読者の中にもインターネット・バンキング・サービスを利用している方も多いと思う。ATMや窓口へ直接行かずに、振り込みや金融商品の購入・解約が可能で非常に便利なサービスだが、この取引データは基本的に金融機関に保存されている。もし、災害などでこれらのデータにアクセスできなくなったら、どれだけの社会的な影響が発生するだろうか?今回は、こういった社会インフラである重要な電子データを、いかに保護するかという「災害対策」の考え方について紹介し、ストレージの視点から解決するリモートレプリケーション機能について解説する。
■これまでの災害対策と近年の課題■
災害対策は、コンピュータが普及する以前から行なわれてきた。当時は、商取引はすべて「帳簿」といった紙媒体に記録されていたが、災害や盗難から帳簿内のデータを守るために、紙媒体やマイクロフィルムに複写し、別の事務所や倉庫に保管していた。むろん、現代でもこういった手法は一部使われているが、「取引の電子データ化」は、コンピュータシステムとしての災害対策を必要とした。
最初に採用された電子データの災害対策手法は、バックアップメディアの移送・保管だ。日常バックアップしているテープメディアを複製し、同時に被災することのない遠隔地の事務所や倉庫へトラックなどで運送する、紙媒体と同様なやり方である。現在でもこの方法を採用している企業や情報システムは多いが、以下のような課題が存在する。
1. バックアップ、メディアの運送というサイクル・所要時間のため、多くの場合で直近のリカバリポイントは24時間となる(リカバリしても、24時間かそれ以上分のデータを失う)
2. データのリカバリに時間がかかる
3. 運送中のメディアの盗難など情報漏えいのリスクが高い
特に、金融機関や通信サービス業などで稼働する、社会インフラとして機能している情報システムやサービスは、被災後の復旧の際にいかに「データを失わず」、「迅速にリカバリ」できるかが重要な災害対策の課題である。したがって、近年多くの企業がこのようなテープメディアの搬送による方法ではなく、後述する通信回線を利用したストレージやアプリケーションによるデータのレプリケーションを検討している。
なお、多くの企業は個々の情報システムの災害対策のみならず、企業活動全体に対する災害対策である「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」の策定に取り組んでいる。たとえば、データや情報システムが被災後復旧しても、それらを運用する人員や顧客対応する仕組みなどが欠けていれば企業活動として機能しない。最近では、IT系のコンサルティング会社やベンダーが、こういった企業全体のBCP策定を支援するコンサルティングサービスをメニューとして用意している。
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