いま再び注目されるバックアップの重要性 - BCPの課題を解決するソリューション

もし「企業の経営活動を支える要素のうち、最も重要なものは?」という問を投げかけられたら、あなたは何と答えるだろうか。人材や資金? もちろんそれらも経営活動には絶対的に欠かせない。だがいまの時代、何よりも失くしてはならない企業の資産はデータである。だからこそ、企業の情シス部門が直面することが多いバックアップの課題を改めて取り上げ、どういったバックアップソリューションが求められているか考えてみたい。

 企業ITにおける、事故や災害が引き起こす重大なリスクがデータ消失だ。仮にシステムは再構築できたとしても、企業の要であるビジネスデータが戻ってこなければ、業務停止、顧客喪失、機会損失、損害賠償…と、計り知れない影響が経営を直撃することになる。東日本大震災の発生以降、こうした観点から、確かに企業はデータ消失に対する危機意識を強め、それを反映したBCP(事業継続計画)の構築を検討するようになっている。だが同時に、次のような課題が策定を遅らせているのも事実だ。

 例えば、コストや人員確保の問題やデータをどこまで/どの時点までバックアップするべきなのか?経営層と業務部門、それぞれから出てくる異なるバックアップに対する要求への対応などが挙げられる。

【解説】データ保護の選択基準は、データの重要度とコストのバランス

 では、どのようなバックアップを講じるのが適策なのか。ここで理解しておくべきは、”データはすべて同じ重要度ではない”ということだ。バックアップやリストアも、データの重要度に則った優先順位がある。重要なデータはコストをかけてバックアップ体制を整え、最新に近い状態で即時復旧を図るべきだし、逆にそれほど急な復旧を要しないデータもある。
そこで、要件に応じたバックアップの最適解について、仮想事例を交え、以降説明していきたい。

仮想事例:複数拠点の集約的なバックアップを実現、ローカルのディスク容量を大幅削減

首都圏の某コンビニエンスチェーンで情シス部門に勤務するA氏は日々の運用管理に苦悩していた。各店舗で発生する膨大なPOSデータの処理、従業員管理などの業務システム、さらにバックアップをどうすべきか。しかもデータ量は増大の一途である。

 営業所や支店、あるいは小売チェーンなど、複数の拠点をもつ業態であれば、当然、ファイルサーバなども拠点ごとに分散することになる。だが、拠点ごとにバックアップを運用するのはハードウェアなどのコストがかかりすぎるため推奨できない。各拠点のデータを集約することで、ストレージコストを削減し、効率的なバックアップ運用が可能となる。

仮想事例:既存のIT資産を活用した遠隔地バックアップ体制の構築

関東を中心に全国にいくつかの研究所を構える、ある中堅製薬会社の研究所。実はこの企業には、表に出せないような重大なリスクが潜在していた。それは各研究所に、遠隔地の多重保管も考慮した組織的なバックアップ環境/体制がないことだった。

 仮想環境を構築する場合は、障害時のバックアップ/リストアを意識した環境をあらかじめ組み込んでおく必要がある。たとえば、仮想イメージをまるごとバックアップし、リストア時にすべてを復元するのではなく、セグメントごとにバックアップ/リストアできる重複排除機能や、夜間の一括バックアップ作業のネットワーク負荷を軽減する管理ツールが求められる。また、物理サーバとの混在も考慮し、物理/仮想ともに同じ画面で管理できる環境があれば、運用の手間を大きく減らすことができる。

まとめ:レプリケーション体制の構築を

 震災を契機に、バックアップに対する企業の意識は一変した。だが実際の取り組みが遅々として進んでいないのは何故か?それはまさに、「コスト」と「データの重要性」のバランスを整合させるのが難しいからに他ならない。
 その意味で、本稿で紹介した仮想事例は、大いに参考になるはずだ。データの重要度に応じたバックアップ手法を再考し、しかも運用負荷を抑えた事業継続への備えを講じることは、重要な施策となるはずである。

提供:株式会社 日立製作所
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