達人が教える、わかりやすいデータ分析の考え方--成功するビッグデータ活用

分析プロジェクトがうまくいく企業とは

 このように、プロジェクトのステップごとに注意すべき点はあるものの、辻氏は分析プロジェクトがうまくいく企業にはある特徴があると指摘する。それは、マーケティング部門や経営企画部門と、IT部門の関係がいい企業だという。

 「どのようにデータを集めるべきか、データマートをどうすべきかといったことを判断できるのはIT部門だ。また、さまざまなデータから数字の関係性を見いだそうとすると、高速にデータ分析する技術を導入し、分析結果から感覚的に関係性を判断していく必要がある。これらはすべてIT部門が得意な分野だ。一方、相関関係から因果関係に結びつける方法や、起こっている問題の原因を調査する方法はマーケティング部門や経営企画部門が得意な分野だ。お互いの専門領域を補完しつつひとつのゴールに向かおうとする企業は、良いパフォーマンスを出している」(辻氏)

 逆に、こうした部門同士の関係が悪い企業は、分析プロジェクト全体のプロセスが理解できなかったり、分析結果を現場にフィードバックできていなかったりすることも多いという。「データ分析にはさまざまな種類のデータが必要だが、実際にデータを収集するには現場の力が必要になる。そのため、例えばデータを提供してくれたコールセンターに対して分析結果をフィードバックし、さらにこのようなデータがほしいと伝えることで、現場もデータの重要性を理解し、より良いデータが集まることにつながる」と辻氏は説明する。

分析プロジェクトがうまくいく企業は…

  • マーケティング部門や経営企画部門と、IT部門の関係がいい!
  • 実際のデータの収集には現場の力が必要!
  • 分析結果のフィードバックも重要

 また辻氏は、データアナリストに必要な要素についても語っている。「思いつきではなく、しっかりとした根拠を示せるタイプ。また、ある傾向から課題が発見できたり、複数の問題に対してプライオリティがつけられる人はデータアナリストに向いている。そして概算ができること。とんでもない数字が出た時、ロジックが間違っていることに気づかないままだと困るので、分析結果が異常かどうかを判断できる能力は必要だ」と辻氏。さらには、アナリストに限ったことではないかもしれないが、「あの人に頼まれたら断れないと思わせるような人当たりの良さや調整能力がある人もアナリストにも必要な素質。成功するプロジェクトには、必ずそういう素質を持ったキーマンがいるものだ」と辻氏は付け加える。

 さらに加えて、継続的、積極的な情報収集も成功への重要なカギだ。

 実際、「高度なことを検討していながらも、ここまで解説したような悩みでプロジェクトが止まっている例は少なくない」(辻氏)という。そのためSASでは、アナリティクスに取り組みたい企業に対する支援にも取り組んでいる。5月中旬から開始した無償の「アナリティクススタートアップワークショップ」は、すでに10社以上が利用している。

 「『BIとは何が違うのか?』という基礎的なところから顧客データの活用方法まで、さまざまな悩みを持ったお客様が多くいらしたのが印象的でした。参加された方からは『自社プロジェクトの方向性が明確になった』『プロジェクトを加速させるヒントをたくさんもらえた』などと、とても好評を頂いています。データの活用を本気で考え始めているのであれば、このワークショップにお声掛けをください。あるべき論だけではなく、自社プロジェクトについて深いディスカッションを行い、どのように始めるべきかが明確になるはずです」(辻氏)

 このようにデータ分析に関する知見を十分に深めたうえで、ゴールを明確に定め、正しい分析で問題の因果関係を見いだし、風通しの良い環境でプロジェクトを進める。そこに成功のキーマンが備われば、プロジェクト成功への道は明るいと言えそうだ。

インフォメーション
提供:SAS Institute Japan 株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2013年9月30日
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