クラウドの低消費電力化設計を加速させるSTM32デジタル・パワー・マイコンを発表

STマイクロエレクトロニクス

From: PR TIMES

2014-07-09 09:30

高分解能タイマ等の最先端機能を搭載するSTM32F334が、高効率デジタル電源を実現



多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、デジタル経済を支えるクラウド・システムの電力効率を大幅に向上させるデジタル・パワー・マイクロコントローラ(マイコン)STM32F334を発表しました。

今日のデジタル・インフラは、大量の電力を消費しています。データ・センターだけでも、世界中の電力の約1.3%(年間約286,000 GWh)を消費していると推定されています。Uptime Institute社のPower Usage Effectiveness(PUE)の試算によると、有効に使用されているのはこの電力の内40%程度で、残りの大部分は大規模かつ高価な冷却系装置から熱として放出されているとみられています。急速に増加しているクラウド・ユーザとクラウド・サービスが今後もさらに成長することが予測されており、電力効率の向上は喫緊の課題です。

Uptime Institute社によると、コンピュータ電源のデジタル制御等の手法で、消費電力の変動に合わせて柔軟に供給電力を制御することにより、データ・センターの電力効率を60%超まで引き上げることが可能であると推定されています。STのSTM32F334は、デジタル電源制御に必要な機能のすべてをシングル・チップで提供するため、データ・センターにおける、マルチフェーズ・インタリーブやLLC共振コンバータ等の電力効率の高い電源のデジタル制御への移行を簡略化します。また、高精度・高分解能タイマ(217ps)は高い電力効率を実現すると同時に、超高速コンパレータと連動して、保護機能を実現します。そのため、デジタル電源の効果を最大化し、クラウドの電力効率を向上すると共に、安全・安定な電力供給に貢献します。これには、世界の電力需要を1日当たり約280GWh(1)(オランダの発電量(2)に相当)低減する可能性があります。

STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次の様にコメントしています。「STM32F334デジタル・パワー・ラインは、デジタル・モータ・ドライバおよび太陽光発電システム用パワー・コンバータで使用されているSTM32F3の機能を搭載し、さらに高分解能タイマ等の革新的機能が追加されたデジタル電源システム向けの業界最高性能のマイコンです。同製品は、汎用通信インタフェース、複数のタイマ出力、強力なCPUおよび通信ペリフェラル等のペリフェラルを内蔵しているため、データ・サーバ、通信インフラ、ワイヤレス給電システム、照明、溶接機、産業用電源で使用されている複雑な電源トポロジのデジタル制御を大幅に簡略化します。」

STM32F334デジタル・パワー・ラインは、STの実績のあるSTM32ファミリをさらに拡張します。エントリ・レベルのSTM32F301(PWM分解能 : 7ns)と完全なピン配置・ソフトウェア互換性があるため、単一の開発プラットフォームを使用できるという大きなメリットがあります。また、実績のある開発エコシステムが、STM32F334デジタル・パワー・ラインをサポートし、高効率デジタル電源システムの設計を支援します。

STM32F334は現在量産中で、LQFP64、LQFP48またはLQFP32パッケージで提供されます。サンプル単価は約1.54ドルです。

技術情報

STM32F334は、DSP命令セット・FPU搭載のARM(R) Cortex(R)-M4コア(72MHz)による優れた演算能力を備えています。また、内蔵されているCore-Coupled Memory(CCM-SRAM)が、制御ループやクリティカル・ルーチンの実行を加速する「ルーチン・ブースト」機能(90DMIPS : 100MHz超のCPU周波数に相当)を実現しています。

高分解能タイマは、10チャネルの独立した217ps(ピコ秒)分解能PWM出力を備えており、多数のスイッチを備えたコンバータまたは複数のコンバータを同時に制御することが可能です。分解能が217psであるため、高効率電源トポロジであるLLC共振コンバータの制御にも対応します。このようなLLC共振コンバータでは、高分解能PWMを使用することで、周波数と位相を高精度で制御可能になり、高精度の電圧制御および過渡特性の改善に貢献します。

10チャネルのタイマ出力制御は、内部クロスバーによりシンプルかつ柔軟に行うことが可能です。強制停止機能、デッドタイム・コントロール、および保護機能を備えたPWMは、スイッチング電源制御向けに最適化されています。さらに、設定を簡略化することで高分解能タイマでも、通常のタイマと同様に容易にプログラミングすることができます。

高分解能タイマの他、デジタル電源制御用に最適化されたSTM32F334のペリフェラルには、以下が含まれます。

・超高速12bit ADコンバータ(5Msps(変換時間:0.2μs)、2個) :電圧および電流の同時測定用にサンプリング時間を21nsまで短縮
・超高速コンパレータ(3個) : PWMタイマと連動することで保護機能を実現(コンパレータへの入力からPWM出力の停止まで25nsで応答)
・DAコンバータ(3個)およびプログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA、1個)
・CAN、I2C(PMBus / SMBus)

さらにSTM32F334は、拡張性の高いI/Oを備えており、外部のドライバ回路やロジック回路への接続、内部・外部故障信号の入力をアナログまたはデジタル信号で行うことが可能です。

STM32F334は、高分解能タイマの操作と設定を簡略化するグラフィック・ユーザ・インタフェースを備えたSTM32CubeMX初期化C言語コード・ジェネレータや、同製品のペリフェラル用のハードウェア抽象化レイヤ(HAL)およびミドルウェアを含むSTM32CubeF3組込みソフトウェア・ライブラリなど、STM32Cubeソフトウェアの最新バージョンで完全にサポートされています。

STM32F334用開発ボード

・バックブースト・コンバータ搭載の評価ボード(32F3348DISCOVERY)
・LLC共振DC/DCコンバータおよびセミブリッジレスPFC(力率改善)搭載の500Wデジタル・スイッチング電源(DSMPS)評価ボード(STEVAL-ISA147V2)
・STM32 Nucleoオープン・プラットフォーム(NUCLEO-F334R8)

アプリケーション・ノート(AN4539)は、各種電源トポロジで高分解能タイマを利用する際に役立ちます。LED照明の調光やLLC共振コンバータ制御用の専用アプリケーション・ノートも利用可能です。

(1) 2012年の世界の電力消費量は、約22000TWhrでした。その内、サーバ施設による電力消費は約1.3%で1日当り286,000GWhrにおよびます。Power Usage Effectivenessを2.5から1.6へ改善するSTM32F334により、1日当り最大約281GWhrのゲインがあると予測されています。

(2) オランダの年間発電量は101TWhrで、1日当り約275Ghrです。 (リンク »)

STマイクロエレクトロニクスについて
STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。2013年の売上は80.8億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( (リンク ») )をご覧ください。

◆ お客様お問い合わせ先
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
STマイクロエレクトロニクス(株)
マイクロコントローラ・メモリ・セキュアMCU製品グループ
TEL: 03-5783-8240 FAX: 03-5783-8216

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