Proprius21:東京大学とみずほ情報総研、「大学ソフトウェア技術の流通・成熟・移転システムの研究開発」について共同研究を開始

大学内で死蔵するソフトウェア資産の流通・成熟・移転促進による産業基盤強化を目指す

みずほ情報総研株式会社

2006-02-24 17:00

国立大学法人東京大学(総長:小宮山宏 以下東京大学)と、みずほ情報総研株式会社(代表取締役社長:小原之夫 東京都千代田区 以下みずほ情報総研)は、大学が所有するソフトウェアを広く社会・産業に移転活用するための技術流通・成熟・移転システムに関する共同研究を開始することに合意しました。過去約一年間、Proprius21(※)のスキームによりみずほ情報総研と産学連携本部が学内研究者との討議、学内の一次調査を行った結果、本共同研究の開始の合意に至ったものです。

我が国の大学には、数多くの最先端シミュレーション・ソフトウェアが生み出されてきております。これらのソフトウェアには基礎研究として非常に優れたものが数多く含まれていますが、企業ユーザが使えるレベルにまで完成度を高め有効性を実証することはまれなため、その多くが産業界で実用化されずに死蔵されているのが現状です。

一方、米国をはじめとする諸外国では、開発主体でもありユーザでもある宇宙産業などが中心となり、継続的に資金を提供することによってソフトウェアを開発し実用化するしくみがあります。その結果数多くのデファクトスタンダードとなるソフトウェアが生み出され、我が国でも数多く導入・利用されています。

産業界において最先端シミュレーション・ソフトウェアは、研究開発の基盤技術となっており、実験や試作の回数を減少させることにより技術開発のスピードアップと効率化をもたらす経済的な効果があります。この基盤技術を海外に依存することは、時として国際競争力を損なうことになりかねません。そのため我が国の産業界が障壁なく最先端シミュレーション・ソフトウェアを利用できるように、国費を投入して生み出される優秀なソフトウェアを死蔵させず、移転・流通させる我が国独自のしくみを構築する必要があります。

大学内の特許技術に関する技術移転のしくみは既に整備されていますが、同じ知的財産でもソフトウェア資産に関しては、手付かずの状況にあります。ソフトウェアは完成品に仕上げその有効性が実証されて初めて市場性を得ることができます。大学で開発したソフトウェアを、企業ユーザが使えるレベルまで成熟させるためには、実験データとの合わせこみに加え、開発初期の段階からユーザとなる産業界との連携が不可欠となります。また一度獲得したデファクトスタンダードを維持するためには、新モデル追加改良等のバージョンアップを継続的に行う必要が生じます。

今回の共同研究は、大学内で死蔵しているソフトウェアの市場性調査・流通・成熟・移転といったソフトウェアの技術移転に関する一連のサイクルを構築することを目標とし、2006年4月から2009年3月までの3年間に渡り、東京大学とみずほ情報総研で行います。具体的には、大学、技術移転組織、企業の三位一体による研究開発・技術移転体制の構築、インフラ整備、試行、評価までを実施し、技術移転サイクルが自立化するための課題に検討を加え、新たなソフトウエア技術移転機構の構築を目指します。

東京大学は創立以来、学術的貢献はもちろんのこと、産業界との連携を通じ研究成果の社会への還元等を通して我が国の社会への発展に大きく貢献してきました。東京大学を巡る環境は大きく変化しつつありますが、総合大学である特長を活かして社会で活用される可能性のある「知」を積極的に社会へ発信し、必要な制度を構築して参ります。

みずほ情報総研は創立以来、長年にわたり、流体・構造・エレクトロニクス解析技術や情報技術を駆使して、バイオ・ナノテク・燃料電池などの先端技術、機械・半導体・通信などの産業技術、資源エネルギー・環境・防災などの社会技術分野におけるシミュレーション・ソフトウェアの開発、解析業務を中心としたコンサルテーションを行ってきました。これまで培ってきたノウハウ・実績をもとに、大学が保有するソフトウェアのシーズと産業界のニーズをコーディネートし、広く産業界に活用されるようなソフトウェア技術移転のためのしくみ作りを推進いたします。

東京大学とみずほ情報総研は今回の共同研究によって、両者の強みを最大限に活かして、死蔵されているシミュレーション・ソフトウェアを広く活用することにより、我が国の産業の国際的競争力の強化を推進いたします。更にその成果が教育・研究機関、政府・官公庁および企業において新たな価値の創造を促進し、社会へ還元・貢献することを目指します。

※注)
Proprius21とは、東京大学産学連携本部が推進しています産学連携プログラムの一つで、東京大学の総合力を活かして、研究課題の検討段階から産学で討議を行い、長期的な視点に立って基礎から応用まで見据えて「成果の見える」共同研究の計画を策定するプログラムです。
語源について:
ラテン語のPropriusは、「固有の、自分自身の、特別な」といった意味を持っています。自分自身を外部との関係で理解する自己受容性・固有感覚(proprioception)もこのpropriusを語源としています。Proprius21には、21世紀のさきがけとなる科学技術の姿を社会へ発信し、社会からの要請を受容することにより、大学の、そして科学技術の使命を自ら認識し行動していくという思いが込められています。大学が、社会の中で自らの位置づけを社会との関係から理解していくことを意味しています。民間との共同研究の新しい形として、有効なモデルを提供していきたいと考えております。



■ニュースリリースに関するお問い合わせ

国立大学法人 東京大学
産学連携本部 教授 太田 与洋
TEL: 03-5841-1484

みずほ情報総研株式会社
広報室 穂苅 由紀、平石 祐二
TEL: 03-5281-7548
E-mail: info@mizuho-ir.co.jp


■共同研究に関するお問い合わせ

国立大学法人 東京大学
産学連携本部 教授 太田 与洋
TEL: 03-5841-1484

みずほ情報総研株式会社
R&S業務推進部 本間 高弘
TEL: 03-5281-5301
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