[ポイント1] WindowsNTが稼動する2002年以前に導入されたサーバが依然として存在
[ポイント2] ストレージやネットワークスイッチも同梱可能な統合型ブレードの登場
[ポイント3] 利用目的に大きな変化はないが、設置PCサーバ以外への移行に注意が必要
[ポイント4] サーバ性能は拡張性も踏まえてトータルコア数を考える時代に
2008年以降は低価格ブレードラインアップの更なる充実やWindows Server 2008リリースなど刺激材料が揃っている。今後、中堅・中小における「仮想化/統合化」は潜伏期から活動期へとシフトし、上記の動きが目に見えて確認できるようになると予想される。
◇対象企業: 全国の年商5億円以上500億円未満のPCサーバ導入民間企業5000社
◇有効回答数: 1210社
◇調査方法: 郵送アンケート
◇調査実施期間: 2008年1月~3月
-WindowsNTが稼動する02年以前に導入されたサーバが依然として存在
「サーバ導入時期」及び「サーバOSの種類」を分析すると、新しいOSへの移植が困難なために塩漬け状態となった
業務アプリケーションを稼動させているWindowsNTサーバの存在が確認できる。年々その数を減少させてはいるものの、
2008年時点でもまだ1割存在していることがわかる。運用サポート面を考えると、こうした状況が長く放置されることは好ましくない。この状況を改善するためには古いOSとアプリケーションを丸ごと新しいサーバへと移設させる「リホストマイグレーション」が有効である。リホストマイグレーションを行う際のカギとなる技術が「仮想化」である。仮想化技術が実用段階へと入った2008年以降では、こうしたWindowsNTサーバ上で稼動するアプリケーションをOSと一緒に移設するリホストマイグレーションが行われることが予想される。その結果によってはユーザが利用するサーバOSの種類にも従来より大きな変化が起きる可能性がある。
-ストレージやネットワークスイッチも同梱可能な統合型ブレードの登場
「サーバの計上」が示すようにブレードがPCサーバ全体に占める割合はまだわずかである。しかし、エンタープライズにおけるブレードの伸び率が高いのと同様に中堅・中小企業においてもブレードの利用率が2007年から2008年に掛けて2倍近い伸びを示している。ラック型は一般的にサーバの集積度を上げる目的で利用されるため、ユーザ規模が大きくなるにつれて利用率が高くなる傾向にある。ブレードも似たような傾向を示すように思えるが、実際のデータではユーザ規模と利用率の間に明示的な相関は見られない。
この要因としては以下のようなものが考えられる。
・単にサーバ集約だけでなく、ストレージやネットワークもエンクロージャに格納する統合型ブレードによる統合化のニーズが徐々に顕在化してきている
・ベンダ側の低価格サーバブレードと破格のエンクロージャ販売戦略によって少ないブレード枚数でのエントリ導入 が中堅・中小企業におけるブレード販売を徐々に牽引し始めている
-利用目的に大きな変化はないが、設置PCサーバ以外への移行に注意が必要
「サーバ利用目的」の内訳を見ると、大きな変化はないように感じられる。だが、「サーバ導入部門」の経年変化を見てみると、自社内設置サーバに代わる選択肢が台頭してきている可能性を示すデータが散見される。
例えば、販売・営業部門によるサーバ導入は減る傾向にあるが、これは必ずしも部門毎のIT投資が減っていることを意味するものではない。実際、販売・営業部門で活用される営業系アプリケーションの需要は高まってきている。かといって情報処理部門による全社統括的なIT投資が進んでいるかと言えば、そうした傾向も見られない。そのように消去法で考えていくと、SFA/CRMといった営業系アプリケーションのSaaS利用といったように社内にサーバを設置するのとは異なった方向での投資に徐々に変化してきている可能性も十分に考えられるのである。今後はこのような社内設置サーバ以外の運用形態への移行にも注意を払う必要がある。
-サーバー性能は拡張性も踏まえてトータルコア数を考える時代に
CPUベンダがプロダクトラインをシングルコアからマルチコアへと切り替えたことによって、ユーザ利用実態においても着実にマルチコア化が進んでいる。
従来は個々のアプリケーション毎にサーバを1台ずつ割り当てていたため、ユーザのアプリケーション利用実態と設置サーバ導入実態には相関があった。しかし、マルチコア化と仮想化によって1台の設置サーバ上で複数のアプリケーションが稼動する状況になると、従来のようにアプリケーション導入が必ずしも設置サーバ導入には結びつかなくなってくる。そのため今後は各サーバ筐体の「トータルコア数」を把握することが重要となる。トータルコア数とはそのサーバ筐体上で稼動するプロセッサコアの合計数を指す。例えば、デュアルコアの2CPUマシンであれば4コアとなる。今後の仮想化技術の進歩にもよるが、現段階では1つのコアに1つの仮想サーバを割り当てるのが現実的である。つまりサーバ筐体数ではなく、各サーバ筐体のトータルコア数を合算した値がアプリケーション導入と相関を持つ指標になるわけである。 さらに、最近では低価格と拡張性の両面を実現する目的で4ソケットのサーバに1つのクアッドコアCPUを備えて出荷するというケースも出てきている。この場合、現状ではトータルコア数は4コアであるが、将来的には最大16コアまで拡張できることになる。結果的に従来と比較してサーバ筐体を変更せずに性能アップできることになり、サーバの寿命を長くする要因にもなり得る。したがって現時点での「トータルコア数」だけでなく、将来的に搭載可能な「最大トータルコア数」も合わせて把握しておくことが中長期的なサーバ投資の観点では重要になってくる。
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