全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略
【第1回】全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略
7月7日から日本が議長国となって開催される「北海道洞爺湖サミット」を目前に控え、連日新聞やテレビの報道でも地球温暖化対策がホットな話題となっている。IT業界においても肥大化するIT機器の電力消費量をいかに抑えCO2排出量を削減していくかが大きな課題となっている。「グリーンIT」と呼ばれる業界挙げての取り組みが成功する鍵は何だろう。
なぜグリーンITなのか
IT業界で急激な動きとなってきている「グリーンIT」。ハードウェアベンダーはもちろん、ソフトウェアベンダーも、グリーンITという取り組みに熱心になっている。米リサーチ会社のGartnerは2007年10月に、IT業界が抱える課題の1位としてグリーンITを指摘している。その中で同社は「グリーンITの動きは2008年に加速、拡大する」と予測。現在のグリーンITに対する動きを見ると、その予測は当たっていることになる。
それではグリーンITの背景として、どういったことがあるのだろうか。
環境省の調査によれば、2005年度段階で、1990年に比べた温室効果ガス排出量の増減は、工場などの産業部門で5.5%減少している以外は、自動車・船舶などの運輸部門で18.1%増加、商業・サービス・事務所などの業務そのほか部門で44.6%増加、家庭部門で36.7%増加、発電所などのエネルギー転換部門で15.7%増加という結果になっている(確定値ベース)。こうして見ると2012年までに6%削減という目標の達成は難しくなっていると言わざるを得ないのが本当のところだ。
2012年までに6%削減という目標達成は難しいとしても、少しでもその目標を達成できるように、国家、自治体、企業、個人のさまざまなレベルで温暖化対策を進める必要があることは誰の目にも明らかだ。IT業界や情報システムのユーザー企業におけるグリーンITという取り組みも、そうした問題意識からなされている。
先の調査結果で44.6%の増加となっているのが、商業・サービス・事務所などの業務そのほか部門だ。これは、PCやディスプレイ、サーバ、そのほかさまざまなIT機器をフルに活用しているオフィス分野で温室効果ガスがより多く排出されているということを意味している。裏を返せば、ITの地球温暖化対策はそれほど進んでいないということでもある。
IT分野で地球温暖化対策がそれほど進んでいないことを示すデータはほかにもある。
経済産業省の「情報通信機器の省エネルギーと競争力の強化に関する研究会」が調べたところによれば、PCやディスプレイ、サーバ、ルータなどのIT機器が消費する総電力量は、2006年が470億キロワットアワー(kWh)であったのに対して、2025年にはその5倍の2400億kWh、2050年には12倍の5500億kWhになるという。これは、社会のIT化に伴って、処理すべき情報量が増大することでIT機器が増加、それらに伴って総消費電力量も増加せざるを得ないということを現している。
ここまで見ると、グリーンITという取り組みがいかに緊急性を持った事柄であることが分かるだろう。
グリーンITを進めるうえではさまざまな方面からのアプローチが必要だ。たとえば、身近で今すぐできることとして「帰宅時にPCの電源を切る」(Forrester Research)ことが挙げられ、これをすべての従業員に徹底させることでも省電力化を進めることができる。また、PCやサーバを消費電力のより少ない省電力対応のものに置き換えるというのも、グリーンITのアプローチとしては正しいと言えるだろう。加えて、電力使用量が肥大化するIT機器の集積地となっているデータセンターの消費電力と空調問題をいかに解決していこうとしているのかも、グリーンITのアプローチとしてごく自然なものとなっている。
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