(第1回)情報をビジネスの“力”に変える魔法の箱IBM WebSphere DataPower
企業の競争力強化を加速するESB
WebSphere DataPowerは、2005年10月に米IBMが買収したDataPowerの製品群を、IBMのWebSphereブランドとして提供するアプライアンス製品。XMLの解析/変換を高速に処理する「XA35 XML Accelerator」、Webサービスの強固なセキュリティ環境を実現する「XS40 XML Security Gateway」、トランスポート非依存のデータ変換により、既存のIT資産の有効活用を可能にする「XI50 Integration Appliance」の3製品で構成されている。
3つの製品を単体、あるいは組み合わせて利用することで、容易にESB環境を構築できるのはもちろん、ハードウェアに最適化されたESB環境を構築できるので、高い負荷がかかる処理でも安定して稼動させることができる。また、面倒なWebサービスセキュリティも搭載しており、安全かつ信頼性の高いSOA対応システムを容易に実現することができる。
WebSphere DataPowerでは、これらの機能が評価され、すでに全世界の1000社以上に導入された実績がある。
3つの企業がアプライアンスを選択した理由
一般的な預金のほか、資産管理、コーポレートバンキング、投資銀行業務などを幅広く展開する米国大手の銀行では、ATMの処理情報をFTPで各支店に転送するために一晩かかることや、銀行間の小切手取引を電子取引“Check21”に対応する必要があるなどの課題を抱えており、この課題を解決するための方法を模索していた。
そこで、DMZ(非武装地帯)にWebSphere DataPowerを導入。送られてくるメッセージをチェックし、フォーマット変換やメッセージのルーティングを行うことで、大量のメッセージを安全かつリアルタイムに処理する仕組みを構築した。
これにより、月間の取扱量を増大させながらVPN利用料金の削減し、コアビジネスへの投資を可能にしている。このとき、通常6カ月程度の期間が必要とされるシステム構築の期間を運用開始まで2〜3週間で実現できたのもWebSphere DataPowerの導入効果だった。
また、欧州に本拠地を置き、銀行業務、保険、アセットマネジメントサービスなどを提供する金融機関では、24時間×365日対応のオンラインサービスなど、新しいサービスの提供までに多くの時間が必要なことから、既存システムを変更することなく、顧客サービスや販売チャネルのプロセスを柔軟に変更し、機能を拡張できるインフラの実現を検討していた。
そこで、WebSphere DataPowerを2台導入し、顧客やパートナーからはXMLでデータを受け取り、プロトコル変換を行ってWebSphere MQでバックエンドのシステムへ転送する仕組みを構築。バックエンドのアプリケーションを変更することなく、コストを抑えながら新規サービスを早期に提供できる、変化に柔軟に対応できるインフラを実現した。これにより、早期の投資回収も可能にしている。
さらに、ホームビデオやPCゲーム、音楽/放送業界向けのソリューションを提供する米国のソフトウェア企業では、e-コマースを展開しているWebサイトを訪問する顧客の増加に伴い、既存システムの硬直化やパフォーマンスの悪化が課題になっており、かつデータ変換機能やセキュリティの強化も解決すべき課題となっていた。
そこで、WebSphere DataPowerを導入し、SOAに基づいたフレキシブルなビジネスプロセスマネージメント(BPM)を構築することで、Webサイトの柔軟性を向上し、変化に迅速に対応できる仕組みに改善。ソリューション導入後、すぐに高いROI(投資利益率)を実現した。また同時に、顧客データをXMLレベルで暗号化することで、高いセキュリティも実現している。
さて次回は、WebSphere DataPowerの機能や強みなどについて、より詳しく紹介する。
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(第2回)情報をビジネスの“力”に変える魔法の箱IBM WebSphere DataPower
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