「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2017年版の結果を公表

デロイト トーマツ グループ 2018年01月31日

From PR TIMES

国内で最も優先すべきリスクは「地震・風水害等、災害の発生」(35.9%)で2年連続トップ

日本に本社を構える上場企業に対して、リスクマネジメントならびにクライシスマネジメントの認識や、その準備・対応策の現状把握を目的に調査を実施し、454社から有効回答を得ました。

・国内で最も優先すべきリスクは「地震・風水害等、災害の発生」(35.9%)で2年連続トップ
・「過労死、長時間労働等労務問題の発生」が国内で最も優先すべきリスク7位に上昇。国内外ともに「人材流失、人材獲得の困難による人材不足」への課題意識も高まっている
・クライシス発生時の成功要因として、クライシス経験企業は発生時のアクションを、過去に経験していない企業は事前準備を重視



有限責任監査法人トーマツ(東京都港区、包括代表 觀恒平)でリスクマネジメント等の調査・研究を行うデロイト トーマツ 企業リスク研究所は、「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2017年版を本日公表します。日本に本社を構える上場企業に対して、リスクマネジメントならびにクライシスマネジメントの認識や、その準備・対応策の現状把握を目的に調査を実施し、454社から有効回答を得ました。

■主な調査結果

1. 上場企業において最も優先して着手すべきリスクの種類
日本国内において最も優先して着手すべきリスクの種類は、前回調査の2016年に引き続き「地震・風水害等、災害の発生」が35.9%で最多となりました。日本国内ではこれまでも数多くの自然災害が発生してきましたが、2016年4月に発生した熊本地震の影響が、いまだ企業の意識を高める一因となっているようです。2位は2016年に引き続き「法令順守違反」の29.3%、前回3位であった「情報漏えい」は21.6%で4位に順位を下げました。昨今の働き方改革に繋がった背景から、「過労死、長時間労働等労務問題の発生」は16.1%と、前回調査の10位から7位へと順位を上げました。

海外拠点においては、「子会社に対するガバナンス不全」が22.9%で1位(2016年は5位)となりました。海外拠点におけるガバナンス体制の確立・高度化は、前回調査でも注目が高まっていることが見て取れましたが、今回の調査から、企業がその優先度を高めている状況が結果として明らかになりました。

特筆すべきは、「人材流失、人材獲得の困難による人材不足」が日本国内3位(2016年は6位)、海外拠点4位(2016年は7位)となり、ともに前回より大きく順位を上げていることです。人材流動性の高まりを受けて、多くの日本企業が対応を急務としている意識が読み取れます。(図表1)

図表1:日本国内と海外拠点それぞれにおける、優先して着手が必要と思われるリスクの種類

※パーセンテージに続く( )内は、前回2016年調査時の順位。(-)としている項目は、今回調査より設けた項目
※各項目名に続く( )内の番号は、本調査において設けたリスクおよびクライシスの種類上の分類(全項目は図表2を参照)
[画像1: (リンク ») ]

図表2:「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2017年版における、
リスクおよびクライシスの種類とその分類

[画像2: (リンク ») ]

2. 上場企業における「リスクマネジメントプラン」の拠点別策定状況

国内本社、国内子会社、海外子会社統括拠点、海外子会社、それぞれにおける「リスクマネジメントプラン(※)」の策定状況を聞いたところ、国内本社は、「策定している」60.6%、「一部策定している」28.9%を合わせて9割近い高水準となりました。国内子会社においても、「策定している」39.4%、「一部策定している」32.9%を合わせて7割以上の企業がリスクマネジメントプランを策定していることがわかりました。一方で、海外子会社統括拠点は6割弱、海外子会社も6割弱程度となり、日本国内に比べ策定途上であることが見て取れます。

2016年版の結果と対比したところ、国内本社、国内子会社、海外子会社統括拠点、海外子会社、すべての拠点で、「策定している」「一部策定している」の割合の合計が増えました。このことから、リスクマネジメントに対する企業の意識が、一層高まっているといえます。(図表3)

※本調査における「リスクマネジメントプラン」とは、リスクが起こらないよう、もしくはその影響の範囲を最小限にとどめるよう、予め備えるため、体制を整え、対策を立てておく計画を指す。

図表3:リスクマネジメントプラン策定状況

※2017年 N=454社、国内子会社、海外子会社統括拠点、海外子会社においては「該当なし(子会社等を持たない)」を選択した企業を除く。
※2016年 2016年版調査結果より

[画像3: (リンク ») ]

3. 上場企業がこれまでに経験したクライシスの分析

発生年に関わらず、グループ内でこれまでにクライシス経験があるかどうかを聞いたところ、全回答企業の50.4%にあたる229社が「経験あり」と回答しました。業種別にみると、電気・ガス業(80.0%)、金融業(66.7%)、陸・海・空運(61.5%)が、他の業種に比べ経験した企業の割合が高いことがわかりました(図表4)。

過去にクライシス経験ありとした229社を対象に、クライシス発生時の対処ステージ(初動対応~事態鎮静化)までの成功要因を3つまでの選択形式で聞いたところ、最も多かったのは「トップのリーダーシップ、トップダウンでの迅速な意思決定がなされた」(52.0%)、つづいて「初動で潜在的影響を過小評価せず、迅速に必要な資源を投入した」(35.8%)でした。他方、過去にクライシスを経験していない225社へ対処ステージにおける成功要因と想定される要素を聞いたところ、最も多くの支持を集めたのは「クライシス発生に備えた事前の準備ができていること」(58.0%)であり、経験企業で割合の高い結果となった「トップのリーダーシップ、トップダウンでの迅速な意思決定がなされること」は、47.3%の4位にとどまりました。クライシス経験あり企業は発生時の迅速なアクションを成功要因として挙げる一方で、過去にクライシスを経験していない企業は比較的準備段階の要素を重要視する傾向があり、クライシス経験の有無によって意識の違いが現れる結果となりました。(図表5)

図表4:これまでのグループ内でのクライシス経験の有無(発生年に関わらず)
[画像4: (リンク ») ]

図表5:「クライシス経験あり」企業が答える対処ステージの成功要因と、「過去に経験していない」企業が想定する成功要因
[画像5: (リンク ») ]

■調査概要

2017年8月~9月に、有限責任監査法人トーマツが日本の上場企業 約3,000社を対象にアンケート形式で調査を実施し、有効回答数は454社。詳細な調査結果は「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査 2017年版」を参照ください。なお、本調査における「リスクマネジメント」と「クライシスマネジメント」の用語については、以下のとおり定義しています。

○リスクマネジメント:
企業の事業目的を阻害する事象が発生しないように防止する、その影響を最小限にとどめるべく移転する、または一定範囲までは許容するなど、リスクに対して予め備え、体制・対策を整えること

○クライシスマネジメント:
どんなに発生しないよう備えても、時としてリスクは顕在化し、企業に重大な影響を与えるクライシスは発生し得ることを前提に、発生時の負の影響・損害(レピュテーションの毀損含む)を最小限に抑えるための事前の準備、発生時の迅速な対処、そしてクライシス発生前の状態への回復という一連の対応を図ること


[表: (リンク ») ]



[画像6: (リンク ») ]

※本調査ならびに本リリース中の数値は、小数点第2位を四捨五入しています。

デロイト トーマツ グループは、クライシスマネジメント分野における人材育成、共同研究等多方面で日本大学危機管理学部と連携しています。今回の調査結果に関する日本大学危機管理学部の考察は、詳細資料を参照ください。なお、同学部との連携についてはこちらで紹介しております。

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