占いコンテンツ市場で世界No.1シェアを誇るザッパラスでは、コンテンツデータとシステムを保護するため、バックアップ環境の構築と運用に細心の注意を払っている。そんな同社が容量増加と仮想マシンの台数増加に対応するために採用したのが、ハイパーコンバージド型のセカンダリストレージ製品「Cohesity」だ。採用の決め手は、圧倒的な使いやすさと、高い重複排除・圧縮効果だった。さらにプラスアルファの機能にも期待を寄せている。
- 会社名 :株式会社ザッパラス
- 売上収益:41億円(2019年4月期)
- 資本金 :14億7,634万円(2019年4月末時点)
- 設 立 :2000年3月
- 従業員 :連結142名(2019年4月末時点)
- 住 所 :東京都港区赤坂九丁目7番1号 ミッドタウン・タワー 23 階
- URL :https://www.zappallas.com/
- 事業概要:モバイル及びPC向け占いサービスの企画制作・開発・運営 及び電話占い並びにメディアサイトの運営。2017年からは動画・リアルイベント事業、AR/VR事業も展開中。
占いコンテンツサービスで世界シェアNo.1
2000年に創業し、モバイルコンテンツの黎明期から占いコンテンツ市場のリーダーとして成長を続けてきたザッパラス。2009年には東証一部上場企業となり、現在、国内のみならず米国でも最大規模の占いメディア「TAROT.com」を運営し、占いコンテンツ市場で世界No.1のシェア企業となった。
国内では、女性誌やWebメディアを中心に100を超える占いコンテンツを提供するほか、2017年からは8万人を動員するリアルイベント「占いフェス」も企画運営。占いを軸としたインターネットTV放送局「AGARUTV」などの動画事業や、大人の旅をプロデュースする旅行事業「Love & Travel PINK」、AR/VR事業も展開する。連結売上高は約41億円(2019年4月期)、連結従業員は142名(2019年4月末)という規模だ。
同社の占いコンテンツサービスは、オンプレミスとクラウドを活用したハイブリッド環境で構築・運営されているITシステムによって支えてられている。1つの占いコンテンツごとに仮想化された複数のWebサーバとデータベースサーバが配置され、負荷に応じてリソースを拡張し、トラブル時にはシステム停止を回避する構成だ。
株式会社ザッパラス
管理PJインフラユニットリーダー
清水 伸彦 氏
管理PJインフラユニットリーダー 清水伸彦氏は、ザッパラスのIT運営について「ITシステムは事業そのものであり、いかにサービスを止めずに安定的に運営するかが問われます。万一トラブルが発生した場合も、データを確実に保護し、すばやく復旧させる事が重要です。システムは、東日本と西日本のデータセンターに配置されていて、それぞれサービス提供環境および、遠隔地へのバックアップ、さらに災害対策(DR)サイトとして運営しています。また、システムログやバックアップデータをDRサイト上に集約し、ログの全文検索や監査ログの可視化なども行おうとしています」と説明する。
そうしたザッパラスのデータ保護やログデータ活用に採用されているのがCohesityだ。
日次バックアップにかかる時間が20時間を超えた
Cohesityは、バックアップやDRサイトのストレージ、テスト/開発環境用のストレージなどを統合管理できるハイパーコンバージド型のセカンダリストレージだ。独自の分散型ファイルシステムにより高いスケーラビリティを確保できることや、重複排除と圧縮機能でストレージ容量の大幅な削減が可能なことが特徴だ。
ザッパラスがCohesityを採用した背景には、占いコンテンツのデータベースバックアップに課題があったためだ。清水氏は、当時の状況をこう説明する。
「本番環境を東日本のデータセンターに設置し、その環境をレプリケートしたバックアップを西日本のデータセンターに設置して、DRサイトとして運営しています。本番サイト、DRサイトの双方でローカルバックアップを取得していますが、課題になったのはDRサイトのローカルバックアップでした。バックアップデータが増加したことやストレージの性能不足により、ローカルバックアップに時間がかかるようになったのです」(清水氏)
システム環境はVMwareで仮想化されおり、約80台の仮想マシンが動作している。ローカルバックアップで行っていたのは各仮想マシン上でのデータベースダンプと圧縮だ。
「80台のサーバ上で同時にデータベースダンプと圧縮を日次で実施していましたが、データベースの容量や台数が増えたことで、1回のバックアップが20時間を超えるようになりました。ダンプデータは圧縮した状態で総容量が7TB 近くに達していました。容量を削減しつつ、すばやくバックアップでき、何かあったときに速やかにリストアできる仕組みが必要でした」(清水氏)
DRサイト上でのローカルバックアップであること、またコストや管理の手間の関係から、高価なフラッシュストレージの導入などは現実的ではなかった。そんな中、システム構築パートナーとして取引があったテクマトリックスから提案を受けたのがCohesityだった。
バックアップ時間は2分の1、容量は7分の1に
Cohesityは専用アプライアンスを利用するだけでなく、さまざまなベンダーのサーバハードウェアにインストールしてストレージを構成することができる。そこで、テクマトリックスから主要ベンダーの検証機を複数借り、Cohesityのエンジニアとともに実環境のデータを使った容量削減効果や処理性能の測定を実施していった。
「Cohesity製品はそれまで知らなかったこともあり、性能や信頼性、重複排除や圧縮の効果などを徹底的に検証することにしました。実際に試してみると、重複排除や圧縮の効果が予想以上に高く、パフォーマンスも優れていることがわかりました。また、将来的な容量増加に備えた拡張性の高さや、ストレージ上でコンテナ・アプリケーションを動作させ、取得したバックアップデータやログデータを利活用できることにもプラスアルファの可能性を感じました」(清水氏)
約2ヵ月間の検証を経て、最終的に採用したのはサーバハードウェアとCohesityだ。仮想アプライアンスであるCohesity Virtual Editionをサーバ上で動作させ、80台の仮想マシンを設置し、レプリケーションとローカルバックアップを行う構成だ。導入後は、バックアップ時間の短縮、容量の削減、コストパフォーマンスの点で、大きな効果を実感しているという。
バックアップは業務への影響を避け夜間に実行しているが、インラインでデータを高速に重複排除・圧縮しながらでも短時間に完了することができているという。これまで20時間かかっていたバックアップが9時間へ大幅に短縮された。
データ削減効果としては、約7倍の削減が実現できた。日次バックアップデータの容量7TBが1TB以下に収まったという状況だ。ハイパーコンバージド型のアーキテクチャであるため、今後データが増大した際にも、性能/容量をスケールアウトしていくことができる。
コストの点でも他社製品と比較して安価に導入できた。「課金が重複排除/圧縮後のデータ容量に対する課金なので、容量が削減できるほどコストメリットがでます。またサブスクリプション数を柔軟に増減させられるので、データ量の増加/減少にも柔軟に対応できます」と清水氏は話す。
セカンダリデータの有効活用を視野に
導入にあたっては、検証段階から実際の本番環境構築まで、テクマトリックスとCohesityの支援を受けることができ、不安なく運用を始めることができたという。Cohesityの国内展開は2019年からだが、海外ではすでに豊富な導入実績がある。導入にあたっては、そうしたナレッジベースを生かしながら、さまざまな環境での動作検証を進めることができた。インタフェースも日本語化されているため、特別な運用方法を習得する必要はなかったという。
清水氏は今後について、Cohesityのプラスアルファの機能を活用することに期待を寄せている。
「パブリッククラウドとのAPI連携も簡単にできるので、AWSやAzureへのデータアーカイブを行うことを想定しています。また、その際には『Cloud Spin』という、クラウド環境に向けた仮想マシンのフォーマット変換機能も利用してみたいと思っています。またCohesityはDockerコンテナ・アプリケーションで機能を追加できます。検証段階では、それらのうち『Insight』と『Spotlight』機能を確認しました」(清水氏)
Insightはログの全文検索機能で、Spotlightは監査ログを可視化する機能を提供するものだ。
「それぞれのアプリケーションの動作は快適で、十分本番業務に使えます。InsightではPalo Alto Networks次世代ファイアウォールのログからエラーを検出することを行いました。また、Spotlightでは、ファイルアクセスのログ監査を行いました。すでに重複排除と圧縮の効果でできたスペースにさまざまなログを蓄積しはじめています。今後は、こうしたCohesityのさまざまな機能を使って、バックアップ/リカバリーだけでなく、取り込んだセカンダリデータを有効活用する方法を模索していくつもりです」(清水氏)
コンテンツを主軸にしたビジネスの成長には、データの保護と活用が欠かせない。ザッパラスのセカンダリデータの有効活用をCohesityが支えていく。