個人のスマートデバイスの中に「会社専用領域」を構築
DMEは、iOS（iPhone/iPad）およびAndroidデバイス向けのアプリケーション（DMEクライアント）と端末の認証と管理を行う「ゲートウェイサーバ」、社内システムと端末の間に設置し、中継サーバの役割を担う「DMEコネクタ」の組み合わせで構成されている。ゲートウェイサーバは、社内設置もしくはクラウドサービスとして提供され、エンドユーザー（従業員）は、デバイス上のクライアントから、このゲートウェイサーバを通じて社内システムの情報にアクセスする形になる。
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DMEクライアントは、アップルのApp StoreやGoogle Playからダウンロードすることが可能だ。このクライアントは、エンドユーザーが利用しているデバイスの中に、個人用の領域から隔離された「会社専用のアプリとデータの領域」（セキュア・コンテナ）を作成するもので、ユーザーはこの領域を使って社内システムとデータの同期を行う。ツールとしては「メール」「スケジュール」「連絡先」「To-Do」「フィード」といったものが用意されており、外出先などで行いたい情報の参照やコミュニケーションの大部分をフォローできる。
各ツールの操作性は、デバイスの標準的なものを踏襲したものとなっており、使い勝手はすこぶる良い。さらにゲートウェイから端末に同期されたデータは、会社専用の領域の中で暗号化されて保存されるため、オフラインでの利用も可能だ。もちろん会社専用領域外へのデータの持ち出し（コピー＆ペーストや端末のアプリへのデータ転送）の可否も、管理者側で管理できるようになっている。
DMEクライアントとゲートウェイサーバ間の通信も暗号化が行われている。基本的にクラウドを利用する場合は、社内システムとDMEクライアントとの間に「DMEコネクタ」を設置するだけで、社内データと同期をとることができ、様々なセキュリティ確保のための環境が整うことになる。加えて、端末紛失時やユーザーの退職時などのリモートデータワイプといった、いわゆる「Mobile Device Management（MDM）」としての機能や、社内システムと端末間のデータ同期の期間、時間などを管理者側で任意に設定する機能も用意されている。リモートワイプの機能では、会社データを細かく選択して削除することができる。つまり、管理者は個人のデータには関与せず、会社のデータだけをコントロールすることができる為、BYODを導入時の、ユーザーの不安を軽減することが可能だ。
新バージョンで活用領域がさらに拡大
DMEは、社内でのシステム変更や新たな管理作業などを最低限に抑えつつ、セキュリティ確保や管理のために必要な機能がワンボックスで用意できる製品となっている。スマートデバイスやBYODのメリットを、ビジネスに最大限に生かしたいと考える企業にとって、導入の敷居を大きく下げるソリューションとして検討に値するはずだ。DMEは、2012年6月に開催された展示会「Interop 2012」において、スマートデバイス部門でのグランプリ（Best of Show Award）を獲得しており、既に海外での導入実績のみならず、国内での関心も高い。
ソリトンシステムズ、モバイル＆クラウド事業本部副本部長の正木淳雄氏によれば、間もなくリリース予定の次期バージョンでは、DMEクライアント内にドキュメントビューワやフルブラウザといった新たなツールが加わるほか、ユーザー企業が独自に開発した業務アプリケーションのウェブフロントエンドを追加することも可能になるという。いわば、DMEで業務アプリケーション専用のマーケットプレースを実現できるイメージだ。メールやスケジュールといった基本的なツールに加えて、独自アプリケーションの利用も可能となることで、業務におけるスマートデバイスの活用範囲は大きく広がるだろう。
DMEのライセンスは、クライアントデバイスの台数単位での提供となっている。ゲートウェイサーバはオンプレミス（自社導入）とクラウドの2つの形態で提供されており、クラウドの場合は1台あたり1320円／月からという価格設定が行われている。そのため、まずはBYODの効果を実証する目的で小規模にスタートし、効果が確認されてからより大規模に展開するといった計画も立てやすい。時流の変化に合わせたワークスタイル変革の必要性を感じながら、管理やセキュリティといった要因で二の足を踏んでいたのであれば、特に検討しやすい製品になっているといえそうだ。
