「カジュアルなIoT」で製造現場の作業からオフィスワークまで見える化

ZDNet Japan Ad Special 2019年01月10日 11時00分

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[PR]AGCではIoTデバイスを従業員に携帯させ、その作業や活動を見える化することで改善活動の促進を図っている。

製造業のIoTと言えば、加工のための設備に適用して稼働率や生産効率を向上させたり、製品に適用して販売後の運用やアフターサポートを効率化させたりするといったスタイルが定番だ。しかし、まったく別のIoT活用の例もある。それを実践しているのがAGC(旭硝子から社名変更)だ。IoTデバイスを従業員に携帯させ、その作業や活動を見える化することで改善活動の促進を図っている。担当者である資材・物流部の高橋正人氏に、どのように取り組んでいるかを聞いた。

AGC
資材・物流部
プロフェッショナル
高橋正人氏
AGC
資材・物流部 プロフェッショナル
高橋正人氏

端的には「時間の使い方をよくする」こと

 2018年7月に「旭硝子株式会社」から社名を一新したAGC。創立から110年を経て世界的素材メーカーの地位を確立、フロート板ガラスや自動車ガラスなどで世界シェアNo.1を誇るだけでなく、電子・化学品・セラミックスの事業領域でもグローバルに事業活動を展開している。

 総勢5万人を超える同社グループの中で、わずか2人しか存在しないという業務改善の「プロフェッショナル」の肩書きを持つのが高橋正人氏だ。もともと自動車メーカーに所属し、製造現場の生産性向上や在庫削減に取り組む中で業務改善のスキルを身につけるなどの経歴を経て当時の旭硝子に入社した。現在では、AGCグループはもちろん外注先、サプライヤーなどに対しても改善支援や指導などを行っている。

 高橋氏の専門分野は「インダストリアル・エンジニアリング」(Industrial Engineering:以下、IE)だ。日本インダストリアル・エンジニアリング協会(http://www.j-ie.com/)では、IEについて「価値とムダを顕在化させ、資源を最小化することでその価値を最大限に引き出そうとする見方・考え方であり、それを実現する技術です。仕事のやり方や時間の使い方を工夫して豊かで実りある社会を築くことを狙いとしており、製造業だけでなくサービス産業や農業、公共団体や家庭生活の中でも活用されています」と定義している。

 「わかりやすく言うと、『時間の使い方をよくする』ということです。実はこの言葉、私の子供が以前、年間の目標として書いたものなのですが、なかなか核心を突いていると思います。例えばIEでは、作業員が必要な部品や道具を取るために要する時間を短縮して無駄をなくしていく、といった改善を行うのです」(高橋氏)

 つまり、IEの考え方は日本の製造業に馴染み深い改善活動(いわゆる「カイゼン」)と非常に近い。改善活動では、一連の作業を細分化し、一つひとつの工程について所要時間を計測しては、品物の配置を変えたり、治具を工夫したり、作業のやり方を変えるなどして、作業全体の時間短縮を図るといった取り組みが行われる。

改善活動の手法を変える「Smart Logger」

 このような改善活動は日本の製造業に広く定着し、戦後日本の高度経済成長にも大きく寄与したことは言うまでもない。だが、その道の「プロフェッショナル」である高橋氏は、IEの手法そのものに着目して革新を図った。

 「まさに日本のモノづくりの強みとも言える改善活動ですが、その手法そのものは昔から大きく変わっていませんでした。基本的には、作業者とは別の観測者がストップウォッチで時間を計測し、それを集計していくのです。今では動画に記録して分析することが一般的となっていますが、いずれにしても動画を見ながら時間を計測しています。世の中のテクノロジーの進歩に比べると、あまり進歩していないのです。そこに一石を投じたいと考えていました」

 2015年末、高橋氏はそのアイデアを社内プロジェクトとして提案。外部のシステムベンダーと共同開発し、約3ヵ月で現場活用できるまでに作り上げ、2016年6月にはAGCグループ内への展開を開始するまでになった。それが現場効率化ソリューション「Smart Logger」だ。

 Smart LoggerはBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンや、スマートウォッチ、スマートフォンなど、既製品のデバイスを活用しシステムを構築している。協業相手のベンダーから外販されており、関連サービスとして分析から人材育成やコンサルティングまでをコンサルティング会社とも協業し提供されている。

 Smart Loggerは現在も機能強化が進められている。タブレット、スマートグラスなどの対応デバイス、各種センサーとの連携を順次追加しており、今では設備の稼働情報や作業者の生体情報、環境センサーといった情報の取り込みも可能だ。そして2016年6月には、SORACOMのIoT通信「SORACOM Air」「SORACOM Beam」を採用、アマゾン ウェブ サービス(AWS)にデータを集約しリアルタイムに分析・可視化できるまでになった。

 製造業のIoTは、加工のための設備に適用して稼働率や生産効率を向上させたり、製品に適用して販売後の運用やアフターサポートを効率化するといったスタイルばかりが紹介されがちだ。このような取り組みだと、開発や構築に相当な期間がかかり、多大な費用も必要となる。一方、Smart Loggerは、既製品のデバイスやツールをベースとし、クラウドを活用することにより、短期間でソリューションを作り上げることができ、設置、データ収集、分析も手軽にできる。言うなれば「カジュアルなIoT」だ。

Smart Loggerのデータをクラウドへ送信して自動分析 Smart Loggerのデータをクラウドへ送信して自動分析
※クリックすると拡大画像が見られます

「AGCグループ内で目覚ましい効果が出ている」

 Smart Loggerの使い方の一例を紹介しよう。まず、あらかじめ一つひとつの工程をBLEビーコンに割り当てておき、スマートウォッチを着用した作業者が次の工程のビーコンにタッチしては作業を行う。これにより動作に要する時間をスマートウォッチが記録してくれるので、後にPCやスマートフォンでデータを吸い出したり、クラウドにアップロードしたりするなどして時間を集計することができる。その結果、分析に要する時間が大幅に短縮。分析がスピードアップすれば、改善活動が大きく前進する。

 AGCグループ内では、「改善活動が定着しているため、Smart Loggerを提供すれば現場で自発的に活用してくれます」と高橋氏。リリースから約2年間で、70もの工場や部門において300以上のテーマに活用され、人手による作業工程で「労働生産性50%向上」、設備を使う機械加工工程で「労働生産性3倍」、フォークリフトによる物流工程では「フォークリフト台数20%削減」など、目覚ましい効果も出ているとのことだ。

 「Smart Loggerは、複数の作業者、複数の工程を同時に分析したり、長時間の作業を分析することもできます。データの分析が迅速になっただけでなく、大量のデータを気軽に取得することが可能になったため、今までできなかったことがいろいろできるようになりました。改善のリードタイム短縮にとどまらず、人材育成の期間短縮、間接部門の時間の使い方にも変化が見られるようになっています。圧倒的に分析時間が短くなったことで、分析結果から改善を考え行動する時間が増えました。」と、高橋氏は説明する。

 さらにAGCは、グループ外の外注先、サプライヤーにもSmart Loggerを提供している。その意義を高橋氏は次のように説明する。

 「外注先、サプライヤーの中には、あまり改善活動に馴染みのない企業もあります。そうした外注先、サプライヤーに対し分析の手法や改善の考え方を伝えSmart Loggerを提供、外注先、サプライヤー自身の手で改善活動を進めてもらうのです。その効果は当然ながらサプライヤー自身にメリットをもたらしますが、同時にAGCにとっては調達コストの低減という結果につながります。つまり、Win-Winの関係を作れるツールでもあるのです」(高橋氏)

オフィスワーカーの働き方改革にも役立つ

 Smart Loggerの活躍の場は生産や物流の現場だけにとどまらず、オフィスワークにも応用され始めている。ジンズのメガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を活用して集中度をリアルタイムに計測、時間帯や場所、業務内容などに応じた分析を実施し、オフィスワーカー各人の働き方改革に役立てているという。

 「改善するといっても、無駄をなくす『引き算』ではなく、価値を増やす『足し算』にしたいと考えました。具体的には、組織や自身にとって価値の高いタスクに対し、集中できる時間帯を重点的に割り振り、その成果を高めるといった取り組みを行うのです。時短は指標としてわかりやすいので注目されがちですが、あくまでも働き方改革の結果の一つに過ぎないと認識するべきでしょう」(高橋氏)

 集中できる時間帯などには個人差もあるため、集中度改善には一人ひとりの計測が必要だ。ウェアラブルデバイスとSmart Loggerの組み合わせなら、その計測にも大きな負担は生じない。現状がわかってくれば効果的な改善策もおのずと見えてくる。その一つが社内に集中空間「Deep Think スペース」を開設したことだ。このスペースは、ジンズが開発した世界一集中できるワーキングスペース「Think Lab」のコンセプトを取り入れ、設計をジンズに依頼した。自席よりも集中度が約1.5倍になり、業務がはかどることから12席ある座席は常に高稼働率となっている。働く目的に応じて、働く場所を変えるというワークスタイルが浸透しつつある。このような取り組みもあり、AGCで実施されたオフィスワーカーの集中度改善活動では、集中度の高い時間の割合を大幅に向上させることができたという。

 高橋氏自身も、働き方の改善を進めている。「時間の使い方をよくする」取り組みを続け、ライフ・ワークバランスは大きく変化したそうだ。

 「業務については、企画立案や開発検討、社内外の人たちと創造する時間などといったクリエイティブなタスクが大幅に増えました。一方で残業は半減、年休取得20日、体調不良もありません。私生活においても、家族旅行や家族・夫婦での外食、社外の人との外食、子供とのスポーツ観戦、趣味の時間など、楽しむ時間が以前の5倍以上に増やすことができました」(高橋氏)

 高橋氏がメリットを強調する「改善活動」。これからもSmart Loggerがそれに貢献していくことは間違いないだろう。

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