調査結果「最も生産性の高い働き方」はハイブリッドワーク

ZDNET Japanとデル・テクノロジーズは、2023年6月に「ハイブリッドワークに関する市場調査」を実施し、結果をまとめた。同調査を行ったタイミングは、折しも新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが、「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)から「5類感染症」に移行された5月8日からおよそ1カ月が経過した時期であり、ビジネスワーカーの勤務状況がどう変化してきているかを知るうえで貴重な資料となった。

「5類感染症」移行後1カ月でも
ハイブリッドワークは減少傾向にはない

 最初の質問では「コロナ対策として、在宅勤務を実施したことがありますか?」とたずねた。これに対し「全社で実施」という回答が半数を占め、「ほとんどの部署で実施」「一部の部署のみ実施」まで含めると、95.1%の組織が在宅勤務を実施していることが明らかになった。

 続く「あなたは週に何回ほど出社していますか」という問いには、「在宅勤務と出社勤務を併用している(ハイブリッドワークをしている)」という回答が36.6%となった。また「ほぼ在宅勤務をしている」が14.6%で、これも合わせると約半数の組織で、「5類感染症」移行後もテレワークを実施していることが分かった。


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 これらの結果と内閣府が「5類感染症」移行前である2023年3月に実施した調査の結果を比較してみた。内閣府の調査は、サンプル数も回答者の属性も幅広く、今回の調査と単純な比較はできないが、今回の調査と同じ属性を持つ人も含み、「テレワーク実施頻度の変化」という項目では就業者を対象にしている。

 内閣府調査では、2023年3月におけるハイブリッドワークを実施している人(テレワーク中心[50%以上]で、定期的に出勤を併用、出勤中心[50%以上]で定期的にテレワークを併用、基本的に出勤だが不定期にテレワークを利用、の合計)の割合は、全国で25.5%、東京23区だと42.2%だった。

 内閣府調査と今回調査の結果を比較すると、「5類感染症」移行後1カ月を経過しても出勤とテレワークを併用するハイブリッドワークの利用者は、移行前と比較しても大きく減少していないことが分かる。

 このことは、東京都が毎月実施している「テレワーク実施率調査」(※1)でも明らかで、2023年5月の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は44.0%で、実施する社員の割合は38.2%、実施回数は週3日以上が42.4%だった。なおテレワーク実施率については4月の前回調査(46.7%)に比べて2.7ポイント減少となっているが、「5類感染症」移行後にテレワーク実施企業が大幅な減少傾向はみられない。

※1  https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/06/22/23.html

もっとも生産性の高い働き方=ハイブリッドワーク

 次に「あなたにとってもっとも生産性の高い働き方と考える選択肢を教えてください」という問いに対する回答は興味深い結果となった。「在宅勤務と出社勤務の併用」(ハイブリッドワーク)がもっとも生産性が高いとした人が79.3%にも上ったのに対し、「出社勤務のみ」の働き方が生産性をもっとも高くするとした人は11.0%だった。

 2020年ころから積極的に導入する企業が増加したテレワークについては、多くの民間企業の調査などで、おおむね良い評価をするビジネスワーカーは多かったものの、コミュニケーションについての悩みや不満などをアンケートなどで回答する人が一定数見られた。また「仕事に集中できない」や「ネット環境が不安定」といった意見も寄せられることが多かった。

 国土交通省が2020年に実施した「テレワーク人口実態調査」の結果でも、テレワークを実施している人が「今後テレワークを実施したくない」最も大きな理由(約47%)として、「仕事に支障が生じる(コミュニケーションのとりづらさや業務効率低下など)、勤務時間が長くなるなど、勤務状況が厳しくなるから」と回答している。

 同じく、テレワーク実施による業務効率低下要因としては「口頭で確認すれば簡単に済むことでも、メール等でやり取りしなければならないから」が約24%にも上った。一方、テレワーク実施による業務効率向上要因としては「問い合わせ、雑用、会議等が減り、業務に集中することができたから」が約35%となった。

※令和2年度テレワーク人口実態調査(国土交通省)
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※令和2年度テレワーク人口実態調査(国土交通省)

 わずか3年間でこれだけテレワークを含む働き方が高い評価を得るようになった要因は、オフィスへの出勤と合わせた「ハイブリッドワーク」がさまざまな組織に浸透したからだと考えられる。

 2020年当時では未整備だった環境を改善する、あるいは、テレワーク環境でも迅速なコミュニケーションができるツールを活用するといった工夫などが功を奏したのではないだろうか。また出社して仕事をする日も決めているので、そうしたタイミングで集中的に対面でのミーティングを行うといった上手な切り替えが行われるようになったとも想像できる。

セキュテリィ懸念のなかに「メール誤送信」、
PC関連への投資意欲は堅調

 次に、ハイブリッドワーク等で利用しているPC端末について質問した。

 「あなたのお勤め先で導入しているPC端末の割合をお選びください(複数回答)」という問いに対しては「すべてノートパソコン」「ややノートパソコンが多い」という回答が大勢を占めた。

 さらに「情報セキュリティについて懸念していること」については「移動中にPCや情報資産を置き忘れる」「ウイルス感染」「メール誤送信」が50パーセントを超える回答となった。」「メール誤送信」という回答がフィッシングや不正なWebサイトへのアクセスよりも懸念される結果となったのは興味深い。これは実際に関連事案が発生して対応に苦慮した回答者が多かったのではないだろうか。

 セキュリティ対策については、「対策済み」としているのが24.4%と少なく、「対策しているが十分ではない」という慎重な回答が61.0%となった。こうした結果になったのは、今回の回答者には情報システム部門で働く人も多く、セキュリティ対策に終わりはない、ということを十分に認識しているからかもしれない。

 さらにPC関連の製品導入についての立場をたずねたところ(単一回答のみ)、「導入についての情報収集/アドバイスをする立場」「導入についての製品選定権のある立場」を合わせると42.7%となった。そのうえで今後のPC関連製品の導入・入れ替え時期についてたずねると、3カ月から2年以内に導入・入れ替えを行うとする回答が28%にものぼった。


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 また今後のPC関連製品の導入・入れ替え予算については、「未定」とする回答が4割近くあるなかで、「投資する」という回答が23.2%あった。

回答者属性

 今回の調査の回答者数は82人で、回答者が属する組織の規模は、100人~299人、300人~499人、500人~999人というカテゴリでそれぞれ、およそ同じ割合(3割前後)となっている。また業種については、情報サービス業と製造業で全体の約6割を占めている。

 回答者の職種は、情報システム関連職が5割程度で、営業・販売・サービスが2割弱となっている。テレワークを含むPC環境などを整備、管理する立場の人と、それらの環境を使ってビジネスの最前線で仕事をするエンドユーザーが回答者に含まれ、それらを合わせると回答者の7割程度を占める。

 なお回答者の役職は、係長・主任以上がおよそ半数を占め、課長以上に限ると約4割となった。このことから、ハイブリッドワークに関連する予算策定、運用ルール作り、および管理などにかかわる人が相当数回答者に含まれていることが分かる。


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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2023年10月31日
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