テクノロジーはアパレル産業をどう変えるか

ローランド・ベルガー 2017年11月30日

From PR TIMES

2017年11月、東京発 
ローランド・ベルガーは、アパレル業界に関する最新スタディ「テクノロジーはアパレル産業をどう変えるか。」を発表いたしました。本スタディでは、AI(人工知能)をはじめとするテクノロジーがアパレル産業にもたらすインパクトを国内外のケーススタディと共に紹介した上で、国内アパレル市場の今後、および従来型の国内アパレル業界が再興するために求められる要件を分析いたしました。


要旨

2017年10月最新の国内衣料品消費の市場規模は、2016年の市場規模は9兆6,500億円となり前年比は0.5%ながら微増となっている(繊研新聞社調べ)。この微増という結果に違和感を覚える方々も多いのではないだろうか。昨今アパレル業界を取り巻く論調は厳しく、服が売れないに代表されるネガティブワードがメディアを賑わしているからである。

しかしながら、詳しく中身をみると総合系アパレルに代表される旧来型アパレル企業や百貨店が属するミドルアッパー市場の低迷が、報道で過度にフォーカスされている感は否めない。確かに、少子高齢化と共に個人の衣服に対する支出額は減少しているのは事実だ。しかし、一方、旺盛なインバウンド需要、本物志向とメリハリ消費の拡大、スポーツ・アスレジャーの浸透、若年層のデジタル化等のうねりはアパレル市場の中で新たな成長領域も生んでいる。当該市場に強いブランドや企業は好調だが、その中には多くの外資系企業が含まれており、成長の恩恵を享受できている日本企業は限定的であることが、不況報道が先行する実態だ。

このように旧来型の国内アパレル企業が新しい成長領域を捉えきれない要因として、テクノロジーの活用に遅れをとっていることがある。

テクノロジーがもたらす6つのインパクト
テクノロジーの進化は、本質的にアパレル業界に対して、大きく6つのインパクトをもたらす。
即ち、1. アパレル消費の多様化 2. 情報の非対称性の解消 3. 在庫リスクの低減 4. 生産・流通コストの削減 5. マスカスタマイゼーションの実現 6. テキスタイルの進化、である。これからのアパレル企業の経営者に求められていることは、テクノロジーがもたらすこれらのインパクトを理解したうえで、ビジネスモデルにデジタルを有機的に取り込んでいくことである。他方、多くの日本企業が従来型のビジネスモデル、レガシーなバリューチェーンの枠組みに縛られており、部分的にデジタル化するだけで精一杯の状況である。今、こうしている間にもテクノロジーを最大限活用した新しいファッション企業がグローバルでは急速に成長している。


アパレル業界の今後
2025年団塊の世代が後期高齢者となり、国内市場の縮小は歯止めが利かなくなる。これからの10年間、アパレル業界ではかつてないディスラプションが起こるだろう。衣服に対する消費は70歳を過ぎると急激に落ち込む。ミセス市場に頼っていたり顧客層が高齢化しているアパレル企業はどこも苦しくなる。また、プラットフォーム企業のプライベートブランドやテクノロジーを最大限活用する新規参入者、スタートアップが市場を席巻し、従来型アパレルは防戦一方になるだろう。

業界全体がお先真っ暗なのではない。変化が大きい環境下においては、多くの機会が生まれることが常である。国内アパレル業界においても同様で、実際スタートトゥデイのような成功例に続き、新しいスタートアップも登場している。従来型アパレル企業であっても、既存の概念・枠組みを取り払い、ゼロベースで事業を考え直せばチャンスはある。


アパレル業界が再興するための3つの要件
従来型のアパレルが機会を成長に繋げるためには3つの要件をクリアしなければならない。第1に、最初からグローバル市場に売り込むことを前提とすること、第2に、従来の企業ガバナンス形態、サラリーマン型組織から脱却し、ジョブディスクリプションを明確にしたフラットな組織に組織変革すること、第3に、オープンイノベーションを起こすべく外部からの人材登用・活用を積極的に行うことである。これら3つ要件をクリアすることは容易ではない。会社によっては経営から変えないと難しいケースもあるだろう。しかしながら、国内市場の変化とデジタル化の進展は、アパレル業界の競争環境を劇的に変えようとしており、時間は残されていない。戦後の国内アパレル産業の発展が生み出した川上・川中・川下に散らばる優秀な人財・機能を繋ぎ、今こそ次代に繋がる業界再興を目指すべきタイミングではないだろうか。


株式会社ローランド・ベルガ―について
ローランド・ベルガーは、1967年にドイツ・ミュンヘンで創設された欧州系最大の経営コンサルティング会社。
現在世界で34カ国50オフィスに約 2,400名のプロフェッショナルスタッフを擁する。
日本では1991年に設立。近年では、日本型イノベーションである「和ノベーション」を提唱し、日本企業の革新を進める。 AI、デジタルの力を武器に人を進化させ、あらゆる現場での新たな付加価値の創出を目指す。
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