アンチエイリアシング

用語の解説

アンチエイリアシングとは

(アンチエイリアシング)

 エイリアスとは、一般的には、アナログ的な連続階調値をデジタル的な離散値にサンプリングした場合に現われる、もとのデータには含まれていない虚像のことを指す。

 たとえば、60Hzの正弦波信号を50Hz周期でサンプリングすると、出力には60-50=10より、10Hzの周期の正弦波が得られる。 これはもとの信号とはまったく異なるエイリアスである。 また、たとえば映画などで、車や馬車の車輪が、本当の回転方向とは逆にゆっくりと回っているように錯覚して見えるのもエイリアスである。

 エイリアスを避けるにはいろいろな方法があるが、データサンプリングの場合なら、サンプリングの前に、もとの信号に含まれるサンプリング周波数の1/2以上の周波数成分をあらかじめ除去しておくことによって行なえる(標本化定理による)。

 このようにエイリアスを除去したり、避けたりすることをアンチエイリアシングという。

 コンピュータグラフィックス分野でアンチエイリアシングといった場合、一般的には、生成された図形に含まれるジャギー(図形の縁がピクセルにそってギザギザになっていること)を除去することをいう。 これもエイリアシングの一種で、連続的なアナログ値を、画面上のピクセルという離散的な値にマッピングする際に生じた虚像である。 また、テクスチャマッピングや細かい図形の描画において、画面上のピクセルとの相関関係によってはエイリアシングが生じるので(ピクセルよりも小さい図形を描画しようとした場合)、アンチエイリアシング処理を施さないと綺麗な最終結果が得られない。

 グラフィックスにおいて、ジャギーを除去するためには主に次の2つの方法がある。

(1)ピクセルデータの補間

 たとえば、黒い画面に対して白い線分を、水平に近い角度で描画しようとした場合、画面上のピクセルに沿って階段状の段差、ジャギーが生じる。

 これを目立たなくするには、ピクセルのデータを白と黒だけではなく、中間のグレー値も使って描画すればよい。 グレー値の濃度は、線分の一部がそのピクセル上で占有する割合から、たとえば16段階に分けておき、隣接する2ピクセル間で合計100%になるように分割して描画する。

(2)スーパーサンプリング

 画面上の1ピクセルに対するデータを求めるときに、ピクセルをさらに小さなサブピクセルという単位に分割して、それらの平均値をもってピクセルデータとする方法。 たとえば1ピクセルと縦横4分割して(1/16分に分割して)それぞれの仮想的なピクセルに対してレンダリングを行ない、最終的にはそれらの平均値をピクセルのデータとする。 サンプリング周波数をあげてもとのシーンデータに含まれる高域成分の影響(エイリアシング)を抑えるので、スーパーサンプリングと呼ばれる。

 ただし単純にこの方法をインプリメントすると、レンダリング時間がサブピクセルの数に比例して増加してしまうので、等間隔ではなく、たとえば確率的に(ランダムに)選んだり、サブピクセル値の変化の激しい分だけを集中的に多く計算し、その他の部分は間引くなどの手法がある。

用語解説出典   powered by. アスキーデジタル用語辞典

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