サーバ仮想化ならNASも一緒にリニューアル サンがオープンストレージ製品ラインナップを拡充
サン・マイクロシステムズ(以下、サン)が2008年11月末に発表したSun Storage 7000シリーズは、サンが提唱する「Open Storage」を具体的な製品として形にしたNASアプライアンスだ。この製品の発表はこれまでストレージベンダーによってプロプライエタリ(独自仕様)の技術に囲い込まれてリソースから高額なコンポーネントを選択せざるを得なかった時代の終わりを告げるものとなった。またそれだけではなく、このSun Storage 7000シリーズはコストパフォーマンスと信頼性の高さを両立したNAS製品としても優れたものとなっている。
なぜサンだけが安くて速くて高信頼なのか
サンのいうOpen Storageとは、業界標準のハードウェアとソフトウェアによって構成される新たなストレージ・ソリューションを意味している。プロプライエタリな他社製品と比べ経済性と拡張可能性に優れ、ストレージの管理工数の劇的な軽減を実現する。
「しかし今までのストレージと全く違う使い方をしなければならないというわけではありません。今まで使ってきたNAS(Network Attached Storage)やディスクアレイとすぐに置き換えられ、ストレージのTCOをすぐに削減する製品です。」と語るのは、サン・マイクロシステムズのプロダクト・ストラテジック・マーケティング本部専任部長寺島義人氏だ。 Sun Storage 7000シリーズにリプレースするだけで、安価で高速、しかも信頼性の高いストレージシステムを構築できると強調する。
ではなぜ、サンだけが安くて速くて信頼できるのか。寺島氏の答えは、「『Solaris ZFS』(Zettabyte File System)と『ハイブリッド・ストレージ・プール・アーキテクチャ』という2つのキーワードで証明できる」というものだった。
プール型ストレージで最小の投資と最大の効率を実現
Solaris 10の目玉機能として2005年に発表されたZFSは、“ゼッタバイト”(10億テラバイト)の膨大なストレージ空間を128ビットのファイルアドレッシングを採用することで、1000兆ゼッタバイトという事実上無限に近いデータを扱えるファイルシステムの名称だ。
従来のファイルシステムは、ボリュームを介して物理ディスクに依存していたため容量拡張の際はかなりの手間となる。そのため将来の容量拡張をできるだけ避けるため、必要以上のディスク容量を用意するのが一般的だった。しかし、その多くは利用されず、管理コストの増大や初期投資の肥大につながっていた。
それに対し、ZFSは物理ディスクを仮想化し物理ディスクと完全に切り離しすべてのディスクをプール型の仮想ボリュームとして管理することで、ストレージデバイス全体を効率的に活用。また、物理ディスクを追加するだけで自動的に容量拡大とデータのリアロケーションが実行されるので、RAID構成やミラーリング構成などを意識することなく運用することができる。
このプール型ストレージでは、運用状況を分析することで当初は最小限度の物理ディスクで構成しておき、業務拡大に伴ってストレージ容量に不足を感じたら適宜スケールアウトでディスクをプールに追加すればよい。 「システムを止めずに容量拡張ができ、最小の投資で最大の効率が可能になる」(寺島氏)
ZFSがSSDとHDDを自動的に最適利用
ZFS では、SSD(ソリッドステートドライブ)とHDD(ハードディスク)を混在させてひとつのストレージプールとして構成する。それが寺島氏の示すもうひとつのキーワードワード、ハイブリッド・ストレージ・プール・アーキテクチャである。
一般にSSDとHDDとの組み合わせて使うには、SSDへのパスや容量を考慮した設計が必要になり、ユーザ側で効率的に使用するのは困難である。しかし、Sun Storage 7000シリーズの上位モデルでは、サーバ上にあるDRAMをARC(Adaptive Replacement Cache; ZFSの1次キャッシュ)とし、ストレージプールを構成する複数のHDDとの間に、リード専用のL2ARC(ARCのRead用拡張2次キャッシュ)と、ライト専用のZIL(ZFS Intent Log ;ZFSのWriteログ領域)のキャッシュにそれぞれSSDを透過的に適用することで、頻繁にアクセスされるデータの読み出し・書き込み双方の速度を向上させ、ストレージI/Oのボトルネックを解消する。
寺島氏は、「ZFSがSSDとHDDを自動的にハイブリッドストレージとして使用することで、ユーザは意識することなくメリット享受できる。」と説明する。
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