2000年8月に設立されたターボデータラボラトリーは、オンメモリデータ処理技術による新しいシステム構成法や開発手法を世界に広めることを目的に、さまざまな新技術の開発を推進。
データ処理の固定観念を打ち破る
代表取締役CEO
國正 興一氏
「たとえば、住民基本台帳ネット用のデータ1人分を4KBと仮定した場合、1億2000万人分のデータ量は480GBになります。ノートPCでさえ1GB以上のメモリが搭載されている現在、すべてのデータをメモリに搭載して処理することも不可能ではない時代が来ているのです」と話すのはターボデータラボラトリー代表取締役CEOの國正 興一氏だ。
2000年8月に設立されたターボデータラボラトリーは、オンメモリデータ処理技術による新しいシステム構成法や開発手法を世界に広めることを目的に、さまざまな新技術の開発を推進。同社のCTO、古庄 晋二氏が提唱する「Furusho Method」に基づき、特許技術の供与や自社開発製品の販売を展開している。
國正氏は、日立製作所CIO(Chief Innovation Officer)として、2003年Furusho Methodに出会い、「自分が求めていた技術は“これだ!”と直感しました。この技術により、これまでの“データはファイルとしてデータベースで管理するもの”という固定観念を打ち破ることができると思いました」と話す。
Furusho Methodで世界を目指す
Furusho Methodは、ファイル全体をベクトル成分に分解してメモリに展開する「FAST(Filter Array STructure)データ構造」と、「LFM(Linear Filtering Method)アルゴリズム」による多用なデータ処理方式で構成されるテクノロジ。FASTデータ構造には、「Table」と「Tree」の2種類の基本データ形式がある。この両者はアーキテクチャ(「SMP & マルチコア(MS:Memory Share)」と「Parallel」「CELL」)に合わせてさらに最適なデータ形式に分化している。
同社のオンメモリデータ処理技術が搭載された製品群は、「Intelligent DWH with Perfect EUC」というコンセプトのもとに具現化。すでに、SMP & マルチコアに対応したTable-MSモデルが大規模データ高速処理エンジン「DAYDA.LabooII(ダイダラボーツー)」として製品化されている。
代表取締役CTO
古庄 晋二氏
古庄氏は、「他社もオンメモリデータベース技術を搭載した製品は持っていますが、これはあくまでもリレーショナルデータベース(RDB)の延長線上にあるもの。RDBで出来なかった処理が新たに実現される訳ではありません。我々の技術は、高速データ処理だけでなく、完全なエンドユーザーコンピューティング(EUC)により、世界に通用するIntelligent DWHを目指しています」と話す。
古庄氏は、「Intelligent DWH with Perfect EUCでは、ファイルをレコード単位でメモリに展開して処理する従来方式に比べ3桁以上の高速なバッチ処理を実現できます。また、GUI操作による大量データマートの生成により、システム開発コストや運用コストを低減することが可能。ディスク容量を20分の1〜100分の1に、サーバ数を2分の1〜4分の1に低減できます」と話す。
また、DAYDA.LabooIIを容易に使用するためのGUI製品「LIFIT(ライフィット)II Java Studio」を使用することで、デバッグ済みのJavaコードを自動生成することも可能。DAYDA.LabooIIとLIFIT II Java Studioを組み合わせることで、完全なエンドユーザーコンピューティングを実現できる。
古庄氏は、「オンメモリデータベースのメリットは、処理スピードが高速なことです。しかし、それ以上に重要なのは“その技術によって何が可能になるのか”ということ。その回答が、Intelligent DWH with Perfect EUCなのです」と話している。
同社のオンメモリデータ処理技術は、すでに日立製作所が提供する製造実績トレーサビリティシステム「RH-BOM」のデータ処理エンジンに採用されているほか、富士通ビー・エス・シーのオンメモリデータベース製品「Oh-Pa 1/3」や、NECの高速データ処理エンジン「InfoFrame DataBooster」など、さまざまな製品で活用されている。
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