新JISで日本の「ものづくり」が変わる!?「寸法公差」から「幾何公差」への変化とは

ZDNET Japan Ad Special

2018-03-19 12:00

[PR]製造業のビジネス環境は激変している。サプライチェーンはグローバルに拡大し、今や大手企業だけでなく中堅中小でも、海外での生産を行うことが珍しくなくなってきた。そんな中、部品や製品の品質を担保する上で重要な公差の考え方も変わりつつある。

製造業のビジネス環境は激変している。サプライチェーンはグローバルに拡大し、今や大手企業だけでなく中堅中小でも、海外での生産を行うことが珍しくなくなってきた。そんな中、部品や製品の品質を担保する上で重要な公差の考え方も変わりつつある。これまでの「寸法公差」でなく「幾何公差」の考え方を取り入れた設計手法が、欧米を中心に一般的になってきており、その幾何公差を効率的に設定していくためのツールが、CADとともに用いられるようになってきている。日本でも、JISが幾何公差を基本とすべく改訂され、いよいよ日本の製造業でも幾何公差・公差解析をきちんと使いこなす必要が高まってきた。

「寸法公差」だけでも品質を担保できたのは日本の製造業の優位点だった?

 設計・加工・検査・組付といった製造業における一連のプロセスの中で、公差は製品の品質を担保する上で不可欠な要素である。古くから寸法公差が図面に記され、加工や検査の現場ではそれに沿って作業してきた。

 ところが、実は寸法公差のみでは正確に製造するための情報を全て表現しきれていない。単に寸法が図面どおりであるだけでは、その部品に本来求められる形状をきちんと示しているとは言えないのだ。実際、加工された部品の形状には、図面の解釈の違いなどから不具合が存在しており、組付段階で不具合が生じたりする。

芸林盾氏
PTCジャパン 製品技術事業部
CAD技術本部 本部長
芸林盾(げいりん・じゅん)氏

 そこで新たに設計・製造現場で取り入れられ始めたのが幾何公差だ。図面や3Dモデルにおいて定義された幾何形状それぞれに対し、どのくらいの公差が許容されるかを示すというものだ。これを満たすよう加工することで、設計意図通りの品物に近付けることが可能となる。この幾何公差の考え方は、とりわけ欧米で一早く定着し、さらには中国はじめアジア各国の加工・製造拠点も、それに合わせるように取り入れられつつある。

 「しかし、日本では、まだあまり幾何公差の考え方が定着しているとは言えません」と語るのは、CADツールの世界的ベンダー、PTCジャパン 製品技術事業部 CAD技術本部 本部長の芸林 盾氏だ。

「JIS B 0420」「JIS B 0401」による、寸法公差から幾何公差への流れ

 「日本の製造業の現場には優秀な人材が数多く存在していたため、寸法公差だけでも、ほとんど問題なく品質を担保できていたのです。設計現場と製造現場の間に阿吽の呼吸のようなものがあり、製造現場では図面に記されていない部分まで読み込んで、設計意図に沿った品質の形状を作り上げていました」

 しかし近年、こうした長年にわたって受け継がれてきたノウハウは、製造現場の世代交代などにより失われつつある。製造業の海外シフトが進んで日本の製造現場が衰退し、ノウハウを維持できるだけの人員も確保できなくなりつつある。

 「『ものづくり白書2017』においても、『現場力の維持向上』が日本の製造業における大きな課題として取り上げられています。"維持"をあえて書かねばならぬ状況だということです。そして同時に『付加価値』の提供も欠かせないと記しています。様々な業務に追われて忙しい現場に、さらなる付加価値を求めるには、設計業務の効率化も必須です」(芸林氏)

 そこで日本でも、近年になって幾何公差の考え方が取り入れられ始めた。そのことを端的に示すのが、JIS規格の改訂だ。2016年には「JIS B 0420」を新たに制定、それに合わせて既存の「JIS B 0401」を改訂が行われ、これらによって「寸法公差から幾何公差へ」の変化を促そうとしている。JEITAなどの業界団体でも同様に、幾何公差の考え方をガイドラインなどに取り入れてきている。

幾何公差設計を支援するツール「CREO GD&T Advisor」

 まずは、設計者が幾何公差について学んで身に付け、設計業務に生かしていかねばならない。そこでPTCをはじめとするCADツールや関連製品のベンダーは、これをサポートするための製品開発も進めてきた。

 例えばPTCの設計スイート「Creo Parametric」には、オプションとして幾何公差設計を支援するツール「Creo GD&T Advisor」が用意されている。このソフトウェアを使うことで、設計モデル上のあらゆる形状に対し、適切な幾何公差を容易に指定することができる。例えば、それぞれの形状により指定できる幾何公差の種類は異なってくるが、本ソフトウェアは形状を認識して適切なものをアノテーションとして作成してくれる。モデル全体に対し幾何公差の指定漏れがないかどうか確認する機能も備え、2次元の図面として出力する際にも全ての幾何公差を記した出力が可能。そして、こうした機能を使っていくことで、設計者には自然に幾何公差の考え方が定着していくという効果も期待できる。

図:CREO GD&T Advisor 図:CREO GD&T Advisor
※クリックすると拡大画像が見られます

 一早く幾何公差の考え方を現場に落とし込んでいくことが、これからの日本企業、グローバルな部品サプライヤーに発注する日本企業にとっても、また部品サプライヤーとなる日本企業にとっても、重要になってくるのではないだろうか。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]