「第47回 信頼性・保全性シンポジウム」各報文賞の受賞者決定!

日科技連

From: PR TIMES

2017-10-25 10:00

ものづくり日本を支える研究者・技術者による研究・経験・実践論文の各賞が決定!

一般財団法人日本科学技術連盟(本部:東京都新宿区、理事長:佐々木 眞一、以下 日科技連)は、2017年7月13日(木)~14日(金)に「第47回 信頼性・保全性シンポジウム」を開催し、ものづくり日本を支える研究者・技術者による研究・経験・実践論文が発表報告されました。参加者からの投票結果をもとに、本シンポジウム報文小委員会による厳選なる審査と組織委員会の最終審議の結果「推奨報文賞(3件)」「奨励報文賞(1件)」「特別賞(1件)」の各賞受賞者が決定しました。



1.受賞者(推奨報文賞:3件、奨励報文賞:1件、特別賞:1件)
(1)推奨報文賞(1件目)
「加湿試験での試験条件による影響性評価(第一報)」
 猪倉 慎也氏  楠本化成株式会社
[受賞理由]
従来から湿度試験は結果の再現性に乏しく、ばらつきも大きいことから非常に難しい試験の一つと言われてきました。
本報告では具体的かつ豊富な実験データから影響因子である湿度を深く考察し、吸湿条件ごとの吸湿挙動を分析することで湿度試験の有効領域の導出を成し遂げています。さらに、明らかにされた湿度試験の有効領域内にて、吸湿プロセスを絶対・相対湿度の両視点から検討し、湿度試験における温度考慮の重要性をデータで証明するなど、技術者が陥りやすい盲点の共有を可能とし信頼性技術者のスキル向上への多大な貢献が認められます。また、腐食試験に関しては、これまでの相対湿度モデルとは異なる加速モデルを提唱することで、従来、相関の取れなかった試験結果に対しても新たな方向性が示されました。
これらは学術的に優れた内容であると同時に産業界の知見向上への貢献も大きいことから推奨報文賞に値するものと判断いたしました。

(2)推奨報文賞(2件目)
「接着剤選定時の課題と新評価方法の検討」
 八木 智博氏  ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
[受賞理由]
筆者は、半導体メーカーに勤める半導体デバイスの実装技術開発者であり、実装に必須な樹脂や接着材のような高分子材料の評価や調合は、高分子材料メーカーに依頼してきました。そのため、半導体メーカーの封止材の要求に完全に合いたした材料を得ることは困難な面が多くありました。
本報告では、接着力がばらつくことを課題と捉え、材料メーカーの協力も得て、そのばらつき発生メカニズムを解明すると共に、ポリマーのシェア速度依存性を評価パラメータと捉えて、ばらつきのきわめて少ない評価方法を提案されました。
さらにその評価方法が、寿命予測に応用可能であることまでを示された点を評価し、推奨報文賞に値するものと判断いたしました。

(3)推奨報文賞(3件目)
「複合機/プリンターにおける用紙起因不具合の削減に向けた取り組み」
 


菊地 教行氏  富士ゼロックス株式会社
[受賞理由]
製品開発においては、メーカー指定品(純正品)以外の使用でも不具合が発生しないロバスト設計が求められていますが、その実現には膨大な試験工数と手直しによる製品開発期間の長期化という問題が伴います。
本報告では、複合機プリンターの膨大な種類の用紙起因の不具合に対して、個別の用紙の銘柄で考えるのではなく、用紙の各種特性をレーダーチャートで可視化し、各要因の紙詰まりの発生メカニズムを追究、品質特性と用紙特性の関連付けを明らかにされました。
その結果、用紙特性を代表する限定された銘柄の用紙による評価だけで、用紙起因による紙詰まりを解消され、試験工数の大幅な削減も同時に達成されました。さらに、開発・設計部門が活用可能な品質機能展開表を構築され、JISやISOに規定のない独自の信頼性指標・手法を新たに構築し、商品力向上にも貢献されました。これらの組織縦断的な品質向上活動に対して、推奨報文賞に値するものと判断いたしました。

(4)奨励報文賞
「火力発電所のトラブル停止による経済損失低減に向けた運転・保全管理の高度化について」
 井上 英人氏  関西電力株式会社
[受賞理由]
電力会社の取り巻く環境変化に伴い、火力発電所の競争力強化のための設備保全方法の見直しや稼働率向上による経済性の高いプラント運営は非常に重要な経営課題となっています。
本報告は、経営目標であるROA(総資本利益率)改善を目指した全社をあげての部門連携による活動成果の発表でした。将来のROA目標を元に改善目標を設定し、発電所全体の業務フローにおける狙いとのギャップ分析を行い、攻めどころを明らかにする王道の問題解決を実施し、分析/対策フェーズでは、リスクマッピング、設備/工程FMEA、FTAによる設備故障の要因洗い出し、そして、効果的な予防保全を行うためのセンシングによる監視や予兆と多くの手法を用いた実例の発表は、信頼性や保全性の向上に取り組む技術者に対して、大いに参考、指針になる内容でした。
今後、ますます企業活動における効率化や採算性が求められるなか、本報告は俯瞰的かつ複合的に手法を活用し、保全性領域において大きな成果を上げたチャレンジブルな内容の報告であり、奨励報文賞に値すると判断いたしました。

(5)特別賞
「半導体LSIのバスタブカーブに関する考察」
 瀬戸屋 孝氏  株式会社東芝 ストレージ&デバイスソリューション社
[受賞理由]
先端LSIにおいては、偶発故障期は現れず、初期故障期が実使用上は継続して続くことが既に提唱されており、JEITAの半導体集積回路信頼性認定ガイドラインEDR-4708では、それに基づく故障率計算方法が提案されています。
本報告では、それらに基づく新しいバスタブカーブが提案されました。さらにEDR-4708 では、摩耗故障分布の確認評価において、サンプル数と試験時間は等価であるとの考えの下で、少ないサンプル数で同等の信頼性試験設計ができるように規格化されており、世界標準になりつつあるAEC-Q100 を上回る効率性があること等が報告されました。上記の多岐にわたる報告内容は、発表者の豊富な実務、国際学術会議、国際規格会議等の経験、文献調査に基づく、理論及びシミュレーションによる説得力のあるものでした。会場を埋めた聴講者から大きな反響のあった内容であり、発表者の今後の継続的発表を期待して、特別賞に選考いたしました。

2.賞の種類
(1)推奨報文賞
推奨報文賞は、理論・方法などに従来試みられなかった新しい知見を有する内容、あるいは信頼性業務の遂行上裨益をもたらす内容を有する、優れた発表に与えられるものであります。

(2)奨励報文賞
奨励報文賞は、一般投票では選出されにくい専門分野や理論的な研究だが、今後の信頼性・保全性の研究や発展に寄与することが期待される発表に与えられるものです。

(3)特別賞
特別賞は、その内容が学術的または労力的見地から表彰に値する発表、または啓蒙的であって参加者にとって有益と判断された発表に与えられるものです。

■第47回 信頼性・保全性シンポジウム「推奨報文賞・奨励報文賞・特別賞の紹介」
  (リンク »)

■信頼性・保全性シンポジウムとは
  (リンク »)
1971年に開始した当シンポジウムは、いろいろな分野の信頼性・保全性・安全性に携わるエンジニア、マネージャー、研究者が集い、ものづくり日本を支える「産・学」から最新かつ実践的な技術・経験・研究成果が発信され、これらを共有し、意見交換・討議などを行うとともに、基調講演、特別講演、招待講演、特別企画セッション、展示コーナーなどを通じて多彩な人的交流と情報交換の場を提供することを主眼としたシンポジウムとして毎年7月に開催している。
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■日科技連
(リンク »)
■信頼性・保全性シンポジウム(R&MS)
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■信頼性・保全性シンポジウム:開催レポート
(リンク »)

プレスリリース提供:PR TIMES (リンク »)
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