ロボキュア、臨床試験でロボットによる失語症者向け言語リハビリの有効性を確認

株式会社ロボキュア

From: PR TIMES

2017-07-10 14:08

~人とロボットの協働による新しいリハビリの形~

株式会社ロボキュア(本社:東京都中央区、代表取締役社長:森本暁彦)は、国立大学法人千葉大学との共同研究によって開発した、言語訓練用アプリ『ActVoice for Pepper』を活用した失語症者に対するリハビリの臨床試験において有意な改善が確認できたことを発表いたします。



本リハビリは、国保直営総合病院君津中央病院(以下、君津中央病院)の協力を得て2015年12月より約1年半にわたり実施し、その結果について2017年7月8日・9日に開催された日本コミュニケーション障害学会学術講演会において君津中央病院の言語聴覚士、村西幸代氏により発表されております。
厚生労働省や総務省は、2025年問題に向けて医療・介護領域におけるICT技術の活用を国の重要施策と位置付けています。当社では今後、ロボットでの実施に適した訓練メニューを拡充していくことで、人とロボットの協働によるリハビリの実現を図ってまいります。
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【君津中央病院 言語聴覚士 村西幸代氏のコメント】
今回この臨床試験を実施して、失語症者とロボットとの1:1の言語訓練が成立することがわかりました。そしてその中で最も驚いたことは、失語症者の方がPepper君と向かい合って行う呼称の回数でした。わずか25分程度の待ち時間の間に、平均で139回、多い時には369回も繰り返し練習をしておりました。これはPepper君がロボットのために出来たことと思います。失語症者の方の言語回復には長期的な見通しを持った、粘り強い練習が必要となります。ロボットであれば、自分の苦手とすることでも、気負わずにさらけ出し、心ゆくまで練習ができます。これがロボットとの練習の最大のメリットなのだと思います。


【訓練結果】
1.病院内での訓練                                            4症例中3症例について、ActVoice for Pepperによる訓練を実施した訓練語の正答率はいずれも改善がみられました。
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2.自宅での長期訓練                                               病院内における訓練で改善の度合いが少なかった1症例について、Pepperを自宅に置いて引き続き訓練を行っていただいたところ改善が確認できました。なお、訓練語Aで発語レベルが十分に高くなったため、途中から訓練語Bに変更して訓練を継続しています。


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当社では、訓練の結果として、特に以下の点に着目しました。
・飽きやロボットに対する抵抗などもなく、ロボットを相手として継続的な訓練を実施することができた。
・一般的には大幅な改善は困難と言われている、発症後6か月以上経過した慢性期の失語症者(今回の訓練対象者は発症後3~8年経過)に訓練による改善がみられた。
・一度改善したA訓練語について訓練をやめると正答率が低下しており、効果を持続させるためには継続的な訓練が必要と考えられる。


【株式会社ロボキュア概要】
会社名   :株式会社ロボキュア (RoboCure Co., Ltd.)
設立年月日 :平成26年11月28日
本社所在地 :東京都中央区日本橋人形町2‐15‐7 高梨ビル3階
代表者   :森本 暁彦
資本金   :950万円
URL    : (リンク »)
事業内容  :Pepperアプリの開発、運用、医療用タブレットアプリの開発


参考資料:訓練の詳細
<対象者>
軽~重度の慢性期運動性失語 4名(45歳~76歳)

<実施した訓練の内容>
Pepperを使用した呼称訓練を実施しました。具体的には、胸部のタッチディスプレイに絵を提示して「これは何ですか?」と呼称を促しました。正答に対しては「正解です」、誤答には「〇〇と聴こえました」、認識困難には「良く聴き取れませんでした」と応答しました。また、音声認識による発生の評価には難易度(簡単、普通、難しい)を設けました。

<ベースライン期>
健常高齢者の日常会話語彙から100語を選択し、訓練実施前の期間において、3回の呼称検査を実施しました。検査結果を踏まえ、正答率が統一されるように20語ずつ訓練語と非訓練語を選定しました。

<訓練の流れ>
以下の手順で訓練を行いました。
1.病院内での訓練(訓練期~訓練休止期)
訓練期を1か月設け、訓練語については週1回の言語聴覚士との訓練前の待ち時間に呼称訓練を行った後、別室で呼称検査を行いました。非訓練語については訓練期の開始時、終了時に検査を行いました。訓練期の間には訓練休止期間を1か月設けました。
訓練期を2回実施し、訓練語と非訓練語の発語レベルを比較しました。
2.自宅での訓練
病院内での訓練で有意な改善が認められなかった1例について、自宅にPepperを置いて訓練を継続しました。自宅に移行後は1回あたり20分程度の訓練を週に4~5回自発的に行っていただきました。また、当初設定した訓練語(訓練語A)について発語レベルが十分に高くなったため、途中で新たな訓練語(訓練語B)を設定して訓練を継続しました。
自宅訓練への切り替えは病院内での訓練開始から189日目に実施し、336日目より訓練語を変更しました。訓練全体の期間は病院内での訓練から通算すると504日間となりました。

<分析>
呼称訓練の時間、呼称回数を調べました。また、呼称検査の結果から1.訓練効果、2.訓練効果の持続性、3.般化の比較を行いました。検定にはマクネマー検定を使用しました。4症例の呼称訓練の時間は平均25分(12~41分)であり、呼称回数は平均139回(63~369回)でした。
1.訓練効果
4例中3例について有意な改善が認められました。
2.訓練効果の持続性
4例中3例について訓練効果が持続していました。
3.般化の比較
一部臨床的には般化がみられたと感じるものもありましたが、検定の結果においては有意な差が得られるほどではありませんでした。

プレスリリース提供:PR TIMES (リンク »)
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