クラウドが支える「ものづくりの最前線」でのデータ活用、そのノウハウとは

ZDNET Japan Ad Special

2018-11-30 16:00

[PR]ZDNet JapanおよびAWS Partner Networkの主催で、クラウドの中心的存在である「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をテーマにした全6回のオフラインセミナーが開催された。第3回のテーマは「データ活用」。

ZDNet JapanおよびAWS Partner Networkの主催で、クラウドの中心的存在である「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をテーマにした全6回のオフラインセミナーが開催された。2018年10月25日に行われた第3回のテーマは「データ活用」。製造業のためのクラウドを利用したデータ活用のあり方が紹介されたが、ここでは基調講演とコニカミノルタによる特別講演の内容をお届けする。「ものづくりの最前線」で、IoTデバイスなどから生み出されるデータをいかに読み解き、それをどのように活用していくのかが解説された。

基調講演:「操業&メンテナンス」の低減と合理化が課題

 基調講演には、JFEエンジニアリング ICTセンター AI・ビッグデータ活用推進部 部長の小山建樹氏と、同部グループマネージャーの小林義孝氏が登壇。ZDNet Japan副編集長 田中好伸氏をモデレータに「JFEエンジニアリングにおけるAI・ビッグデータ活用を見据えたクラウド環境構築」と題してパネルディスカッションが行われた。

 JFEエンジニアリングは、JFEグループでプラント建設事業を担う企業だ。グループ売上高3兆6,786億円、従業員6万1,200名という事業規模にあって、JFEエンジニアリングは売上高3,913億円、従業員9,300名を構成する。ビジネス領域は、焼却炉や溶融炉、バイオガスなどの「環境」事業、LNG基地、石油・天然ガス、バイオマスなどの「エネルギー」事業、橋梁、鋼構造物、コンテナ立体格納庫などの「社会インフラ」事業、リサイクル、太陽光発電などの「リサイクル・発電」事業に及ぶ。

JFEエンジニアリング
ICTセンター
AI・ビッグデータ活用推進部
部長
小山建樹氏
JFEエンジニアリング
ICTセンター
AI・ビッグデータ活用推進部
部長
小山建樹氏

 こうした事業を支えているのが同社のICTセンターだ。小山氏は同センターの役割と構成について「ICTソリューション支援部、AI・ビッグデータ活用推進部、基幹アプリケーション開発部の3つの部門で構成されています。AI・ビッグデータ活用推進部は、AIやIoT、ビッグデータを使って、新規性や速度を重視したITの取り組みを実践しています」と紹介した。

 小山氏によると、建設業のトレンドは、環境プラントなどの施設を民間運営委託するという背景のなか、ビジネス・プロセスが、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の「EPC」から、操業&メンテナンス(Operation & Maintenance)の「O&M」に移っているという。

 「そこで重要になるのがO&Mの低減と運営事業の合理化です。それに対応するため、当社では国内外の遠隔操業、保守の統括拠点を設け、AI・ビッグデータを集約したプラットフォームとして2018年3月にグローバルリモートセンター(GRC)を設立しました」(小山氏)

いつでも分析できるようにデータを「まず貯めておく」

JFEエンジニアリング
ICTセンター
AI・ビッグデータ活用推進部
グループマネージャー
小林義孝氏
JFEエンジニアリング ICTセンター AI・ビッグデータ活用推進部 グループマネージャー 小林義孝氏

 GRCではAIの具体的な取り組みとして「時系列データ解析による異常予兆検知」や「画像解析によるプラント状態の数値化」を行っている。そのなかで積極的に活用しているのがAWSクラウドだ。小林氏は、AIの取り組みでAWSを活用するメリットとして、環境構築のスピードが圧倒的に速いこと、インフラ技術者でなくても環境構築ができること、多種多様なサービスが提供されていること、広く利用されているため必要な情報が見つけやすいことなどを挙げた。

 「当社がクラウド化を推進できた背景としては、EPCからO&Mという時代の流れのなかで、O&Mを効率的に実施する手段としてデータ蓄積が必要だったという事業的な背景があります。加えて、モード1とモード2が混在するバイモーダルIT組織であるという組織的な事情も寄与しています。1つの組織がバイモーダルになると、特にモード2の取り組みが活性化しやすいと考えます」(小林氏)

 モード1は「守りの組織」で、確実性やセキュリティを重視、ウォーターフォール開発で、サイクルタイム長く、現場との距離遠い。一方、モード2は(攻めの組織)で速度や新規性を重視、アジャイル開発で、サイクルタイム短く、現場との距離近い、という特徴をそれぞれ持つ。

 小林氏は、クラウドを使ったAIの取り組みのポイントとして、特に巨大なデータの取り扱いが容易であることを挙げた。また、取り組みを進めるうえでは、常にクラウドを学ぶ姿勢が求められることや、データはいつでも分析できるように「まず貯めておく」という姿勢が重要だとした。

 「将来のデータは貯められますが、過去データは二度と貯められません。分析したいときにデータがないという状況を避けるために、まず貯めておくことを意識しました。また、最初から大きなシステム構築を狙わず、身近で小さなところからスタートすることが取り組みをスムーズに進めるポイントです」(小林氏)

 小山氏と小林氏は、JFEのAI活用の取り組みは始まったばかりだが、今後は「時系列データを用いた需要予測」「画像解析によるプラント建設時の施工不良検出」「電子タグ、ARを用いた現場施工管理業務の効率化」などを手がけていきたいと意気込みを述べた。

特別講演:神戸市と産業振興に関する連携協定を締結

コニカミノルタ
デジタルワークプレイス事業部
副事業部長
清水照久氏
コニカミノルタ デジタルワークプレイス事業部 副事業部長 清水照久氏

 特別講演には、コニカミノルタのデジタルワークプレイス事業部 副事業部長の清水照久氏が登壇。「コニカミノルタの世界戦略を支える攻めのIT基盤--これまで培ってきたノウハウと新しいテクノロジーの融合がビジネスを拓く」と題して、AWSを活用したIT基盤の構築運用のノウハウと注意すべきポイントを紹介した。

 コニカミノルタは、連結子会社164社で売上高1兆313億円、従業員4万3,299人のグローバル企業だ。現在は、写真、石版、カメラで培ったコア技術を生かして、オフィスサービス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、産業用光学システム、材料・コンポーネントの5つの分野で多彩な事業を展開する。

 コニカミノルタがクラウドサービスの基盤にAWSを採用したのは2012年。2017年1月からはグローバルで統合されたセールスチャネル「Konica Minolta MarketPlace」(以下、MarketPlace)をスタートさせた。また、IoT時代にふさわしい価値提供を目指して、エッジIoTプラットフォーム「Workpacle Hub」の提供も開始。オフィス内のITシステムを統合管理し、働き方や業務の効率化を目指すとともに、製造現場向けIoTプラットフォームとしても活用することができる。

 清水氏はまずAWSの活用事例として、IoTプラットフォームによるデジタルマニュファクチャリング事業を紹介した。コニカミノルタは、神戸市と産業振興に関する連携協定を締結し、中小製造業がデジタルマニュファクチャリングを推進することを支援している。

 「産業クラスターの複数の中小企業をつなぎ、一つのデジタル工場とすることで生産性を向上していこうという取り組みです。価値共創のプロセスを通じて、中小企業や地方自治体の成長に貢献したいと思っています」(清水氏)

同じ品質のサービスを世界中で同様に使ってもらう

 中小企業の製造現場向けに提供するソリューションの1つが人と設備の状態を可視化する「Humachine Monitoring Dashboard」だ。経験や勘に頼っていてわからなかった無駄(ロス)を見える化し、実績値に基づく高精度な計画や見積もりを実現して生産性の向上につなげることができる。

 具体的には、作業者の映像データをAWSのサービス機能で記録・解析し、センサにより設備の稼働データを取得。シーメンスのIoTプラットフォーム「MindSphere」上のナレッジマネジメントアプリケーションで実績レポートや異常通知を行うというものだ。他社のソリューションでは、作業開始・終了時にビーコンをかざす、タブレット入力するなどの追加端末・作業が必要となるという。

 もう1つのAWSの事例として、清水氏はAWS MarketPlaceの取り組みを紹介した。コニカミノルタでは、世界約150ヵ国の200万社に及ぶ企業にサービスを提供しているが、MarketPlaceは、そうしたグローバルにまたがる顧客に対するサービスだ。

 複合機のオペレーションパネルからクラウド上のMarketPlaceへ接続、表示することで、顧客はさまざまなサービスやサードパーティーを含めた多様なアプリケーションを利用できるようになる。現在は、世界70ヵ国で展開されている。

 清水氏は、このMarketPlaceをどう構築、展開、運用しているかについて、複数リージョンにまたがるアーキテクチャや、データ保護に関するGDPRへの対応、社内インフラとクラウドとの連携、コンテナ利用などをテクニカルな内容を含めて解説。AWSが提供するサービス活用のメリットを明らかにした。

 最後に、清水氏は「AWSのさまざまなテクノロジーを活用しながら、同じ品質のサービスを世界中のお客様に同様に使っていただけるようにしています。また開発者が次の新しいサービスを考えられるよう、品質の向上に努めています。これからも、これまで培ってきたノウハウと新しいテクノロジーの融合がビジネスを拓いていきます」と強くアピールした。

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