野田陽介の戦略
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情報共有のみを目的にツールを導入してはいけない理由
生産性の向上を図る上で、チームもしくは組織での情報共有が重要な要素であることは言うまでもありません。組織においては、情報共有や情報処理をより効率的な形で行い、そこで作り出された時間をより創造的な活動へ振り向けることで生産性の向上を図ります。これこそまさにIT活用の原点とも言えますが、留意すべき点として、全ての情報は主観的に収集・作成されているものであり、情報共有のみを目的にツールを導入すれば、単なる情報氾濫だけをもたらし生産性の向上は図れない、ということが挙げられます。
とは言え、例えば開発現場で共有フォルダを活用することで開発進捗の管理や品質向上を実現するなど、ツールの活用が個別の現場で大きな役割を担っていることは事実です。
BrancCacheはアクセス課題を解消する有効な技術
一般論として情報共有が生産性の向上に寄与する点は誰もが認める点でありますが、生産性向上を実現する上では、情報へのアクセスにおける操作性、平易さが非常に重要な要素であると思います。例えば一般的な調査では、「ページの表示に10秒以上かかるサイトは、訪問者がフラストレーションを感じ、すぐに他サイトへ移動してしまう」と言われています。これは、訪問者が能動的にデータコンテンツを取りに行く、探しに行く場面で起こる問題であり、共有ファイルへのアクセスも同様の心理が働くと考えます。いかに立派なデータベースを構築してもユーザーにストレスを与え、アクセスそのものがされないようでは元も子もありません。その意味でBranchCacheは、生産性向上を図る上でボトルネックになり得るアクセス課題を解消する有効な技術だと思います。
対象が、一方は一般ユーザーであり、他方は企業内ユーザーであるという点で異なりますが、Googleが検索結果の表示に100分の1秒単位でこだわる点からもITの情報提供における待ち時間、情報処理の速さがいかに重要であるかが見て取れます。今後、あらゆるサービスや商品が生み出される中で、情報提供の速さ、処理スピードは必要最低限の要素になることでしょう。一方で共有すべき情報は日に日に増加しており、その処理および管理が今後新たな課題になると同時に、ビジネスチャンスにもなると考えています。
ジャフコが投資しているAster Data Systemsは、データウェアハウス向けに高速処理を特徴としたソフトウェアを提供しています。MapReduceの分散処理技術を実装し、拡張性ならびに費用対効果の高いシステムを実現しています。また、Ocarina Networksは日々増加するファイルデータを圧縮しストレージコストを削減すべく、データの圧縮ソリューションを提供しています。オンラインストレージへのアクセスを、遅延を生じず、またパフォーマンスを落とさずに処理できる点が特徴です。情報共有もしくは提供を実施する上で、そうした処理および管理は今後もより重要な視点であると考えています。
野田陽介(株式会社ジャフコ)
電機メーカーのエンジニアを経て現在ベンチャーキャピタルにて米国を担当。IT分野にフォーカスした投資および日本におけるビジネスデベロップメントを担当している。
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