[ポイント2]SaaSの魅力は「運用管理負荷軽減」「導入の容易さ」「運用コスト削減」
[ポイント3]サーバ導入目的はIT統制とサーバ統合の割合が増加
[ポイント4]管理対象ノード増加を嫌気し、新規サーバ導入は減速傾向
ユーザ投資動向では「サーバ導入目的」「アプリケーション導入状況」いずれの設問においても、グループウェア新規導入の減速傾向が見られた。中小・中堅企業を主体に高いシェアを維持するグループウェアベンダの新規ライセンス販売が減少していることからも、これまで堅調に推移してきた中堅・中小企業へのグループウェア新規導入が次第に飽和状態へと近づきつつある兆候が見られる。
こうした状況の中、SaaSの知名度や導入意向は徐々に上昇しており、SaaS活用による運用の負荷やコスト削減への期待が高い。基本的な社内情報共有ニーズのみを持ち、コスト削減を重視するユーザは今後SaaS/ASP型のグループウェアへとシフトしていく可能性がある。
一方で中堅・中小企業にもIT統制の波は着実に浸透してきており、サーバ導入目的においてもコンプライアンス対応やガバナンス強化に関連した事由が伸びている。グループウェアは個々の社員のスケジュールやToDoといったアクティビティに関するデータを司るフロントエンドの役割を担っており、コンプライアンスやガバナンス強化における有力なツールとなり得る素地を持っている。
IT統制時代に対応した新しい形態のグループウェアが登場することで、同市場が次のステップへと進化することを期待したい。
◇対象企業: 全国の年商5億円以上500億円未満のPCサーバ導入民間企業5000社
◇有効回答数: 1210社
◇調査方法: 郵送アンケート
◇調査実施期間: 2008年1月~3月
-グループウェア新規導入は一巡しつつあり、新たな形態への進化に期待
グループウェアの新規導入率は2008年からは減少傾向に転じている。「サーバ導入予定目的」に関する設問においても「グループウェアなどでの社内コミュニケーション強化」は2007年の23.2%から2008年には18.1%へと減少しており、社内情報共有手段としてのグループウェア新規導入ニーズは次第に飽和状態に近づいてきている状況が伺える。その一方で、「サーバ導入予定目的」ではコンプライアンス対応やガバナンス強化といったIT統制関連の事由増加が目立つ。グループウェアは「情報系」に分類され、IT統制とは関連が薄いと思われがちである。しかし、グループウェアは個々の社員のスケジュールやToDoといったアクティビティに関するデータを司るフロントエンドの役割を担っている。つまり、工夫次第でコンプライアンスやガバナンス強化における有力なツールとなり得る素地を持っているのである。工夫の具体例としてはデータの「登録」から「記録」への発想の転換が挙げられる。現在のグループウェアでは社員がスケジュールやToDoに自らデータを「登録」している。それに加えて、社員が利用したアプリケーションや送受信したメール内容のダイジェストをスケジュールやToDoとして「記録」しておけば、社員のアクティビティ管理の元データが自然に生成され、強力なIT統制手段として活用できる可能性がある。基本的な社内情報共有としてのグループウェア導入が一巡した次のステップとして、IT統制時代を見越した新しい形態のグループウェアが台頭してくるのではないかと予想される。
-SaaSの魅力は「運用管理負荷軽減」「導入の容易さ」「運用コスト削減」
SaaSの認知度は5割超に達しており、啓蒙は着実に進んでいる状況が伺える。導入済み、導入予定、関心ありをすべて合わせた前向きな意見は約3割であり、今後も徐々に増加していくと予想される。ユーザが感じるSaaSのメリットは運用管理負荷軽減、導入の容易さ、運用コスト削減に相当する項目が上位を占めている。現時点ではユーザはコスト削減をSaaSのメリットと感じており、システムをインターネット上に置くことによる他社とのデータ共有などといった戦略的な活用段階には至っていないことがわかる。当面はコスト削減効果が得られやすいアプリケーションのSaaSへのシフトが中堅・中小企業におけるニーズの中心になると予想される。財務会計、人事管理、販売/購買管理、生産管理といった基幹系アプリケーションはデータ秘匿性に対する心理的障壁と自社向けカスタマイズのニーズが依然高く、SaaS移行への対象とはなりにくい。管理基本的な情報共有手段としてグループウェアが利用されている場合にはコスト削減の対象として運用形態をSaaSにシフトするケースが今後増える可能性がある。
-サーバ導入目的はIT統制とサーバ統合の割合が増加
グループウェア新規導入の飽和状態を裏付けるように「グループウェアなどでの社内コミュニケーション強化」の減少が目立つ。その一方で「内部統制などの企業コンプライアンス対応のため」「経営の意思決定に役立つシステム構築」といったIT統制に関連した目的が伸びを示しており、中堅・中小企業にも内部統制の波が浸透してきている状況を表しているといえるだろう。また昨今のサーバ統合ニーズを反映し、「省スペース化」についても2007年と比較して再び回復する基調がみられる。「WindowsNT4.0、Windows2000から最新のOSへのアップグレード」については2007年のアップグレード実施を経て一段落した様子が伺える。現時点で残されている古いWindowsOSについては、今後サーバ統合の一環として仮想化技術を活用した「リホストマイグレーション」によって新しいサーバ上に移設されていくと予想される。
-管理対象ノード増加を嫌気し、新規サーバ導入は減速傾向
新規サーバ導入は2006年、2007年に続けて2008年も前年と比較して減少傾向が続いている。昨今の運用管理工数削減への取り組みやIT統制面での要請を受けて、管理ノード増加につながる新規サーバ導入が嫌気されている傾向が伺える。新規サーバ導入が減速する一方で、サーバ統合ニーズは着実に伸びてきており、仮想化技術に代表される「論理集約」とラック型サーバに代表される「物理集約」、両者の特徴を併せ持った仮想化ミドルウェアを搭載したブレードといった一連のサーバ統合ソリューションの導入が中堅・中小企業においても活発化していくと予想される。
※サーバ統合に関する詳細は「2008年 中堅・中小企業のサーバ/クライアント管理実態調査報告リリース」
( (リンク ») )に掲載
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