乳がん・卵巣がん患者のHBOC調査結果発表

アストラゼネカ株式会社

From: PR TIMES

2017-10-02 11:01

乳がん・卵巣がん患者さんにおける遺伝性乳がん・卵巣がんの情報提供のニーズと現状に大きなギャップ

~医師からの情報提供は2割に留まる~



アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ、以下、アストラゼネカ)は、9月最終週の「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)啓発週間」に合わせ、乳がん・卵巣がん患者さんを対象にHBOC調査を実施しました。

HBOCは、親から受け継がれた、特定の病的な遺伝子変異が要因となり発症する「遺伝性腫瘍」の一つです。BRCA1あるいは BRCA2というがん抑制遺伝子の生まれつきの変異が原因で発症し[1]、一般的な乳がん・卵巣がん患者さんの約5~10%を占めます[2]。また、HBOC患者さんは一般の方よりも乳がんの発症率が6~12倍、卵巣がんの発症率が8~60倍高いといわれています[3]。

乳がん・卵巣がん患者さんがより良い治療を選択するためには、HBOCの十分な理解が必要ですが、乳がん・卵巣がん患者さんにおけるHBOCの認知度はまだ半数[4]と、高くありません。本調査は、HBOCの認知理解の向上を目的とし、乳がん・卵巣がん患者さんにおけるHBOC関連情報へのニーズと情報の入手状況を明らかにしました。その結果、患者さんの6割以上は診療時に医師からHBOCの情報を得たいと思っていたにも関わらず、実際に情報を得ることができたと回答した患者さんは2割に留まっているという現状が明らかになりました。

【調査結果のポイント】
・  乳がん・卵巣がん患者さんの62.3%が、医師から遺伝性かどうかについての情報を提供してほしいと思っていますが、実際に情報提供された患者さんは22.1%に留まりました。
・   乳がん・卵巣がん患者さんのHBOC認知経路で最も多いのは「テレビ・ラジオ」(64.2%)、次いで「インターネット」(43.3%)でした。「医師」は26.9%で、「新聞、雑誌」と同じ割合でした。
・  HBOCの一次拾い上げに役立つ情報の一つは「患者さんの第一から第三度近親者 におけるがん罹患歴(家族歴)」です。乳がん・卵巣がん患者さんにおける家族歴の把握度は第一度と第二度近親者において9割を超え(第一度近親者:100%、第二度近親者:96.4%、第三度近親者:71.6%)、患者さんは医師に問われれば、HBOCスクリーニングに役立つ情報を十分に有していることが分かりました。
・  HBOCの説明を受けると、患者さんの63%がHBOCを自分と関係している疾患だと捉え、58.4%はさらに詳しく知りたいと回答したことから、患者さんへのHBOCの情報提供の機会を準備することが重要であることが明らかになりました。

【本調査監修者 新井 正美先生のコメント(がん研究会有明病院 遺伝子診療部長)】
「医師からのHBOCに関する情報提供において、患者さんのニーズと現場の対応に大きなギャップがあることが本調査で浮き彫りとなった。患者さんは現在、テレビやインターネットからHBOCの情報を得ることが多いが、医師を含めた医療従事者からの情報提供を求めている。今後、診療の担当医もその役割をより強く認識することが必要である。」

【監修 新井 正美先生プロフィール】

[画像1: (リンク ») ]



1986年鹿児島大学医学部を卒業、1996年に東京大学大学院医学研究科修了。東京大学医学部第3外科、癌研究会附属病院消化器外科を経て、2000年から同病院家族性腫瘍センターに所属、2011年より現職。

調査結果概要

1. 自身のがんの遺伝性の可能性について6割以上の患者さんが医師からの情報提供を希望。しかし実際の医師からの情報提供は2割にとどまる。
医師から提供してほしい・ほしかった情報として、「自身のがんが遺伝性かどうか」と回答した患者さんは62.3%。一方、実際の治療中に医師から遺伝性かどうかの情報提供があったと回答した患者さんは22.1%と、ニーズと現状には大きなギャップがあることが分かりました。HBOCの認知経路としても、「医師」は3割弱にとどまっています。
[画像2: (リンク ») ]

[画像3: (リンク ») ]

2. 乳がん・卵巣がん患者さんの「がん家族歴」把握度は非常に高い。
乳がん・卵巣がん患者さんは自身の「がん家族歴」の把握度合に関して、第一度近親者で100%、第二度近親者で96.4%、第三度近親者で71.6%と高い割合で把握していると回答しています。
[画像4: (リンク ») ]

3. HBOCについて説明を受けた患者さんの約7割が、自身のがんとの関連性を意識。
調査内で患者さんがHBOCについて説明を受けると、約7割の患者さんが、「自分の子供など親族のことが心配になった」(33.1%)、「自分の乳がん・卵巣がんが遺伝性なのか知りたいと思った」(27.3%)など、自身のがんとHBOCの関連性を意識しました。この結果からさらなる情報提供へのニーズがあることが明らかになりました。

[画像5: (リンク ») ]


調査概要
調査時期: 2017年9月
調査手法: オンライン調査
調査対象者: 乳がんまたは卵巣がんを治療中/治療経験のある患者さん 計154名
監修: がん研究会 有明病院 遺伝子診療部 部長 新井 正美先生
遺伝性乳がん・卵巣がん (HBOC)に関する調査レポートは下記URLよりご覧いただけます。
(リンク »)

遺伝性乳がん・卵巣がん (HBOC)について
HBOCは遺伝性腫瘍の一つで、BRCA1 あるいは BRCA2 というがん抑制遺伝子の生まれつきの変異が原因で発症します。HBOCでは、通常の乳がんよりも若くして罹患する、乳がんと卵巣がんの両方を発症するという特徴があります。また、乳がんではトリプルネガティブ乳がん*や、両方の乳房に発症、もしくは片方に複数回発症するという現象が見られることがあります。遺伝性の疾患であるため、BRCA1およびBRCA2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%の確率で受け継がれます。HBOCに関する自身および家族の遺伝子変異はBRCA1/2遺伝子検査**によって確認することができます。HBOCの発症の可能性やさまざまな不安については、専門の医師や認定遺伝カウンセラーに相談し、アドバイスを受けることができます。
*ホルモン療法の対象となるエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモン受容体がなく、トラスツズマブという薬剤の治療対象となるHER2受容体の過剰発現もない乳がんのこと。悪性度が高く、現在治療選択肢が限定されている[5]。
**2017年10月現在本邦において国内未承認

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液腫瘍に焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの主要な成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については (リンク ») または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

[1] 日本HBOCコンソーシアム(2015)「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)をご理解いただくために(ver.3)」p.3
[2] 日本HBOCコンソーシアム(2015). 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(ver.3), p5.
[3] NCCN腫瘍学臨床診療ガイドライン(2016). 乳癌および卵巣癌における遺伝学的/家族性リスク評価第二版, MS-5
[4] アストラゼネカ株式会社(2016). 遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)に関する認知・理解度調査レポート, p.12.
[5] 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター2015 : (リンク ») より一部改変 2016/10/18参照

プレスリリース提供:PR TIMES (リンク »)
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