Dell EMCは5月8日、米ラスベガスで年次カンファレンス「Dell EMC World 2017」を開催した。EMCを買収し、Dell Technologiesの最高経営責任者(CEO)となったMichael Dell氏が初の基調講演に立ち、Dell EMCの戦略を語った。
エンタープライズインフラでは既存のハードウェアベンダーの他クラウド事業者も競合となる中、必要な技術を全て備える「必須のインフラ企業」であることをアピールした。
Dell Technologiesの最高経営責任者(CEO)となったMichael Dell氏
Dellが約670億ドルをつぎ込んでのEMC買収を完了してから約8カ月。ラスベガスで開催する初の「Dell EMC World」となった。初回のDell EMC Worldは、買収完了直後の2016年10月にDellの本拠地、テキサス州・オースティンで開催されているが、これは旧Dellが毎年秋に本拠地の「Dell World」を「Dell EMC World」として開催したもの。今後Dell Worldはなくなり、EMCが毎年5月ごろラスベガスで開催する「EMC World」に統合する。
会場には122カ国から1万3500人の顧客やパートナーが集まり、3日間にわたりDell EMCの最新技術に触れる。セッション数は500以上で、ハンズオンラボも開催される。
キーワードは「実現(Realize)」ーーデジタルトランスフォーメーションの実現にあたって、IT、セキュリティ、ワークフォースの3分野で実現していく必要があるというのがメインメッセージだ。
「Dell Technologiesはデジタルトランスフォーメーションを現実のものにするために誕生した」とDell氏。Dell TechnologiesはPCなどクライアントのDell、サーバーやストレージのDell EMC、それにEMCがフェデレーションとして抱えていたVMware、Pivotal、Virtustream、RSA、そしてDellのセキュリティ子会社SecureWorksの7技術で構成される。
「我々は7つを戦略的に連携させ、イノベーションを進めるというユニークな方法を敷いている。これにより、スタートアップのようにイノベーションし、グローバルレベルの”発電所”のようにスケールできる」とDell氏は戦略を説明する。
Dell Technologiesは、Dell、Dell EMC、VMware、Pivotal、Virtustream、RSA、SecureWorksの7つで構成される
デジタルトランスフォーメーション、ITトランスフォーメーション、ワークフォーストランスフォーメーション、セキュリティトランスフォーメーションでそれぞれ技術を提供する事業部
加えて、「PC、サーバ、次世代のネットワーキング、仮想化、セキュリティ、クラウドインフラ、コンバージド、ハイパーコンバージド、SDDC(ソフトウェア定義データセンター)、PaaSと、各分野でナンバー1だ」とDell氏、これをDell EMC Servicesが支援する。「それぞれの技術でナンバー1の技術パートナーから、全てを調達できる。組み合わせることでさらにパワフルになる」と胸を張った。
デジタルトランスフォーメーションは、クラウドアプリケーションプラットフォーム「Cloud Foundry」を持つPivotalが”実現(Realize)”役を担う。クラウドネイティブアプリを構築、実装でき、レガシーアプリケーションからPivotalへの移行も進んでいるという。「(Dell EMCの)包括的なクラウド戦略の先端」とDell氏は位置付ける。
クラウドネイティブアプリが必要な理由は、各産業で起きる崩壊(ディスラプション)が背景にある。どの業界も、これまでの流れややり方を根本的にひっくり返すスタートアップと競合しており、アイデアを形にして迅速にロールアウトし、走りながら修正するアジャイルさが重要になるからだ。