スマートフォンなど高機能携帯端末の小型化・薄型化・軽量化に貢献するポリイミドフィルムを使用した全層IVH構造の「ALIVH(R)-F」の量産技術を開発

パナソニック

From: PR TIMES

2012-05-11 10:20



パナソニック株式会社 デバイス社は、基材にポリイミドフィルム[1] を使用し基板の薄型化・高密度化・軽量化を可能とする、全層IVH構造[2] の「ALIVH-F」の量産技術を開発しました。本開発により、これまでスマートフォンなどの高機能携帯端末に最適な基板としてお使いいただいている樹脂多層基板「ALIVH(アリブ)[3] 」を、さらに約30%の薄形化、約35%の軽量化、高密度化(層間ビア(穴)の約25%の小径化)しました。なお本開発の基板は、2012年6月よりサンプル出荷を開始し、量産は12月を予定しています。

▼プリント配線板 ALIVHラインナップ
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【効 果】
本開発により、基板の厚みや重量を低減でき、さらに部品の高密度実装も可能となり、スマートフォン、タブレット端末などの高機能携帯端末の小型・薄型・軽量化を容易に実現できます。また用途によっては、削減可能な基板面積・厚みを、電池の容積に振り向け、電池容量の向上も可能となります。


【特 長】
本開発の基板は、以下の特長を有しております。(当社従来品ALIVH-Gとの比較)

1.従来のガラスエポキシ基材[4] を使用したALIVH同様に全層IVH構造のため、部品の高密度実装を実現。

従来のALIVHと同様に導電性ペーストで層間を電気的に接続します。このペースト接続により、シンプルな工程、短いリードタイムで全層IVH構造を実現することが可能です。全層IVH構造は、基板内部の任意の位置に層間を電気的に接続するビア(穴)を形成することができるもので、配線の収容性が高く、基板自体を高密度化できるとともに部品の高密度実装も可能にする極めて薄い基板構造です。


2.基板自体の厚みを約30%削減、重量を約35%軽量化することができ、高機能携帯端末の薄型・軽量化が可能。

基板材料に従来のガラスエポキシ基材と異なり、フィルム基材を採用することにより、8層を積層した基板においても厚みを0.37mm(【基本仕様】の板厚欄を参照)に抑えることができ、重量も約35%削減することができます。これにより、高機能携帯端末の小型・薄型・軽量化に貢献できます。


3.層間ビア(穴)径を約25%減の小径化、かつ配線パターンの幅やピッチも約40%減のファイン化を可能とし部品の高密度実装を実現。

フィルム基材を使用しているため、レーザーでの穴加工性が良好で、直径100μm(【基本仕様】のビア(穴)径欄を参照)のビア(穴)を形成することができます。また、表面の粗さの小さい銅箔を用い、パターン(配線)の幅やピッチを30μm(【基本仕様】のライン/スペース欄を参照)にすることを可能にしました。このように基板全体をファイン化することで、基板面積を縮小することができ、部品の実装密度が向上し、高機能携帯端末の小型化に貢献できます。



【内 容】本開発の基板は、以下の技術によって実現しました。
1.100μm以下の小径ビア(穴)に、確実に充填できる新開発の導電性ペーストを実現する「材料物性制御技術」


従来のガラスエポキシ基材に比べ、極めて薄いフィルムにビア(穴)形成と導電性ペーストの充填を高精度に行うことは難しいとされていました。今回、導電性ペースト接続に最適なフィルム基材の物性(温度特性や、ペースト充填性など)を独自にデザインしました。また、100μm以下の小径ビア(穴)に、確実に充填できる導電性ペーストを新たに開発することで、フィルムでありながら安定した層間接続を実現しました。



2.フィルムを高精度に積層できる「アライメント積層技術」

今回、基材に採用したフィルムは、極めて薄いフィルムであるため、従来のガラスエポキシ基材に比べ、取扱いが難しく、高積層化が困難という課題がありました。今回、薄くて柔軟性のある極めて薄いフィルム基材を、高精度に位置合わせを行うアライメント積層技術を開発しました。これにより、ランド径200μmのフィルム基材を、最大12層積層することが可能となりました。


3.高精度パターン形成などの「ファイン化技術」

全て有機物から成るフィルム基材のため、レーザーでのビア(穴)加工性に優れ、ガラスエポキシ基材に比べ、より小径で高精度にビア(穴)を形成するとともに、ランド径のファイン化を図りました。また、ファインなパターン(配線)形成を可能とするため、エッチングしやすい表面の粗さの小さい銅箔の採用により、基板のパターン(配線)のファインライン化を実現しています。


【基本仕様】
■製品           ALIVH-F     ALIVH-G
■最小板厚(8層の場合)    0.37mm    0.52mm
■最小ビア(穴)径       100μm     130μm
■最小ランド径         200μm    220μm
■最小ライン/スペース(L/S) 30/30μm   50/50μm


【従来例】
スマートフォンなどの高機能携帯端末は、より小型・薄型・軽量化、また電池の大容量化に対する要望があり、基板もさらなる小形化、軽量化が必要となりました。しかし従来のガラスクロスを芯材にしたガラスエポキシ基材を用いたALIVHでは、ガラスクロスの物性により、基材そのものを薄くするには限界がありました。


【用語の説明】
[1] ポリイミドフィルム
ポリイミド (polyimide) とは、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子の総称です。極めて強固な分子構造であるため、数ある高分子の中でも極めて高い性能を持ちます。非常に高い強度、優れた耐熱性があり、電気絶縁性にも優れています。
ポリイミドフィルムは、広い温度幅において、物理的特性、化学的特性、電気的特性および絶縁特性に優れた耐熱性高分子合成フィルムです。

[2] 全層IVH構造
基板内部の任意の位置に層と層を電気的に接続するビア(穴)を自由に配置できる構造の
ことです。

[3] ALIVH(アリブ=Any Layer Interstitial Via Hole)
ALIVHは、パナソニックが開発・事業化し、世界で初めて全層IVH (Interstitial Via Hole)構造を実現した基板で、樹脂多層基板と本開発のフィルム多層基板があります。ALIVHは、1996年10月、業界で初めて重量100g、容積100cc以下を実現した松下電器産業株式会社(現:パナソニック株式会社) 製携帯電話機に搭載以来、日本国内から海外向けまで販路を拡大し、グローバル累計出荷数は 2012年3月末時点で4.8億台(携帯電話機換算)を突破しました。

[4] ガラスエポキシ基材
ガラス繊維を布状に織ったガラスクロスに、エポキシ樹脂を含浸した基材です。



【備 考】
本開発の基板は、2012年6月13日~6月15日に東京ビッグサイトで開催されるJPCA Showに出展致します。


【お問合せ先】
パナソニック株式会社 デバイス社 経営企画グループ 広報・調査チーム
TEL:06-6904-4732
ホ-ムページURL: (リンク »)


【関連情報】

■樹脂多層基板「ALIVHR」 台湾の新工場 竣工式を挙行
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「小型化の高密度基板ALIVH/シンプルな製造プロセスで短納期」
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