8割の日本企業が老朽化したシステムを抱えており、IT予算の9割がシステムの維持管理費に費やされていることでDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を遅らせ、2025年には最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があるとしている。

 江尾氏は、「2025年の崖」を克服すること、つまりレガシーシステムの呪縛から脱却することこそが、DXの推進を実現し、日本企業の明るい未来を作る第一歩になると語る。

 「日本企業の多くはレガシーシステムを上手に利用し、ITリソースをアウトソーシングしながら進化してきました。しかしDXを進めることが重要となった今、リスク覚悟で革新的技術の導入を実践する必要に迫られています。レガシーからの脱却は、レガシーシステムを構築し管理してきたベンダーだけで実現することは難しい。新興ベンダーが提供する最新技術を享受することも積極的に視野に入れるべきです」(江尾氏)

 では、レガシーシステムからどんなシステムへと進化させるべきなのか。この目標設定が明確でないために、刷新のための投資が遅れてきた側面がある。現在のシステムの問題点を経営層も含めてしっかり把握しきれていなかったのではないだろうか。

 例えばDXは、これまでにない新しい事業を生みだすという意味もあるが、従来行われてきた事業を、デジタル技術によって作り変え、新しい顧客体験などを提供するという意味合いも、昨今盛んに語られるようになってきた。

 そのような変革を起こすには、データ活用を迅速化、効率化させる必要がある。データ活用がうまい企業と苦手な企業とでは今後大きく差が出てくることは明らかだ。レガシーシステムの問題点の1つはここにある。

 「まずレガシーシステムでは、データの保管場所が複数あり、一元的な管理が困難で検索してもすぐに格納されている場所を見つけられません。部門別、拠点別、システム別といったように保存場所はサイロ化し、見える化できていません。またデータの取り出しにもシステムごとに方法が違ったりするので、使いたいときにすぐに利用できる環境にないのです。これではDXを進めようにもスピードが遅すぎてうまくいきません」(江尾氏)

プライマリだけでなくセカンダリーの非構造化データの適切な管理を

 江尾氏は、最近ユーザー企業が取り組み始めたハイパーコンバージドインフラ(HCI)について言及。HCIはサーバに搭載したストレージを利用し、それを仮想化させて1つのデータプールとするため、データ活用のスピードアップにもつながる。しかし、現在のHCI化の動きに対し江尾氏は見落としている部分があると指摘する。

 「現在のHCIへの刷新のほとんどはデータという観点からすれば、プライマリデータ、つまり日常の業務で利用するデータのみに適用されていることがほとんどです。プライマリデータは企業が保有するデータの20%程度だといわれています。残りの80%、つまり、プライマリ以外の共有ファイルデータ、バックアップ・アーカイブデータ、テスト・開発用データ、オブジェクト保存されたデータ、アナリティクスデータなどのセカンダリーデータは手つかずのまま、ということが多いのです」(江尾氏)

 江尾氏によれば、企業で生成されるデータの80%は非構造化データで、その有効な保存場所、つまり利用しやすい場所に格納されているのは約15%程度でしかないという。残りは、システムの奥底に眠っており、誰もが利用できる環境ではないのである。

 「レガシーシステムの多くは、構造化データの保存、運用については対応してきましたが、非構造化データについてはなかなか対応しきれていないことがほとんどでしょう。というのも、非構造化データは爆発的に増加していて、企業としては保存スペースを確保するために投資を重ねていくことで精いっぱいだったからです」(江尾氏)

 江尾氏の指摘からすると、データの活用以前に、保存するだけでコストがかさみ、他のIT投資に支障が出ていることも十分に考えられる。

シングルUIですべてのデータをコントロール

 HCIの構築方法はさまざまだが、多くの場合、サーバ、ストレージ、ネットワーク、管理ツールなどが一体となったアプライアンス製品を利用する。電源を入れ、ネットワークにつなぐことですぐに利用できる、難しい設定をする必要がない、というのが魅力となっている。今後セカンダリーデータについてもこうした製品が活用されていくことになるだろうが、江尾氏が日本法人の代表取締役を務めるCohesityでは、ソフトウェアによるデータ管理製品を提供している。

 Cohesityは、2013年にGoogle File System、Nutanixを開発したモヒート アーロン氏によって創業された企業で、ソフトウェア単体で年率70%の成長率を維持している。すでに金融、教育、医療、製造などのエンタープライズ企業で製品が導入されており、Forrester、ガートナーなどの調査会社からも高い評価を受けている。

 Cohesityが提供するデータ管理プラットフォームの特徴は、シングルUIですべてをコントロールできることだ。すべて、というのは、本社のデータセンターのみならず、海外も含めた拠点のデータも、という意味だ。

 「当社のプラットフォームには新たにアプライアンスを入れるといったことは一切不要です。マーケットプレイスからアプリケーションを導入することでウイルスキャン、全文検索、スクリプト管理、自動化、脆弱性診断などの機能を入手できます。またこれらのアプリケーションはサードパーティから提供されているものもあり、Splunkによるデータ解析機能や自己学習型ウイルス検知アルゴリズムを使ってウイルススキャンを実行する機能、ベアメタルバックアップ、noSQL環境のバックアップなども可能です」(江尾氏)

 なおこれらのアプリケーションは無償のものと有償のものがあり、導入したアプリケーションは、すぐにプラットフォームで管理しているすべてのデータに適用される。同プラットフォームは、シスコ、HP、デルなど主要なサーバベンダーの製品に対応しており、AWSなど主要なパブリッククラウドサービスに格納しているデータにも適用可能だ。また、NFS、SMB、S3といったプロトコルもサポートしているため、ほぼすべての非構造化データを管理できる。

図:Cohesityのアーキテクチャ 図:Cohesityのアーキテクチャ
※クリックすると拡大画像が見られます

新しいIT環境には最先端のソリューションを

 データ管理において重要となるのはバックアップだが、Cohesityのデータ管理ブラットフォームでは、高速なデータの分散処理により、ほぼリアルタイムでデータをバックアップできるため、DR対策でも威力を発揮する。バックアップを、定期的に時間を決めて行っている場合は、災害や大規模障害、セキュリティ侵害が起き、データをリストアしても一部のデータは再現できないこともあるが、Cohesity製品ではそうした心配はない。

 また、バックアップデータは変更不可な形にしているため、例えば本番データに侵入する前にバックアップデータを破壊、使用不可にするランサムウェアの被害にあっても、復旧は可能だ。

 さらにバックアップデータは重複排除機能が備わっており、設定によってサーバごとに重複率を決めたり、自動化を行ったりできる。

 ここまで説明してきた機能を同じように利用できるのは、かなりハイエンドなアプライアンス製品だろう。それをソフトウェアですべて可能にしてしまうCohesityのプラットフォームは、日本のユーザーにも驚きをもって迎えられており、「デモをご覧になって感動したと仰ってくれる方も多数います」と江尾氏はいう。

 「冒頭で紹介したように、レガシーシステムを温存するとしても、維持管理費に9割が費やされてしまいます。それでも皆さんは手をこまねいて待ち続けるでしょうか? そうした予測可能な未来を迎えるより、その費用を新たな投資に向けて最新技術を積極的に取り入れることこそが、DXを成功させ、企業を存続させる鍵となるでしょう。“2025年の崖”はすぐそこに迫っており、もう待ったなしの状況です。将来を見据えたデータ管理を実現することで、DX推進に弾みをつけてください」と江尾氏は語り講演を締めくくった。

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