実例から理解する「製造業の生産性向上」、IoTやAIをどう活用すべきか

ZDNet Japan Ad Special 2018年12月21日 11時30分

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[PR]ZDNet Japan/AWS Partner Network主催セミナーより。「生産管理」をテーマに、IoTやAIなどを使ったデジタル革新への提案が紹介された。

ZDNet JapanおよびAWS Partner Networkの主催で、クラウドの中心的存在である「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をテーマにした全6回のオフラインセミナーが開催された。2018年11月22日に実施の第5回のテーマは「生産管理」。企業規模の大小にかかわらず、日本の製造業にとってテクノロジーの活用で生産性を向上させることは大きな課題だが、関連ソリューションを提供する企業が登壇したセッションでは、IoTやAIなどを使った「デジタル革新」の実例が紹介された。ここではその内容をレポートする。

アクロクエストテクノロジー:スマートファクトリー化、期待ほど進んでいない!?

 アクロクエストテクノロジーのセッションでは、プロセス&マネジメント ディヴィジョン シニアテクニカルアーキテクトの鈴木貴典氏が登壇。「IoT×AI×リーンによる、効果を出すConnected Industriesへの取り組み」と題し、工場のIoTを中心に、データの収集・可視化から活用までをスモールスタートで開始するポイントについて紹介した。

 アクロクエストテクノロジーは、データ分析ツール「ENdoSnipe」やIoT分析プラットフォーム「Torrentio」を展開する企業だ。世界約60カ国で「働きがい」に関する調査・分析を行うGPTWの「働きがいのある会社」(従業員5~99人部門)で3度の1位に輝いている。鈴木氏はIoTサービス開発やビッグデータ処理プラットフォームを担当し、アーキテクトとして技術全般の相談役も担う。

 鈴木氏はまず、国が推進する「Connected Industries」を取り上げた。2017年3月に経済産業省が発表した日本の産業が目指す姿を示すコンセプトだが、「データの有効活用を図ることで現場における生産・品質のプロセス改革に役立つ」ことを説明。しかし実際にはスマートファクトリー化を進めるにはさまざまな課題があり、期待ほど進んでいない現実がある。

分析や検索技術が生きる「3つのユースケース」

アクロクエストテクノロジー
プロセス&マネジメント ディヴィジョン
シニアテクニカルアーキテクト
鈴木貴典氏
アクロクエストテクノロジー
プロセス&マネジメント ディヴィジョン
シニアテクニカルアーキテクト
鈴木貴典氏

 課題を解消するには、スモールスタートで立ち上げ、継続した改善のサイクルを回すことが重要になる。そこでアクロクエストテクノロジーが提案するのが、スマートファクトリー化を一歩進めるための「3つのユースケース」だ。ここで分析や検索技術が生きてくる。

 「1つめは『部分最適化から全体最適化へ』です。生産設備のトレンドを読み、ライン工場での生産性向上を図ります。2つめは『インパクトが大きいリスクの回避』です。設備の異常や故障を予測し事前にリスクを回避します。3つめは『大量データに対する管理と検索』です。生産にかかわる膨大なデータを一元管理し高速検索することでムダな時間を削除します」(鈴木氏)

 実際に同社では、製造業向けのデータ分析ソリューションを展開するなかでこうしたアプローチを使って成果を上げてきた。例えば、設備や製造ラインごとに生産・稼働状況をリアルタイムに可視化した事例がある。また、設備の時系列データをAIで分析し、周期性や動作パターンから異常ケースを自動検知したり、設備保全を行ったりした。

 鈴木氏は「このほかにもトレーサビリティを活用して品質改善を行うことや、数秒~1秒以下のタイミングでの判定が求められる場合、エッジ側のAIで処理するといったケースもあります。IoTとAI、リーンを組み合わせることで、効果的にスモールスタートが可能になります」と講演をまとめた。

ABEJA:製造業全体でAIビジネスの適用シーンが拡大

ABEJA
ABEJA Platform Annotation事業責任者
寺本拓磨氏
ABEJA
ABEJA Platform Annotation事業責任者
寺本拓磨氏

 ABEJAのセッションでは、ABEJA Platform Annotation事業責任者の寺本拓磨氏が登壇。「製造業の製造工程カイゼンをサポートする、AIの適用とその正攻法」と題して、データをトリガとした生産性向上のプロセスについて解説した。

 ABEJAは、ディープラーニングなどAI技術を活用して、多様な業界やシーンでのビジネスイノベーションを支援するベンチャー企業だ。データを蓄積しAI技術による高度な解析を行う「ABEJA Platform」や、小売業、製造業、インフラ業などの業種に最適化したサービスである「ABEJA Insight」の2つのソリューションを展開。ABEJA InsightはABEJA Platformを活用し、「勘と経験」から脱却して小売経営を科学する。

 同社において、ディープラーニングを現場に適用する際に画像や映像などにデータとしての意味づけを行う「アノテーション(Annotation)」事業を統括するのが寺本氏だ。寺本氏は「機械学習/深層学習のモデルに学習させるための教師データ作成ツールやデータ作成委託サービスを提供するのがアノテーション事業です。適切にアノテーションを行うことで、例えば、カメラ映像に写った人物の年齢や性別を高い精度で解析できるようになります」と説明した。

 製造業では小松製作所、ダイキン工業、LIXIL、デンソー・インターナショナル・アジアなどが顧客で、同社のサービスのネットワークトラフィック量は10TB/日、IoTエンドポイントは4,000超という規模だ。製造業全体でも、AIビジネスは「異常予測」「商品仕分け」「需要予測」「異常診断」「故障予測」を中心に適用シーンが広がっている状況だ。

ありふれたデータでも用価値の高いものにできる

 では、製造業におけるAIビジネスの正攻法とは何か。寺本氏は「新規データ創出からビジネスを考える」「データ作成業務からビジネスを考える」「データの組み合わせからビジネスを考える」の3つを挙げた。

 そのうえで、寺本氏はポイントとして「自動的、継続的、瞬間的、同時並列的にデータの作成を行える部分がAIの活躍するところです。熟練者を見つけ出し、判断業務・判断結果をデータ化して蓄積することで新しいビジネスや事業優位性を生むことができます」と指摘。さらに、「人間には作るのが難しいデータを作成する仕組みを構築し、新しいビジネスを生み出す」ことも解説した。

 また、世の中にありふれているデータでも、意味づけ・紐づけから利用価値の高いデータに昇華させていくことができるという。そのため「自社の持っているデータだけで考えるのではなく、他の会社や他の業界のデータにも着目し、あらゆる組み合わせから、新しい顧客価値や優位性を作る」ことが大事だと寺本氏は強調した。

不具合事象の分類も視野に学習データを作成 不具合事象の分類も視野に学習データを作成
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たけびし:日本の製造業ではIoTの導入が遅れている

たけびし
システムソリューション開発部
課長
池正敏氏
たけびし
システムソリューション開発部
課長
池正敏氏

 たけびしのセッションでは、システムソリューション開発部 課長の池正敏氏が登壇。「製造業のIoT化を下支え―ものづくりの現場とAWSを『つなぐ』最適解」として、IoTシステムの構築からデータ収集、AWSとの「つなぎ」までをいかに効率的に実現するかを解説した。

 たけびしは、産業機器(FA)システムや半導体・デバイス、社会インフラ、情報通信向けにソリューションを提供する1926年設立の東証一部上場企業だ。製造現場向けソリューションで長い実績をもつ一方、AWSパートナー(APNスタンダードパートナー)、三菱電機「e-F@ctory」のアライアンスパートナーとして、新しい取り組みも積極的に進めている。そんな同社で、半導体や自動車、食品などの製造業向けのシステム受託開発を経て、現在、製造現場とクラウドをつなぐIoTシステム開発を担当するのが池氏だ。

 池氏はまず、世界では「インダストリー4.0」「インダストリアル・インターネット」「中国製造2025」に見られるようにIoTを活用した取り組みが注目されているとする一方、製造業のIoTの導入状況として日本の立ち遅れを指摘。そして、日本の製造現場が抱える課題について、機種や接続方法が異なること、データ連携が複雑なこと、旧型設備の改造にコストがかかることなどを挙げた。

生産性向上や品質の維持・向上にIoTは不可欠

 そのうえで、池氏は「生産性の向上や品質の維持・向上には、現状把握から気づき、維持/改善というサイクルが必要です。そのために欠かせないのがIoTです」と説明した。同社がIoTを企業に導入するために提供しているのが、自社開発したさまざまなソリューションだ。

 具体的には、生産現場の情報をIoTサービスに提供するユニット「DeviceGateway」、異なるシステム間のデータをノンプログラミングでつなぐ、業界標準OPC対応の通信ソフトウェア「OPC Spider」、データ収集ソフトウェア「DxpLOGGER」、旧型設備内のファイルデータを上位システムに橋渡しする、IoTファイルアクセスソフトウェア「FileArk」などがある。

 池氏は、これらソリューションを活用して製造ラインや工程、装置ごとに異なるPLCを一元管理することで、工場全体および別工場をまたいだ連携と監視を行う「工場IoT」の事例を紹介。また、警報発報時にメールで異常発生の情報と異常時の状態を表示したURLを送信し、設備異常の状態を追跡する「設備異常検知」の事例や、AWSのマネージドサービスで簡単リモートメンテナンスを実行する「簡易IoT」の事例などを取り上げた。

 最後に、「製造現場のIoT化には多種多様なFA機器と上位システムの連携が課題です。それに対し当社はOPC UA(Unified Architecture)により、工場内のマルチベンダーを実現しています。AWS上の仮想マシンや各種マネージドサービスとDeviceGatewayによりIoT環境を簡単に構築することもできます」と来場者に呼びかけ、講演を終えた。

IoTを企業に導入するために自社開発の製品を提供 IoTを企業に導入するために自社開発の製品を提供
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