VMwareが考えるアプリケーションモダナイゼーションと
アプリケーション内製化の最適解とは

2018年に経済産業省が公開したDXレポート 1.0で話題となった「2025年の崖」。これは、DXを推進しなければ、2025年以降の5年間で年間12兆円の経済損失が生じるという、政府からの警鐘である。この課題の根底には、IT人材不足や既存システムの技術的負債・ブラックボックス化がある。いま、多くの企業でアプリケーションの内製化と既存アプリケーションのモダン化が求められているのだ。本稿では、アプリケーションモダナイゼーションアプローチと内製チームによる既存アプリケーションのモダン化をどのように進めるべきか解説する。

VMwareが考えるアプリケーション移行の「5R」

ヴイエムウェア株式会社
マーケティング本部 チーフストラテジスト
渡辺 隆 氏
ヴイエムウェア株式会社
マーケティング本部 チーフストラテジスト
渡辺 隆 氏

コロナ禍によりデジタル化の重要性が広く知れ渡ったことで、企業のSaaS利用が進み、Web会議やリモートワークが日常のものとなった。ヴイエムウェア株式会社 マーケティング本部 チーフストラテジストの渡辺隆氏は、デジタル化に対する企業の変化について次のようにとらえている。

「2022年の後半ごろから、CIOやシステム部門長の方から、基幹システムのクラウド移行の相談を受けるようになりました。『2025年の崖』で指摘された、技術負債の解消のためのモダン化が完了していない企業はいまだに多く、移行するという方針は決まったものの、具体策については検討段階にあるお客様も多いと感じています」(渡辺氏)

このように多くの企業が「2025年の崖」を乗り越えるべく、既存システムの複雑化・ブラックボックス化の解消に取り組んでいるが、仮想化やインフラ領域のイメージが根強く残るVMwareがこれらの課題解決を支援できるのだろうか。

実はかねてより、VMwareはアプリケーションのモダン化支援に注力しており、アプリケーションモダナイズのロードマップを設定し、ユーザー企業の技術的負債の解消をサポートしている。このロードマップでは「5R」が用いられている。

5つの領域に分けてアプリケーションのモダナイゼーションにアプローチ
5つの領域に分けてアプリケーションのモダナイゼーションにアプローチ
  • 「Retire(引退)」は、従来のアプリケーションを廃棄してSaaSなどに移行すること。ビジネスの核とならないアプリケーションなら、引退させてグローバルスタンダートなSaaSに切り替えることができる。
  • 「Retain(保持)」は、既存のアプリをそのまま最適化して保持すること。これには「VMware Cloud Foundation」を提供している
  • 「Rehost(ホスト移行)」は、アプリケーションをクラウド環境に移行すること。これには「VMware Cloud on AWS」「Azure VMware Solution」「Google VMware Engine」など、仮想化ソフトウェアである「VMware vSphere」などのワークロードを各種パブリッククラウドに移行できるサービスを提供している。
  • 「Replatform(リプラットフォーム)」は、アプリをコンテナ化し Kubernetesで実行しようとするもの。これには「Tanzu for Kubernetes Operations」を提供している。
  • 「Refactor(新規アプリの構築とリファクタ)」は、クラウドネイティブな技術でアプリケーションを書き換えること。これには「Tanzu Application Platform」を用意している。

VMwareでは5つのRで、現行アプリケーションを、オンプレミスで維持するか、クラウドやコンテナに移行するか、廃棄するかなどをそれぞれ判断し、モダナイゼーションを進めていくアプローチをとっている。

アプリケーションモダン化を支援するコンサルティングサービス

VMwareでは、既存アプリケーションを5Rのいずれかへ移行を支援するコンサルティングサービスとして「VMware Rapid Portfolio Modernization」を提供している。これは、既存アプリケーションを技術的観点とビジネス観点で棚卸しして、組織的要素も考慮して結論に導くものだ。すでに実証済みのプラクティスや自動化ツールを使用し、モダン化を促進していく。また、新しいアプリケーションだけでなく、モダン化していく既存アプリケーションについてもアジャイル開発の手法を活用する。

技術とビジネス、そして組織も考慮しアプリケーション移行を支援
技術とビジネス、そして組織も考慮しアプリケーション移行を支援

最初のフェーズはゴールを明確にし、仮説を立てる「Explore(探索)」。ビジネス目標との整合性、ツールのデモと対話データのレビュー、リスクや依存関係に関するレビュー、モダナイゼーション戦略、クラウド化対応能力の確認など、ワークショップ形式で合意形成をしていく。

次のフェーズは、計画立案のための「Navigate(ナビゲート)」。技術的およびビジネス的な観点から既存アプリケーションのポートフォリオを理解し、価値や5Rの優先順位を決める。CI /CDパイプラインの最適化や技術的な適合性とビジネスインパクトに基づく意思決定マトリックス、アプリケーション間の依存関係などを顧客とともに分析していく。

「簡単にできる移行からではなく、難易度が高くて、ビジネス的なプライオリティが高いところから始めましょうと提案しています。それを経験することでいくつかの移行パターンのノウハウを蓄積し、自走していくことを目指していくというアプローチになります」(渡辺氏)

続くフェーズは実装となる「Accelerate(コンテナへの移行)」。5Rの中でも特にコンテナ化させていくような要件では、変換ツールの使用や本番環境で使用可能なコードを書きながら使って移行を進めていく。そして、類似アプリに適用可能なレシピである「クックブック」を組織内に蓄積。このクックブックはいわば、成功体験のナレッジであり、これを積み重ねることでフィードバックの実体験を戦略に落とし込めるようになる。

Rapid Portfolio Modernizationの流れ
Rapid Portfolio Modernizationの流れ

アジャイル人材による内製チームを育成

何度かモダン化を経験したら、その成功体験を得た内製チームが別のアプリケーションを高速にモダン化していく「Scale(チームのスケール)」フェーズへと移る。渡辺氏は「本格的にアプリケーションのモダン化を行うのは、あくまでもお客様の内製チームであるという点が、VMware Rapid Portfolio Modernizationの最大の特長です。例えば、モダン化の必要なアプリが300あったとして、最初の12週間でVMwareが伴走しながら10〜20のアプリをモダン化します。その後は、そこで得られた知見をもとに、お客様のチームがスケールしていく支援をします。これにより、実務を通して新しいスキルの習得が可能となり、やがてお客様側で内製チームを育成できるようになります」とメリットを強調する。

移行の成功体験を組織内に共有しアジャイル人材を増やしていく
移行の成功体験を組織内に共有しアジャイル人材を増やしていく

内製化というと、新しいビジネスのためのアプリケーション開発やデータサイエンティストの育成に着目しがちだろう。それに対し、渡辺氏は「既存アプリケーションのモダン化においてもアジャイル開発人材を育てることができます。移行プロジェクトが終わったあとは、自社のビジネスを熟知した何十人何ものアジャイル開発人材が育ったわけですから、そこから新たなビジネスのチームを生み出すこともできるでしょう」と語った。

もちろん、アプリケーションを移行したら終わりでなく、連携強化や柔軟性向上、パフォーマンス向上など、改善していく活動も必要だ。いったんRetainと判断したアプリケーションもモダン化したい場面も出てくるだろう。フィードバックを得て振り返り、次のステップに進むアジャイル開発人材の育成には多くのメリットがあるのだ。海外の金融機関では、それまで8割外注していたシステム開発を1年間かけて内製化8割と、逆転した例もあるという。

「インフラについてクラウドへの移行方針は決まっているものの、アプリケーションの移行方針が定まっていないお客様は多いと思います。アプリケーションのモダン化にもいろいろやり方があります。今は、『2025年の崖』を迎えるギリギリのタイミングですので、まずはVMwareにご相談ください」(渡辺氏)

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