掲載日時: 2010-07-01 16:13

DWHアプライアンスが日本の分析市場を覚醒させる--ネティーザCEOが来日

欧米に比べ、日本ではなかなか普及率が高まらないビジネスインテリジェンス(BI)やデータウェアハウス(DWH)のエンタープライズ分析市場。そんな状況をDWHアプライアンスが変えるかもしれない。DWHアプライアンスベンダーであるNetezzaのCEOが来日し、その戦略を説明した。

著者 : 富永康信(ロビンソン)

URL : https://japan.zdnet.com/article/20416077/

 日本ネティーザは6月30日、米Netezza Corporation(以下、Netezza)の社長兼CEOであるJim Baum氏の来日にあわせて記者説明会を開催した。6月21〜23日に米国ボストンで開催されたNetezzaのユーザーカンファレンス「Enzee Universe Boston 2010」で発表された製品に関する新たなトピックの報告と、同社のアドバンストアナリティクス(高度情報分析)への取り組みが紹介された。

MLBが選手との契約交渉にDWHを活用

Jim Baum氏 「NYSEへの株式公開後に初の四半期を終え、すばらしい業績を上げることができた」と語る、米Netezza Corporation社長兼CEOのJim Baum氏

 2000年に設立され、データウェアハウジングやデータマイニング、BIに向けたソリューションを提供するNetezzaは、小売、金融、通信、医薬、デジタルメディアなど、グローバルで350社以上の顧客を抱える。日本でもNTTドコモやサッポロビール、オリンパス、モスフードサービスなどが製品を活用中だ。「日本でビジネスを開始して数年、すでに大きな成功を収めており、日本市場に大きなコミットメントを持っている」とBaum氏は語る。

 2009年秋に発売したデータウェアハウス(DWH)アプライアンス「Netezza TwinFin」(以下、TwinFin)は、従来のDWHシステムに比べ、3分の1のコストで10〜100倍のパフォーマンス向上が期待できるという同社主力の製品だ。

 「既にワールドワイドで450以上のラックに納められ、トータルで50ペタバイト分のデータ分析が可能になっている」(Baum氏)

 ユーザーカンファレンスではTwinFinの導入事例がいくつか発表されたが、Baum氏は特徴的な2つの事例を紹介した。

 85のウェブサイトを管理し、加入者を募ることで収益を得ているDemand Mediaは、TwinFinによってBIを構築し、さまざまな分析軸によって自動的に顧客がどんなコンテンツを必要としているのかを分析しているという。例えば、オンラインコミュニティの「eHow.com」では、数十億ものデータをマイニングすることでサイトにアクセスするユーザーのニーズを洗い出し、どのようなカテゴリの記事を掲載するかを分析、改善している。

 もうひとつ、メジャーリーグベースボール(MLB)オフィスの事例では、TwinFinを活用することでBIとデータマイニングを行い、今後どのチームの選手が活躍しそうかを予測ししている。予測結果は、各選手との契約交渉の際にも利用され、契約金を算定するといった使い方も始まっているとする。

小規模から大規模までをカバーするアプライアンス

 またBaum氏は、今後のNetezzaの製品戦略を解説した。

 第1に、アプライアンスファミリの拡大を続けるという。「主力のTwinFinは数テラバイトから1ペタバイトまでの容量をカバーし、プライスリーダーとしてのコストパフォーマンスも実現している。今後は機能の簡素化にも着手し、使い勝手の高さや管理の容易性を重視して開発を行う」という。

 その一例が、2010年1月にリリースした小中規模向けのDWHアプライアンス「Netezza Skimmer」(以下、Skimmer)である。大規模なハブ&スポーク型のエッジアプライアンスやデータマートでの利用を想定したもので、小型化も行われている。TwinFinと組み合わせることでテストや開発システムとしての活用も可能だという。

 さらに、ハイエンド製品となる「Netezza Cruiser」(以下、Cruiser)を2010年末までに出荷する予定だ。容量を10ペタバイトまで拡大し、テラバイト単位のコストが最も低いシステムとなる。クエリ可能なアーカイブやDR(災害復旧)、バックアップなどの機能をサポートする。

NetezzaのDWHアプライアンスファミリ NetezzaのDWHアプライアンスファミリ。左から、小・中規模向けの「Skimmer」、主力の「TwinFin」、2010年末リリース予定の大規模向け「Cruiser」

複数分散したDWHやBIの統合運用に着手

複数分散したDWHやBIの統合運用に着手

 第2に、「プラットフォームの統一」を図っていくという。

 Netezzaのユーザー企業は特定の目的でDWHアプライアンスを活用し、地理的に分散して導入する傾向があるため、複数のシステムが独立した形でさまざまな場所で稼働している状況にある。

 そこで、新たなサービスとして「Netezza Data Virtualizer」(以下、Data Virtualizer)を提供し、複数のシステムを統合して運用管理できるよう計画している。データ仮想化、データフェデレーション技術を持つComposite Softwareとのパートナーシップにより開発したData Virtualizerは、遠隔地に分散した複数のデータセンターにおけるデータウェアハウジングやデータマイニング、BIを一元管理するソリューションだ。例えば、本番環境でTwinFinを活用し、パフォーマンスを必要とするユーザーからあるクエリが上がった場合、Data Virtualizerがルーティングを行い、分散したシステムのどこにクエリを投げればいいのか、適切に判断する機能を持つ。

「Data Virtualizer」の構成例 複数のDWHアプライアンスを一元管理する「Data Virtualizer」の構成例。TwinFinだけでも構築が可能だ

迅速にビジネスバリューを生み出す「iClass」

 そして第3は、2010年秋に提供される予定の「Netezza Software Release 6.0」(以下、R6.0)へのアップグレードだ。

 Baum氏は、新たなソフトウェアの特徴について「データ圧縮アルゴリズムを改善し、独自のデータアクセラレーション技術との相乗効果によって、格納データ量とストリーミングのパフォーマンスが2〜3倍に強化される。また、多数のクエリのリクエストとリソースをプロビジョニングするワークロード管理を容易にする」と説明する。

 そして、R6.0の最大のポイントは「iClass」を標準でサポートしている点だ。多くの企業はBIによるレポーティングとアドホックな分析を行うためにMicroStrategyやSAP BusinessObjects、IBM Cognosなどの製品を活用するが、BIは「いつ」「どこで」「何が起こったか」という、過去の事柄にフォーカスしているのも事実だ。

 Baum氏は従来型のBIについて「あたかも自動車のバックミラーを見て、通り過ぎた出来事を眺めているようなもの」と表現し、将来を分析可能なデータマイニングや予測分析(Predictive Analytics)といった手法が世界で主流となっていると述べる。

 過去を振り返って将来を予測したら、今度は何が最良の選択なのかを判断する最適化(Optimization)が重要となる。それを実現するのがiClassであり、BIや予測分析をアドバンストアナリティクスのシステムの中に組み込めるようにしていく。

 これまで予測分析と最適化を実現するには、巨大なデータベースを管理し、より多くのアルゴリズムや膨大な演算が必要だった。iClassによって大量のデータと膨大な計算を同時に行うことができるようになるという。

 例えば、データ分析のプロセスには、データクレンジング、データ加工、モデル開発、モデルテスト、モデル展開、モデル進行といった数多くのステップが必要となる。中でも重要なのは、モデル開発とモデルテストだ。演算のモデルを作り、企業のパフォーマンスに応じて予測をするというのは、大量のデータを使用するため複雑で困難な作業となる。多くの場合、別途サーバを用意して、データベースを移動させなければならず、時間もかかる。iClassはデータ分析のプロセスを自動化し、データベース間のデータ移動も不要にすることで、アプライアンス内部で何度もデータを反復させながらモデル開発を行うことが可能になる。Baum氏は「ビジネスバリューを生み出す時間が格段に早くなる」と自信を見せる。

iClassの構造図 「iClass」の構造図。内部にはソフトウェア開発キットが備えられ、さまざまなプログラム言語がサポートされている。パフォーマンスの高い並列分析エンジンを採用し、データマイニングや空間分析機能も搭載されている

決して犠牲にしない「柔軟性」と「簡易性」

 また、欧米と比べて日本でBIや分析市場が拡大しない原因のひとつには、基幹系システムと同列でBIが取り扱われている点がある。変化の激しいビジネス環境では、分析軸も頻繁に変えていく必要があるが、そのスピードにツールが対応できなければ、次第に使われなくなってしまう。

 「まさにその通りで、日本におけるBIなどの情報系システムの大きな欠点は柔軟性に欠けていることだ」と指摘するのは、日本ネティーザで代表取締役社長を務めるDouglas Etzel氏だ。

 「日本ではDWHも基幹系システムと同じ感覚で構築するケースが見受けられる。Netezzaが決して犠牲にしないのは柔軟性と簡易性。データやアプリケーションを増やしてもチューニングする必要のないNetezzaこそが、日本のBIの問題を解決できる」(Etzel氏)

 最後にBaum氏は、2010年2月に発表したNECとのパートナーシップの成果である「NEC Infoframe DWH Appliance」について解説した。IBMのBladeCenterで実現したTwinFinのソフトウェアやデータアクセラレータなどのアーキテクチャは、他のハードウェアへのポータビリティも可能にしている。それを応用したのが、NECのサーバやストレージ、ネットワークなどのプラットフォームへ水平展開したNEC Infoframe DWH Applianceというわけだ。

 特徴は、ハイパフォーマンスだがシンプルな管理が可能で、コストパフォーマンスにも期待できるという点。R6.0への移行も問題はないという。現在はNECが販売しており、サポートもNECが担当している。

ZDNET Japanは、Ziff Davisからのライセンスに基づき株式会社4Xが運営しています。
ZDNET Japan is operated by 4X Corp under license from Ziff Davis.

Copyright © 2026 4X Corp, Inc. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.