“データ”の一元管理から“データ体験”の一元管理に--Clouderaの展望

渡邉利和

2017-12-25 11:00

 Clouderaは12月20日、「2018年のビッグデータの管理&利活用の展望と製品ロードマップにみる展開と機能について」と題してプレス向け説明会を開催した。今後のデータ管理のあり方について言及した。


Cloudera セールスエンジニア兼テクニカルエバンジェリストの嶋内翔氏

 セールスエンジニア兼テクニカルエバンジェリストの嶋内翔氏は、まず同社が一貫して取り組んできた“データ・プラットフォームの統合”の意義を改めて解説した。モノのインターネット(IoT)や機械学習など、データを活用して企業活動を行うことの重要性は周知されつつある状況だが、そのためのプラットフォームの整備ができている企業は少ない。従来のエンタープライズアプリケーションは、それぞれ独自のデータタイプを要求し、決まった形の分析を行うことから、相互連携が行われない“サイロ化”されたアプリケーションが乱立し、データ自体もアプリケーション毎に分断されて保持される形になっているためだ。

 こうした状況を踏まえ、「クラウド環境に向け最適化された、機械学習と分析のための最先端の基盤」として同社は、「Cloudera Enterprise」を提供している。その中核となっているのが「cloudera sdx(shared data experience)」だ。

 ここにある「データ体験(data experience)」というのは、あまりなじみのない言葉だが、同社の説明によれば、「統合されたセキュリティ」「一貫性のあるガバナンス」「簡単なワークロード管理」「柔軟なデータ取り込みと複製」「共有カタログ」といった要件に対応するデータサービス・レイヤが提供する機能を総まとめにした上で、「体験」という言葉で表現したものだと理解してよさそうだ。そして、このsdxがプラットフォームの中核として明確に位置付けられたことで、同社のプラットフォーム自体も新たな進化の方向性を打ち出すことになった。

 従来同社が取り組んできた“Enterprise Data Hub”というコンセプトでは、「拡張性の高い分散型のデータ・ストレージとしてHadoop HDFSが最適という考えに基づき、HDFS上に全てのデータを集めることを想定していた」(嶋内氏)という。つまり、データを一カ所に集めることで一元管理を実現する、というシンプルな発想である。

「cloudera
「cloudera sdx」の概要(Clouderaの資料より)

 一方、sdxではHDFSはもちろんサポートするものの、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといったクラウド環境もサポートし、データ自体の所在が分散することを許す形になった。その上で、sdxのレイヤでデータカタログを管理し、データアクセスのためのポリシーなども一元管理する。いわば、一元管理を実現する場所がより抽象度の高いレイヤに一段上がった形になっている。アプリケーションに応じたデータタイプの変換などの機能/サービスの追加も容易になると考えられる上、データをHDFSに集めるという作業が必須ではなくなったことで導入/運用の柔軟性が向上するなど、ユーザーメリットも大きいのではないだろうか。

 同社では、こうして構築された論理的に単一のデータ・プラットフォームに対して分析作業を行うための「Cloudera Data Science Workbench」という分析担当者向けのコンテナベースの作業環境を用意するなど、データ・プラットフォームの構築と活用を見据えた環境整備に取り組んでいる。データ活用のためのプラットフォーム構築に困難を感じている企業担当者には、検討の価値のあるソリューションだと言えるだろう。

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