局所冷却に注目。冷却効率を向上し電力コストを抑制するための、局所冷却という考え方。NEC製品とAPC製品の組合せがユーザにもたらすメリットは何か？

エーピーシー・ジャパン 副社長　兼　営業本部長 木村 茂夫氏

　それに対し局所冷却は、クーリング装置、パワー（電源）、そしてコンピュータを搭載するラック、UPS、そしてマネジメント・ソフトウェアの5つを組み合わせて冷却を行います。従来の全体冷却は、これらがすべてバラバラで、それだけでかなりのコストが必要になるのですが、局所冷却はそれが集約でき、またラックそのものを冷やすので投資も少なくて済むというメリットがあります。さらに、スペースも削減できます。

泓　あるデータセンターに従来の空調機をたくさん置いてラックを置くと、ラック当たり実効値3.8kWのものしか入れられないというデータがあります。当社のブレードサーバ　SIGMABLADEには、16枚入りで高さが10Uのものがあり、カタログ性能が10kWなのですが、全体冷却よりもInRowすなわち列単位で冷やしたほうが効率が良くなる場合があります。このようにブレードサーバなどの高密度製品を導入しても冷やせないのでラックに搭載できない、という状況になっているお客様も実際に出てきています。サーバ統合やシステム統合という流れが加速している中で、冷却という問題で限界が生じてきているのです。  

――今後NECの運用管理ソフトとAPCのソリューションを統合する計画もありますね。

泓　局所冷却には必要最小限の投資で済むというメリットがありますが、局所冷却ソリューション全体を管理するためのマネジメントソフトが必要です。しかし、局所冷却ソリューションを提供しているベンダーでも、マネジメントソフトまで手がけているところはあまりありませんでした。そこで今後、当社のマネジメントソフトとAPCの統合管理ソリューション「InfraStruXure Central（ISXCentral）」を統合していくことで、コスト削減と柔軟な運用をご提供していく計画です。具体的には、当社の統合運用管理ソフト「WebSAM MCOperations」、統合プラットフォーム管理ソフト「WebSAM SigmaSystemCenter」とISXCentralの連携を共同で開発し2009年度中に提供する計画です。これによって、さらなる省電力を実現する考えです。

木村　私たちには空調機の単なるモニタリングだけでなく、ラッキングの設計などを考えたソフトウェアがあります。ここには世界中のメーカが持つサーバの最新データも搭載しているので、お客様は最適化されたコンピュータ室を設計することができます。UPSの管理ソフトも含め、運用管理の面でNECのソリューションとの連携がしやすかったという面があり、それが両社の提携の基盤になっています。  

ISXソリューションに置き換えるとどのくらいコスト削減できるかがグラフ化できるのです。

――グリーンITという点から、これからますます注目されそうですね。

木村　地球全体の温暖化対策が叫ばれていますが、私たちのソリューションはCO2の削減にもつながります。当社のソリューションでは電気代だけでなく、CO2がどの程度削減できるかも計算できます。グリーンITということで、ちょうど時代の風を受けている感じがします。電気代を少なくし、CO2も削減し、スペースも削減でき、設備投資も段階的にできる付加価値を提供できるというわけです。

泓　今、お客様の意識も変わってきているようです。お問い合わせでも、サーバの性能とあわせてデータセンターのファシリティに関するものが多くなってきています。ですから、私たちのようなITベンダは、IT機器とあわせて空調機などのファシリティ関連を組み合わせてソリューションをご提供する必要があると考えているわけです。サーバ、ストレージ、ソフトウェアに加えて今後はファシリティを組み合わせ、トータルなソリューションを手がけていきたいと考えています。10月には当社の本社1階に「REAL IT COOLプラザ」を開設する予定で、たくさんのお客様にお越し頂き、実際に局所冷却を体感いただきたいと考えております。